🍀春休みに本を読もう!峯岸秀幸先生(公認会計士・税理士)がオススメする課題図書📚


【編集部より】
もうすぐ新年度。この春から「会計の勉強を始めよう」と考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで、本企画では、学者・実務家など6人の読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「春休みの課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を各週で掲載します・順不同)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、峯岸秀幸先生(公認会計士・税理士)に課題図書をお薦めいただきました!

オススメ①『税のタブー』(三木義一 著、集英社インターナショナル)

最初にお薦めする、そして最も刺激的な一冊です。前青山学院大学学長であり高名な税法学者、現在は弁護士として活動しておられる三木義一先生が、社会問題から身近な問題まで、税制の切り口で鋭く論じておられます。俎上に挙げられているのは、宗教法人や政治団体への課税から、個人事業主にとっての必要経費や年末調整、果ては国境を跨ぐ租税回避まで、どれも今日的な問題ばかりです。

ゆえに、本書を一読することが税制について考える1つのきっかけになることは間違いありません。しかし、実務家やそれを目指す受験生であれば、問題の原因として語られていることが、実は、実務や学習の場面での重要かつ難解な論点ばかりであることに気づくはずです。収益事業課税、法人から個人への寄附、必要経費における「直接性」…。そういう現場のプロですらなかなか正確に理解していると言い難い論点を、三木先生は実に軽妙な語り口で解説されています。私があえて、本書を実務家と受験生にお薦めする理由です。

オススメ②『争えば税務はもっとフェアになる 冤罪は減らせる』(北村 豊 著、中央経済社)

前出『税のタブー』が制度的な視点から課税の公平性を論じたものであるならば、本書は、実務現場での執行の視点からの公平性を訴えるものと言えそうです。

税務調査の現場では、しばしば、課税当局によって事実関係が曲解されそうになることがあります。仮に曲解されて課税処分に及ばれてしまったらどうすればいいのか。著者で弁護士である北村豊先生は、審査請求を通じ、課税当局と主張を戦わせて第三者である国税不服審判所の判断を求めることを勧めます。本書は、これから実務家を目指す方にとって、税務調査やその後の審査請求で課税当局と争うことも税理士の仕事の重要な一部なのだということを具体的にイメージするための良材になるのではないでしょうか。

また、本書で語られるところは実際の裁決事例を素材にしており、課税処分が取り消された決め手が小説仕立てで具体的に記されていますので、実務家にも刺激を提供する一冊になっています。

オススメ③『租税法令の読み方書き方講座』(青木 丈 著、税務経理協会)

税務調査の現場で課税当局と見解を戦わせ、クライアントを守る専門家を目指すとして、その道程は法令に書いてあることを正確に理解できるようになることから始まります。そのための第一歩として本書を手にされてはいかがでしょうか。本書で解説されているのは、「及び」と「並びに」の使い分けといった典型的な論点だけではありません。本則と附則にはどういった役割分担があるのか、見出しがある条文とない条文があるのはなぜか、条文番号の枝番号はなぜ生まれるのか。そういったことがクリアになるほどに、税法への理解が輪郭を帯びる気がします。

著者である青木丈先生は、税理士として実務の現場から香川大学法学部教授に転じられています。おそらくそれゆえに、法学を学ばないまま税法と向き合わなければならなくなった我々にとって親切な解説になっているのではないでしょうか。

(著者紹介)
峯岸 秀幸(みねぎし ひでゆき)
 
公認会計士・税理士 税理士法人峯岸秀幸会計事務所代表社員
準大手監査法人、大手税理士法人等を経て現職。青山学院大学大学院法学研究科ビジネス法務専攻税法務プログラム修士課程修了(修士(ビジネスロー))。日本公認会計士協会 租税政策検討専門委員会 副専門委員長、一般財団法人会計教育研修機構 実務補習講義担当講師(税務教科)(2022年期~)等。
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〇峯岸先生に御執筆いただいたこちらの記事もあわせてご覧ください。
税務調査の秋~本格化~! 対応する際に身につけておきたい“リーガルマインド”とは?【前編】

税務調査の秋~本格化~! 対応する際に身につけておきたい“リーガルマインド”とは?【後編】


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