日商簿記2級からの公認会計士・税理士! 合格のための学習プランと心構え


渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)

前記事では、大学生が日商簿記検定の受験後に、その学びを活かした職業を目指す場合、どのような判断基準で進路を選択すればよいか、私が指導している千葉商科大学 会計教育研究所「瑞穂会」(以下、瑞穂会)を事例に紹介しました。

今回は、さまざまな進路のなかでも公認会計士・税理士を目指そうという大学生に向け、試験合格のための心構えや学習プランを紹介します。

瑞穂会では特に、日商簿記2級合格後に、公認会計士になりたいか・税理士になりたいかを考える学生が多いため、今回は日商簿記2級合格後を想定したお話をします。

どんな出来事があってもポジティブに考えよう

まずは、公認会計士・税理士を目指す場合は長期間の学習が必要になるので、モチベーションの保ち方から説明します。

受験では、自分自身の学ぶ姿勢も重要ですが、友達、家族の支えも大切です。しかし、勉強を続けていると、そういった周りからの応援が逆にプレッシャーになることもあるでしょう。「頑張れ」という応援に対して、「これ以上は頑張れないよ・・・」と思うこともあるかもしれません。また、模試の点数が伸びず、「自分には才能がないのでは・・・」と悪く考えてしまうこともあります。

公認会計士試験・税理士試験を突破するためには、このような出来事を「自分の成長につなげるためのイベント」として考えることが大切です。

点数が伸びないということは、まだ伸びしろがあるということです。点数が伸びない原因を分析し、それを解決することで、さらに知識を深めることができます。逆に、毎回の模試で高得点を取っているのに本試験で合格できない受験生もいます。重要なのは、自分のレベルを的確に把握して、それに対応した学習方法をとることです。

考え方が変われば、周りの人から見てもわかるくらいに態度が変化していきます。そして、態度が変わると、行動力が生まれます。しっかりとした行動力を身につけられれば、習慣になっていくので、こうなれば学習の姿勢は「問題なし」です。失敗を「成功の過程」と考えれば、行動に移すのが怖いということもなくなります。

まずは、日商簿記1級にステップアップするのもあり

公認会計士試験・税理士試験には日商簿記1級の出題範囲が含まれているので、2級合格後の学習プランとしては、1級のテキストレベルの学習を経てから、公認会計士試験・税理士試験への挑戦を検討してもよいと思います。

実際に私は、公認会計士に興味のある学生を指導する場合、日商簿記1級の商業簿記・会計学または工業簿記・原価計算の瑞穂会テキスト講座を受講させた後に、公認会計士試験の受験を検討させるということもしています。

特に公認会計士試験は、専門学校で講座を申し込むと70万円前後の経済的な負担がかかるため、そういった受験のメリット・デメリットを確認させたうえで、最終的な判断を学生にさせています。

市販のテキストでもかまいません。公認会計士試験を検討している方は一度、日商簿記1級のテキストから学習されてみてはいかがでしょうか。

また、瑞穂会では、学生が税理士試験の受験を希望する場合も、日商簿記1級合格後に簿記論・財務諸表論の学習をさせています。

以下に、公認会計士試験・税理士試験それぞれ、日商簿記2級合格後の流れを示します。あくまで瑞穂会の事例に基づいたものですが、1つの目安として参考にしてください。

① 公認会計士試験受験開始までの流れ

② 税理士試験受験開始までの流れ

公認会計士試験は短期、税理士試験は長期!?

公認会計士試験は、年2回実施される短答式試験(第Ⅰ回・第Ⅱ回があり、いずれか)と年1回実施される論文式試験に合格する必要があります。一方、税理士試験は、会計科目2科目、税法科目3科目の計5科目を受験して合格する必要があります。

最短の受験期間を比較すると、公認会計士試験は約1年半~2年、税理士試験は4年~5年前後となります。

公認会計士試験は、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法といった複数科目に同時に合格しなければいけませんが、そのぶん受験期間は税理士試験と比較して「短期的」といえます。

逆に税理士試験は、1科目ずつ受験できますが(履歴書などにも1科目から記載できます)、受験期間は公認会計士試験と比較すると「長期的」です。

このような受験期間も考慮しながら、学習プランを考えてもよいかと思います。また、公認会計士か税理士かという進路選択の際にも、この受験期間は判断基準に取り入れてもよいのではないでしょうか。

最後に

前記事と合わせ、日商簿記検定の受験後の進路選択の基準と、2級から公認会計士・税理士を目指すにあたっての学習プランについてお話しました。瑞穂会の事例を交えた記事となりましたが、学生たちの事例が、皆さんの進路選択や学習の参考になれば幸いです。

最後に、瑞穂会の卒業生から「自分は何のために働いているのでしょうか?」と相談を受けることが少なからずあります。自分に合う働き方を考える機会は、ありそうで以外にありません。進路選択の際、自分に合う働き方について、じっくり検討してみてください。

<執筆者紹介>
渡邉 圭(わたなべ・けい)
千葉商科大学基盤教育機構で准教授を務める傍ら、会計教育研究所「瑞穂会」で税理士試験講座(簿記論・財務諸表論)と日商簿記検定1級~3級講座を開講し、ともに多数の合格者を輩出している。

千葉商科大学 会計教育研究所「瑞穂会」
会計教育の実践の場として、千葉商科大学の学生を対象に、日商簿記検定、税理士試験科目(簿記論・財務諸表論)の講座を開講し、無料で受験指導を行っている。専用の教室を有し、専任教員が常駐して学生の受験指導にあたる。現在、多くの合格者を輩出しており、毎回の合格率は全国平均を大きく上回る。また、大学の授業と資格試験の両立に悩む学生に効率的な学習方法をアドバイスするなど、個々の学生の状況に応じた細やかな指導を行っている。
HP:https://www.cuc.ac.jp/iaer/mizuho/index.html


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