独学&監査論1位で公認会計士試験に一発合格! その勉強法を聞いてみた


独学で公認会計士試験に合格した人は、どのような勉強をしていたのでしょうか?

予備校に通う受験生が多い公認会計士試験ですが、「独学でも合格できるかどうか」は気になるところですよね。

そこで今回、令和3年公認会計士試験に独学で一発合格を果たされたドッポさん(地方国立大学経済学部3年生)にインタビューをさせていただきました。

さらにドッポさんは、独学だけではなく監査論にも「1位」で合格されています。その学習法も伺ったので、ぜひ参考にしてみてください。

独学で会計士を目指したきっかけ

――独学で会計士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

ドッポさん 会計士を目指したのは、大学1年生のとき簿記3級レベルの授業を受けたことがきっかけです。そのなかで、会計士の方が来て「こんな職業だよ」と説明してくれる機会もあり、もともと大学では何かを成し遂げたいと思っていたので、2年生の春から勉強を始めました。

独学だったのは、予備校の受講料が高かったことが理由です。調べたら、たしかに大学生だと予備校に通うのが基本でしたが、それでも会計士を目指したかったので、それなら独学で頑張ってみようと思いました。

――独学するにあたって不安は感じなかったのでしょうか?

ドッポさん 最初は不安でした。「本当にできるのかな」と思ってインターネットで調べても、「独学はほぼ不可能」というマイナスな情報だらけで……。

ただ、その一方で「独学で合格した」という記事や、社会人が独学で合格したという本もありました。そういった例もゼロではないので、「できないことはないのかな」と思っていました。

◆独学で合格した人の記事や本をモチベーションに勉強スタート。

――大学受験などで、もとから「独学する」ための力や土台はできていたのでしょうか?

ドッポさん 大学受験でも予備校や塾には通っていなかったので、「自分で計画を立てる力」というのはあったのかもしれないです。

また、センター試験(現在の共通テスト)では国語・数学・理科・社会・英語の5科目を受けなければいけないので、複数の科目を同時並行で勉強するという意味では会計士試験に近いものがあったのかもしれません。

学習時間や教材の使い方

――1日の学習時間や学習場所を教えてください。

ドッポさん 月平均だと1日8時間程度でした。試験直前は12時間くらいですね。

大学2年生の春から勉強を始めたのですが、2年生のうちは部活動と並行していました。ただ、それだと学習時間をなかなか確保できず、短答式試験の公開模試を受けたときにボロボロだったので、3年生になる前に休部しました。

実家を離れて一人暮らしなのでアルバイトもしているのですが、それもたまに出勤するくらいに留めました。

学習場所は基本的に家でしたね。外に出るのが面倒だったので……(笑)。周りを気にしなくていいのも楽でした。

ただ、緊張しやすいタイプなので、本番のように周りに人がいる環境にも慣れておいたほうがいいと思い、たまに大学の図書館で勉強していました。

――教材はどのように選んでいましたか?

ドッポさん まず簿記1級から勉強を始めようと思い、市販のテキストを買い、その後は 財務会計論・管理会計論・監査論で『スタンダードテキスト』(中央経済社)を買いました。監査論に関しては、問題集の『理論科目集中トレーニング』(同)も使っていました。

ただ、企業法に関しては自分に合ったものが見つからず、予備校の教材を単冊で買えるかを調べたんです。そうしたら、単冊で販売している予備校があり、企業法を買ってからはフリマアプリで他の科目も集めました。

最終的には、その予備校のテキストや問題集を揃えたのですが、先に『スタンダードテキスト』を読んだことも無駄にはなりませんでした。

そのときは何を言っているのかよくわからなくても、重要な論点のイメージを理解し、土台を作っておけたことはよかったと思っています。

予備校のテキストを読んだときに、「あのときに言っていたことはこういうことだったんだ」とスムーズに理解できました。

◆『スタンダードテキスト』シリーズ(中央経済社)

――教材はどのように使っていましたか?

ドッポさん テキストには論点ごとにインデックスシールを貼り、理解が浅い部分には細い付箋を貼っていました。

書き込みはしていません。そもそも講義を受けていないので、プラスアルファで書き込むことはありませんでした。

付箋も基本的に外すことはしていません。最初に理解できなかった論点は、そのときテキストを読んで理解できても、時間が経ったら忘れたり、もともと苦手だったりするので、なるべく残しておくようにしました。

繰り返しテキストを見ているうちに、「こっちは理解できてきたな」「こっちはまだ理解できていないな」とわかってくるものなので、 同じような付箋が貼られていても 、より苦手なほうに時間をかけるということは自然にできていたと思います。

問題集は、理論は1周くらいしかしていません。テキストを一通り読んだ後、知識が身についているかを確認するために解いていました。そのかわりに、間違えた論点があれば、テキストに付箋を貼り、その部分を何度も読みました。

逆に計算は、同じ問題集を何度も解きました。完璧にできるようになるまで、間違えたり怪しいと思ったところは、計画表に「×」や「△」をつけ、定期的に解き直すようにしていました。

答練や模試を目標に学習計画を実行する

――独学だとカリキュラムがなく、自分自身で学習計画を管理する必要があると思います。計画を立てる際に意識していたことはありますか?

ドッポさん Twitterで予備校講師の方が「この模試や答練までここを固めましょう」といった発信をしている場合は、それを指針にしていました。

個人的にも、「この日に答練や模試を解こう」と決め、そこから逆算して「この1ヵ月でこの分野を勉強しよう、○点をとれるようにしよう」と考えていました。

答練もフリマアプリで購入し、公開模試は成績が出るので受けるようにしていました。

――計画通りにできるものですか?

ドッポさん そうですね。答練や模試を解く日だけは守っていました。

普段は、細かく計画を立てるというよりは、「この答練までにこの論点を押さえる」「この模試までにテキストを2~3周する」というように、ざっくり計画を決めていました。

計画通りにいかないと「あ~今日はできなかった」と落ち込んでしまうので、あまり細かく考えすぎないようにしていました。

――答練を解いた後は、どのように復習していましたか?

ドッポさん 短答式試験の場合は、個々の論点の問題が出るので、間違ったら、純粋にその問題が解けるようにテキストを振り返ったり、問題集で類題を解いたりしました。

論文式試験の場合は、「5月に短答式試験を受けて8月に論文式試験を受ける」ということで時間がなかったので、あくまで「実践演習」という位置づけでした。「全部が全部できなくてもいいや」と割り切っていましたね。重要な論点は間違えたらテキストで復習していましたが、難しい問題は正直なところ「解き捨て」です。

特に計算は、あまり復習していません。短答式試験だと似たような形式の問題が出ますが、論文式試験だと同じ論点でも出題のされ方が違ってくるので、解き直してもあまり意味がないかな、と考えていました。

監査論は法令基準集を活用し、メリハリをつける

――今回さらに素晴らしいのが監査論に1位で合格されたということ。監査論はもともと得意だったのでしょうか?

ドッポさん 短答式試験の段階では得意ではありませんでした。ただ、論文式試験に向けて模試を受けていたら、他の科目は対策が間に合っていないのに監査論だけ成績がいいということはありました。といっても、決して1桁台の順位とかではなかったです。

今回1位だったことについては、公開模試で出題されたり、Twitterで他の受験生が「ここが出そう」と話していたりしたヤマが当たったというか、自分もそこを重点的に勉強していたというのもあると思います。

あとは、法令基準集を見て解ける問題が多かったのも大きいですね。今までは、監査論の全問のうち法令基準集を読んで解けるのが2~3割で、しっかり覚えていかなければならなかったと聞きます。

しかし、今回に関しては、そもそも「短答式試験から論文式試験まで3ヵ月」と時間がなかったので、答練を解いているときから、積極的に法令基準集を使うようにしていたんです。自分の言葉で答えるより、法令基準集の言葉で答えたほうが正解にも近づくだろうと考えていました。

テキストを覚えることも大切ですが、法令基準集を使うにも慣れが必要なので、普段から触っておくことは大切だと思います。

たまたま今回は法令基準集を使える問題が多かったので、とにかく法令基準集を見て解きました。普段の学習と今回の傾向がマッチしたといった感じですね。

◆実際の成績通知書

――法令基準集を使う以外にも、勉強する際に意識していたことはありますか?

ドッポさん テキストに「ここは覚えよう」「ここは法令基準集を見よう」という指示があったので、それに従ってメリハリをつけていました。

覚える部分はしっかり理解し、法令基準集で対応できる部分は大まかに全体的な構造や流れを理解していました。

あとは、「これは法令基準集のここらへんに書いてあるな」という目処はつけていましたね。

「自分で計画を立てて行動できるか」 が独学のポイント

――「独学に向いているかどうか」を見極めるポイントはありますか?

ドッポさん 一番は「自分で計画を立てて行動できるか」です。

予備校に通うと、教材や講義が充実しているだけではなく、定期的に答練や模試があるので、それを目標に勉強できるのが強みだと思います。

独学だと、そのレールが敷かれていないので、誰も管理してくれません。そのため、「○月までにこれをして、次はこれ」と目標を決め、それに向けて勉強できるかどうかが大切になってくると思います。

――独学で会計士を目指す受験生にメッセージをお願いします。

ドッポさん 独学の場合、周りに仲間がいないことが多いので、モチベーションが下がってしまったり、他の受験生の進捗を確認できなかったりする難しさもあると思います。

そこで大切なのは、やはり計画を立てることです。なんとなく勉強していては、独学では合格できません。ざっくりでいいので、計画を立てることは常に意識したほうがいいと思います。

また、独学は一般的には「難しい」と言われていますが、SNSを見ると独学している受験生は意外といます。つらいこともあるかもしれませんが、周りに流されず、自分のペースで頑張ってください。

――励みになるメッセージをありがとうございました! ドッポさんの会計士としてのご活躍を応援しております♪


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