【公認会計士試験】社会人合格者に聞く! 働きながらの勉強は「捨てる勇気」がカギ


社会人のキャリアアップやキャリアチェンジとして、難関資格に挑戦しようという人も多いこの頃。

ある日、公認会計士試験合格者の「社会人が1800時間で公認会計士試験に合格した方法」というnote記事に関するツイートが目に入りました。

投稿主は、上場企業の経理職で働くかきゅみょん(@Kakyu_cpa)さん。

公認会計士試験は大半が学生受験生。そんななか、働きながら合格した秘訣は何でしょうか。

また、かきゅみょんさん曰く、「公認会計士試験は社会人受験生にも難しすぎることはない」そうですが、なぜそう思うことができたのでしょうか。

社会人受験生だけではなく、学生受験生にとっても勉強のヒントが見つかるはずです。

社会人が一発合格するためのポイント

――三大国家資格と言われ、難易度が高い公認会計士試験。学生に比べると社会人は時間の制約も大きく、「ハードルが高い」イメージがあります。かきゅみょんさんが、社会人で一発合格を果たせたポイントは何でしょうか?

かきゅみょんさん まず社会人合格者として伝えたいのは、「真面目な人ほど実はハードルが高くなってしまう」ということです。

学習範囲が非常に膨大なので、勉強が大変なことは1つの事実です。一方で、合格点に最低限到達するためにカバーする必要がある範囲は、おそらく事前に想像しているよりも非常に狭いんですね。なので、学習範囲を思い切って省略する、「あえて手を抜く力」が実は大事なのではないかと思います。

実際に多くの予備校のテキストでは、重要な分野とそうでない分野を明確にランク付けしています。重要でない分野をまったく勉強しないのは躊躇してしまうかもしれませんが、本当に全範囲を勉強するとなると、膨大な時間が必要で、カバーしきれるはずがありません。

さらに社会人の場合、「自分で判断する力」も大切です。働きながら限られた時間で勉強する場合、できないことを無理にやろうとしても絶対にできません。予備校のカリキュラムには入っているけれど、どうしても苦手で時間がかかってしまう。そのような場合は、自分で考えて「捨てる」という判断をすることも必要だと思います。

――かきゅみょんさんは、「捨てる」基準はどのように決めていましたか?

かきゅみょんさん 何をするにも「目的ありきで考える」ことが大原則だと思っています。私はとにかく限られた時間で合格点を超えることだけを目的にしていました。そこで私は、「勉強に使う時間に対して本番で何点取れるのか」を強く意識して、学習内容を取捨選択していました。

ここで、「本番で点を取る」にフォーカスすると、これには2段階あります。
まずは「試験で出題されること」。
次に「自分が正解できること」。
この2つが揃ってはじめて点になります。

後者の「自分が正解できる」をさらに分解すれば、まず「解答を書く」という1段階目があり、「解答が正解である」という2段階目があります。

当たり前のことですが、これらの段階を必ず意識していました。

本試験は絶対的に解答時間が足りないので、必ず現場で「解く問題」と「解かない問題」を選別しなければいけません。私自身がそうですし、多くの人もそうだと思いますが、やはり苦手な問題は飛ばします。どうせ飛ばす問題なら、極端な話、そもそも勉強する理由がないのではないか、と思いました。

なので、自分が解答するであろう問題を念入りに勉強し、本番で必ず正答できるようにしていました。

――勉強すると決めた問題は、どのように勉強していましたか?

かきゅみょんさん 結局のところ「学習量が大事」と考えていました。

向き不向きはあるのかもしれませんが、できないことをできるようにするためには、同じ問題を何度も解くことが効果的だと思います。

私も、「解く」と決めた問題は徹底的に解きました。それは問題集を何冊も買って似たような問題を何問も……ということではなく、限られた問題を繰り返し解くということです。

「1つ1つの問題を完璧にしていく」イメージを重視していました。

社会人にとって公認会計士試験は“勉強しやすい”

――社会人は勉強時間を確保するだけでも大変だと思います。かきゅみょんさんは、「社会人にこそ公認会計士試験がオススメだ」というメッセージも発信していますが、そう感じた理由は何でしょうか?

かきゅみょんさん 「公認会計士試験は難しい」というイメージは当然ありますし、「働きながら合格するは無理だ」という意見もあると思います。

ただ、そういったイメージが大きく作り上げられているだけで、それに比べれば「想像しているよりも難しくない」かもしれません。特に経理経験者からすれば、おそらく多くの人が想像するより難しくないと感じると思います。

実際に私も、短答式試験・論文式試験ともに、なぜ働きながら一発合格できたのかというと、「事業会社で働く会社員」と「公認会計士の試験範囲」が、非常に親和性が高かったからだと考えています。

たとえば、企業法で学習する「株主総会」の流れについては、業務を通して知っているわけですね。あるいは「内部統制」も、業務を直接的に担当したことはなくても、「毎年ハンコを押せと言われるな」とか、「ハンコを押し忘れたら怒られたな」とか、そういった経験があると思います。

このように、自分の業務経験と紐づけて理解できる点で、公認会計士試験の学習範囲は社会人にとって非常に勉強しやすい内容だと思います。

また、公認会計士試験に対しては、「複数科目を同時に受験しなければならないので大変」といったイメージが強いと思いますが、だからこそまんべんなく平均点を取れば十分というか、1つひとつの科目の要求レベルはそこまで高いわけではないと思います。

――社会人が会計士受験を始めるなら、何からスタートすればよいでしょうか?

かきゅみょんさん 個人的には、公認会計士試験を受けようと思ったら、すぐに公認会計士試験の勉強を始めたほうがよいと思います。少なくとも予備校で勉強するかぎり、簿記の学習経験がない方に向けたカリキュラムは必ずあります。

簿記2級や1級を勉強したから公認会計士試験合格に近づくかというと、学習範囲も微妙に違うんですね。重要論点も違っていて、結局「遠回りになってしまう」可能性がありますから、単純に最短ルートをとるべき、というのが私の意見です。

公認会計士試験に対しては、「複数科目を並行させる」といったイメージが強いと思いますが、だからこそまんべなく平均点を取れば十分というか、「飛びぬけなければいけない」という感じではないかもしれないですね。

――社会人の場合、独学にするか、予備校を利用するか悩む方もいらっしゃるようですね。

かきゅみょんさん 私も最初は独学を考えました。「お金を節約したいな」とか、そのときは「自分ならできる」と思ったんですね。

試しに市販のテキストも本屋で買いました。ただ、実際に読んでみると理解できず、「自分は予備校で勉強しないとダメだ」と気づきました。

独学するか悩んでいる人がいたら、実際に市販のテキストを見てみるとよいかもしれません。

合格したことで心に余裕ができた

――合格後も事業会社での仕事を継続されていますが、合格する「前」と「後」で変化したことはありますか?

かきゅみょんさん 業務内容が変わったわけではありませんが、公認会計士試験で勉強したことは非常に役立っています。それは経理周りの細かい話だけではなく、企業法や経営学で学んだ知識も仕事に有益だと感じています。

目先の仕事以外でも、これからのキャリアを考えるうえでよかったことの1つは「独立」という夢が芽生えたことです。それまでは考えたこともないですから、合格してみてはじめて「そんな道もあるんだな」と考えられるようになりました。

もう1つは、「独立」ではないとしても、公認会計士の資格があれば「どこかで食えるな」という自信がつきました。

――周りからの反応も変わりましたか?

かきゅみょんさん 試験に合格したこと自体に対する反応というよりは、試験勉強を通じて身につけた知識やスキルを評価していただいたり、新たなチャンスが得られたりしたことはあったと思います。

ただ、周りの反応というよりは、心に余裕ができたというか、自分の気持ちが変わったことのほうが大きいと思いますね。

読者へのメッセージ

――最後に、社会人で公認会計士を目指す読者に、応援メッセージをお願いします。

かきゅみょんさん 公認会計士試験はたしかに難しい試験ですが、かといって、世の中の難関試験と比較して、別次元の難しい試験ではないと思っています。

現在も多くの社会人が、税理士試験やUSCPA(米国公認会計士)試験などの難関資格に挑戦されています。公認会計士試験だけを特別視して、「難しい」というイメージだけで挑戦を諦めてしまうのはもったいないです。少しでも気になっている方は、ぜひ選択肢の1つとして検討してみてほしいと思います。

私自身も昔、公認会計士試験を受けようと思ったものの、「難しいだろうな」と思って一度断念したことがあります。再び挑戦したとき、「あのときもっと早く受ければよかった」と後悔したので、迷っている方には私と同じような後悔をしてほしくありません。

今回お話した私の経験が皆さんの励みになれば嬉しいです。応援しています。

――ありがとうございました! より詳しい勉強法は、かきゅみょんさんのnoteでご覧いただけます。


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