【日商簿記1級】1位合格者に聞きました! 最も大切な合格のカギは「基本を理解すること」


6月23日(木)、2021年度に施行された商工会議所検定のうち、「日商簿記検定」「リテールマーケティング(販売士)検定」「日商PC検定」の1級における最優秀者5名の表彰式が、東京商工会議所(東京都千代田区)で行われました。→表彰式のレポートはこちら

日商簿記検定で表彰されたのは、藤木祥さん(慶応義塾大学4年/写真左)・今峰佐紀人さん(公立鳥取環境大学4年/写真右)の2名。どちらも公認会計士を目指す過程として1級に合格されたそうです。

そこで、改めて日商簿記1級に最優秀の成績で合格された2人に、学習のコツ、公認会計士試験との共通点や違いなどをお聞きしました!

☆お話を伺った2人のプロフィール☆

藤木 祥(慶応義塾大学商学部4年)
神奈川県在住。大学で会計や税務、経営などを学ぶ。第158回試験(2021年6月)合格。令和3年公認会計士試験(短答式試験:5月、論文式試験:8月)合格。

今峰 佐紀人(公立鳥取環境大学経営学部4年)
鳥取県在住。大学でマーケティング論、組織構造論などを学ぶ。第159回試験(2021年11月)合格。令和4年第Ⅰ回短答式試験に合格し、論文式試験に向けて勉強中。

3級からステップアップ! 公認会計士を目指すなかで1級に挑戦!

――はじめに、日商簿記1級に挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。

藤木 大学1年次に3級と2級に合格し、1級の学習内容が公認会計士試験の最重要科目である会計学にも活きると思ったので、力試しとして受験しました。

また、小学生の頃の夢が漢字検定1級に合格することで、それは準1級で落ちてしまったので、得意な会計で1級を目指そうと思ったのも理由の1つです。

今峰 大学の授業をきっかけに3級に挑戦し、合格後に2級を目指したのですが、試験がコロナ禍で中止になってしまいました。

ただ、試験範囲の学習をだいたい終えていたので、試験が実施されるまで勉強を続けるのも時間を無駄にしてしまうと思い、公認会計士試験に挑戦することにしました。

その前段階として、昨年11月に1級を受験しました。

会計士も簿記1級も「基本」を大切に!

――公認会計士試験と日商簿記1級の共通点や相互に活きると思った勉強法、逆に違いなどはありますか?

藤木 重要な考え方が問われる点は共通していると思います。なので、どの論点を勉強するにも、最初に土台を固め、そのうえで細かい考え方を見ていくようにしていました。

違いとしては出題形式があると思います。特に検定試験に関しては、仕訳そのものを解答させる問題も多くあります。商業簿記に限らず工業簿記でも仕訳を解答させる回がありますが、公認会計士試験の管理会計論では滅多にありません。

仕訳に重きを置いているところが検定試験の1つの特徴であって、公認会計士試験との違いだと感じました。なので、検定試験の対策をする際は常に仕訳を意識し、市販の対策問題集を購入して出題形式に慣れるようにしていました。

今峰 共通点は、教科書の例題とは違う、見たことのない問題が出題されることです。ただ、例題をしっかり解いていたら、その場で対応できる問題も多いと思います。なので、変わった問題ばかりを解くのではなく、基本的な問題を完璧にし、プラスアルファで現場対応が求められるような問題を演習していたら、徐々に成績が伸びていきました。

違うところは試験時間です。検定試験では比較的ゆっくり考える時間があり、それこそ変わった問題も時間をかけたらなんとか解答できるのですが、公認会計士試験では普通に解いていたら間に合わないような問題ばかりだと感じています。なるべくまんべんなく問題を解いていた検定試験に対して、公認会計士試験では「問題を見る力」が必要で、その対策が大変です。

(藤木さん提供:ノートは使わず、教材に情報を一元化)

「理解できるまで同じ問題を解く」がポイント

――日商簿記1級に最優秀の成績で合格された2人ですが、どのような学習法が今回の結果につながったと思いますか?

藤木 粘り強く続けたことだと思います。私は、いわゆる回転用教材として公認会計士試験で使っていたものを1級でも使っていたのですが、2回~3回ではなく、「連結会計」など項目によっては10回くらい同じ問題を解きました。

形式面が違うので、その点は直前期にそれぞれの試験に対応させていかなければいけないのですが、基本的な考え方を理解することを目指して、本質をつかむことを意識していました。諦めずに納得できるまで同じ問題を解いたことが結果につながったと思います。

今峰 私もできるだけ同じ問題を繰り返し解きました。ただ、問題の演習量がとても多いのも事実です。なので、類似している問題があったら「この問題はあの問題とここが似ているな」とか、逆に違う問題があれば「どこが違うのか」など、問題同士のつながりや違いを意識するようにしていました。

計算と理論も同じで、計算問題を解く際は、「この処理はあの考え方に基づいているのかな」と紐づけていました。なるべく覚える量を少なくしたことが結果につながったと思います。

将来の職業会計人としての夢や目標

――最後に、ここまで培ってきた高度な知識を活かし、どのような職業会計人になりたいか、現在の夢や目標を教えてください。

藤木 来年4月から社会人として監査法人で働きます。今は特に税務に関心を持っていて、就職活動のときリクルーターの方にも「会計と税務の知識を持ち合わせている人材は少ない」とお聞きしました。大学のゼミで学んでいることもあって国際税務に関心があるので、将来はそういった税務の方向になんとか手を伸ばしていきたいと思っています。

ただ、会計の知識があってこそ税務の世界に入れると思うので、会計の知識を忘れずに、両方の知識を持ち合わせた公認会計士になりたいです。

今峰 私は現在、今年8月の論文式試験に向けて勉強しているところです。将来的には、業界や場所にとらわれず、幅広い分野の監査ができる公認会計士を目指しています。たとえば、外国でも監査ができるように、社会人になったら英語の勉強などにも力を入れていきたいです。

――ありがとうございました! 今後のご活躍を応援しております。


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