【税理士合格体験記】理想のキャリアを実現するために! 働きながら「質より量」で簿・財一発合格!


あかり
(30代、会社員)

合格科目:簿記論・財務諸表論(ともに2021年)
学習スタイル:専門学校(TAC)

税理士試験に挑戦したきっかけ

私は現在、一般事業会社の企画部門に勤務しており、いわゆる結婚適齢期を迎えた女性として、人生のステージ変換期に直面しています。

結婚・育児や親の介護などで会社を退職せざるを得ない会社の同期・先輩を見て、「男女平等の時代といえども、女性は常に仕事だけに100%注力できるとは限らない。人生のステージごとに、エネルギー割合を変動できるような柔軟な働き方を実現したい」という価値観を抱くようになりました。

一方で、正社員を一度辞めてしまえば同じ条件で再就職するのは至難な時代。私の理想とする働き方を実現するために、他の人とは違った価値を、それもあまり多くの人が持っていないような高い価値を身につけたいと考えるようになりました。

そのとき頭に浮かんだのが、「税理士」という職業です。税理士資格があれば、キャリアウーマンとしてバリバリ働いたり、家庭と両立しながら働いたりできるなど、仕事をするうえでの裁量権を自分自身にもたせることができるのではないかと考えました。

また、もともと数学が得意で「お金」を扱う仕事に興味があったこと、科目合格制で会社に勤めながら試験に挑戦できる点も現実的であったことから、勉強を開始することにしました。

一度挫折した日商簿記1級から挑戦

大学生のときに簿記2級まで取得していましたが、上位資格となる簿記1級については、その内容の量と難しさに圧倒されてしまい、遊びたい盛りの学生時代にはハードルが高く、わずか数日で挫折していました。

当時の私にとって、簿記1級はとことん難しい資格であり、これを取得できた人はすごい人だという印象がありました。

大学で経済学の単位を取得していたので税理士試験の受験資格はあったのですが、この学生時代の挫折経験がよみがえり、まずは簿記1級を取りたい!と考え、専門学校の通学講座を申し込みました。

毎週土曜日は専門学校に通って授業を受け、それ以外の日はテキスト・トレーニングを徹底的に消化するという方法で、なんと難関資格である簿記1級に一発合格することができました。

私、会計のセンスあるんじゃない?という自信にもつながり、税理士試験の挑戦も現実的だと思えるように。そして、本格的に税理士試験の勉強を開始しました。

ここでも専門学校への通学を選択したのですが、選択科目として、簿記論・財務諸表論を同時受験するか、それぞれ1科目を別の年度に受験するか悩みました。

講師に相談したところ、「会計2科目は親和性が高く、重複する内容も多い。ほぼ1.5科目だと考えてください」とアドバイスをもらい、2科目同時受験にチャレンジすることにしました。

「0」から「0.1」でもいいので、勉強のリズムを止めない

私は勉強する際、「質より量。とりあえず手を動かす」という考えを大切にしています。

もちろん質がよいほうが効率的ではありますが、質に固執してしまうと、勉強を開始するまでのハードルが高くなってしまいます。

長い試験勉強期間には、モチベーションの波があって当然だと思います。実際に私も、仕事や恋愛・友人関係に悩み、勉強が手につかなくなってしまうこともありました。

ただ、そのような停滞期も、テキストを1ページだけ音読する、簡単な例題を1問だけ解くなど、毎日少しでも勉強するように意識していました。

勉強に注ぐエネルギーをいったん「0」にしてしまうと、次に「1」に上げるのはたくさんのパワーが必要になると思います。

「0.1」でもいいから、勉強に向かうハードルをとことん下げ、それでも毎日途切れさせない、この意識こそが資格勉強を継続させるコツであると考えています。

【財務諸表論】理論はスキマ時間に暗記、しかし「理解」を中心に

簿記1級で少しだけ会計基準に触れてはいたものの、財務諸表論の理論テキストの内容量はレベルが違い、最初は圧倒されてしまいました。

財務諸表論の理論は、内容を理解したうえで、題意に沿った文書を書くことが要求されるので、会計基準の丸暗記よりも、全体の内容を理解することに重点を置きました。

税法科目と異なり、一字一句レベルでの採点はされないはずなので、大まかな意味が記述できればいいくらいの感覚でも大丈夫かと思います。

具体的な勉強方法としては、市販の会計基準集(重要用語が赤字になっているもの)を何度も何度も繰り返し音読し、意味がわからない言い回しは理論テキストと照らし合わせたり、講師に質問したりと徹底的に理解することに注力し、理解できたものから文章を暗記するようにしました。

暗記したい文章はスマホアプリを活用し、自分で音読して録音し、通勤時間などのスキマ時間に聞いたり、暗唱したりしました。

録音した自分の声と100%シンクロして暗唱できたら合格です。口に出してスラスラ言えるものは、脳にしっかりインプットされているということなのか、文字に起こしてもスラスラ書けるような気がします。

この方法で効率的に理論暗記を行うことができたと思います。

【簿記論】苦手な総合問題は、解き方を「マニュアル化」

簿記1級に合格していたため、ある程度の計算力は身についていましたが、特に簿記論については問題量の多さに圧倒され、TACの最初の答練でも成績は全体の中位以下でした。

とにかく第三問の出来が悪かったのですが、講師から「第三問は練習すれば速く解けるようになる。伸びしろがあると考えてください」とアドバイスをいただき、救われた記憶があります。

第三問(総合問題)では多くは決算処理が問われますが、とにかく答練を繰り返し、分量をこなして自分なりの解き方をマニュアル化することが大切だと思います。

私の場合、問題を解く順番として、集中力がある最初のうちに配点箇所が比較的多い「有形固定資産の減価償却」に関する問題に手を付け、問題の指示が広範囲にわたる傾向が強い「現金」・「売掛金」などの問題は最後に解くようにしていました。

それ以外は順番通りに解いていましたが、初見の問題や複雑な問題は「没問」と考えて飛ばし、あとで時間に余裕があれば挑戦するくらいの気持ちで取り掛かっていました。

また、各勘定科目の金額集計については、金額の変動が多い「現金預金」、「売掛金(買掛金)」、「売上(仕入)」はT字勘定で集計し、その他の変動が少ない科目は仕訳を書くなど、集計方法を使い分けるようにしていました。

財務諸表論の計算は、簿記論とほぼ重複するため対策は特にしませんでしたが、表示科目や注記の回答など、独自の問題も出題されるため、テキストを読み込んで「理解」中心の学習を心がけました。

勉強の「量」と「質」の確保

学習を開始した1月から試験当日まで、勉強時間を確保するため時間の管理を徹底しました。

平日は、朝は少し早く起きて1時間トレーニング問題を解いて、帰宅後2~3時間勉強することで、最低限の勉強時間を確保していました。休日は専門学校に開校時間ちょうどに到着し、閉校時間まで粘りました。こうした取り組みが勉強時間の絶対量確保につながったと思います。

仕事も、なるべく定時退社を目指しました。環境が許すのであれば勉強を優先し、仕事は必要最低限にするという気持ちの割り切りも必要かと思います。

私は税理士試験の勉強を上司や同僚には内緒にしていましたが、周囲が残業しているなかで自分だけ早く帰ることへの罪悪感や孤独感を抱きながら勉強するのは結構しんどいです。打ち明けるほうが楽になるのであれば、前向きに頑張っていることを共有してもよいかもしれません。

「質」については、専門学校の指導に任せることにしました。とりあえず講師の解説をよく聞き、アドバイスに従っておけば合格のための最低限の力は身につくので、私のように勉強のやり方に自信がない方、ペース作りに自信がない方は専門学校を利用することが近道だと思います。

なかなか寝付けなかった試験前日

試験直前は、専門学校の講義で、試験日までの体調・マインドの管理や、試験会場に着いてから試験開始までの流れなどを紹介してもらっていたので、当日のイメージトレーニングを事前に行うことができました。

ただ、会場の下見や交通手段などの確認は十分にしておけばよかったと反省しています。

というのも、試験前日から天候がかなり悪く、交通手段として考えていたバスが運行休止になるかもしれないという情報がホームページに載っており、無事に試験会場に到着できるかとても不安になってしまったからです。

簿記論の試験開始は朝9時で、そもそも朝早く家を出ないといけないプレッシャーもあるなか、「もしバスが運休したらタクシーちゃんと拾えるかな……最悪、歩いていく? でも7キロ近くあるのに無理でしょ…」などと考えていたら、試験前日の緊張感も相まって寝付けなくなってしまいました。

結局寝たのは明け方5時頃。6時には起床する必要があったため、睡眠わずか1時間という最悪のコンディションで当日を迎えることとなりました。

結局、バスは通常運行したため、問題なく試験会場に到着できましたが、当日の精神衛生のためにも、天候が悪かった場合の対応策、複数の交通手段を考えておくなど、事前にしっかり準備することをおすすめします。

簿記論は全然ダメだった

試験本番。簿記論の出来は最悪でした。第一問・第二問と、まったく対策していない問題が出てきました。

簿記1級のテキストに載っていた「中途半端に解けそうな問題」に手を付けてしまい、時間を無駄にしてしまいました。

没問に手を出しても正答できる可能性は低いため、取りかかるべき問題を取捨選択する判断が簿記論には求められると思います。

第三問の総合問題も、「本支店会計」に「リースバック」と盛りだくさんでしたが、解ける問題を確実に拾っていく感覚で取り組んだことで、合格に必要な点数をなんとか積み上げることができたのだと思います。

奇跡の2科目一発合格

合格発表は12月17日でしたが、合格通知が実際に手元に届いたのは週が明けた12月20日でした。

理論も計算もスムーズに解くことができた財務諸表論はともかく、簿記論は確実に落ちていると思っていたので、合格がわかったときはかなり驚きましたが、同時に、日常生活では決して味わえない、なんとも言えない達成感を得ることができました。

今後について

今後は、税理士資格獲得に向け、税法科目にチャレンジしていきたいと思います。

税制改正で毎年のように法律が変わり、知識のアップデートが必要である税理士は、無事に資格が取れたとしても勉強がそこで終わるのではなく、本格的に働き始めてからも一生勉強が必要になる職業だと思います。

これからも努力は必要だと思いますが、理想とする働き方の実現のため、これからも少しづつ、ステップアップしていきたいと思います。


関連記事

ページ上部へ戻る