【税理士法人山田&パートナーズ社員インタビュー】File6:山田知佳「新卒で会計業界へ! 神戸⇄東京の「部門間交流」で得た経験を後輩たちにも伝えたい」


税理士法人山田&パートナーズ(YP)神戸事務所に入社して5年目の山田さん。学生のときから税理士を目指し、新卒で会計業界へ飛び込みました。インタビューを実施したのは6月某日。「部門間交流」制度を利用し、東京本部に在籍されているときでした。あと数日で神戸事務所へ戻るというタイミングで、東京本部にて経験できたことや東京と神戸の仕事で違ったことなどについてお話を伺いました。「新卒で会計業界に入れる?」「東京で働くってどんな感じ?」が知りたい受験生にもオススメの内容です!

【目次】
東京で働くきっかけについて聞いてみよう!
現在のお仕事について聞いてみよう!
税理士を目指したきっかけについて聞いてみよう!
就職活動について聞いてみよう!
コロナ禍での変化について聞いてみよう!
今後の展望について聞いてみよう!

東京で働くきっかけについて聞いてみよう!

――現在は「部門間交流」で、東京本部に在籍されていると伺いました。

山田さん はい、入所は山田&パートナーズの神戸事務所で、現在は「部門間交流」制度を利用して東京本部に在籍しています。この記事が掲載される頃には、神戸事務所に戻っている予定です。

私は大学までずっと関西で暮らしていたので、関西から出ることは1ミリも考えたことはありませんでした。

そんな私でも東京に行ってみようと思えたのは、部門間交流が「自分が東京に来て、東京の人が自分のところに来てくれる」という制度で、基本は1年間という「期間限定」であることが大きかったです。

また、神戸事務所に部門間交流を利用して東京で働いたことのある先輩が身近にいたんです。その先輩のお話を聞いていると、東京のほうがメンバーの人数が多いこと、規模の大きい案件に携われることなどがわかりました。

神戸事務所はメンバーが13~14人程で、「YPでできる仕事は全部します」というようなスタンスなので、「これがしたい! あれがしたい!」と声に出していたら、いろいろと案件が飛び込んでくるようなイメージです。

一方で、東京本部ではメンバーも多く、部署も細かく分かれています。なので、ここでは相続税申告が多いとか、ここではより狭く、深い分野を扱うと、より専門特化しているようなイメージを感じました。

相続税申告は、計算方法は決まっていますが、そこまでのアプローチが人によって違うんです。考え方によって違うところがあるので、いろいろな人の考えに触れてみたいと思うようになりました。

関西から出ることは考えられなかったような私にとっても、期間限定だとすごく楽しそうだなという軽い気持ちから手を挙げました。

◆神戸事務所の女性メンバーが送り出してくれた食事会(2019年末)

――私も関西人なので、気持ちはよくわかります。期間限定だと、精神的なハードルが下がりますよね。

山田さん そうですね。私の場合、東京に知り合いが1人もいなくて、標準語も全然聞き慣れず、しばらくは違和感がありました。1年半経った今でもずっと関西弁のニュアンスなので、すぐに「関西の方ですよね?」とお客様にも言われることも多く、「お客様にどう思われるのかな」という心配はありましたが良い方々に恵まれました。

この「部門間交流」というのは公募で、希望する人が手を挙げて、そのなかでマッチする人がいれば交換できる、という制度なんです。自分の使うパソコンや社内システムは変わらないけれども、周りの人も変わるし、場所も変わって、転職感覚で働く場所を変えられます。

今回、私は2020年1月から東京本部に来ました。当初はコロナの蔓延前だったのですが、来てから第1回目の緊急事態宣言が出てしまいました。

部門間交流で期待していた1つが、「東京本部のメンバーとの交流」です。なのに、緊急事態宣言により半ば強制的に在宅勤務になってしまい、思うように交流の機会が持てませんでした。

部門間交流は基本的に1年間なのですが、いま私の代わりに神戸事務所で働いているメンバーとも、「1年間では少し物足りないよね」という話になりました。

そこで、「半年くらい延長できないか」ということで、お互いにそれぞれの上司に相談をして特例的に延長をしてもらうことができ、1年半の交流期間となりました。

そういった意味では、上司がきちんと意見を聞いてくれるし、上司から会社にも掛け合ってくれるので、柔軟な組織だなと感じています。

――この1年半は充実していましたか。

山田さん あと数日で終わるのですが、事務所メンバーと飲みに行けなかったというのが心残りです。でも、とても充実していました。

自分が東京でやりたいと思っていたことに、「規模の大きい案件」に携わるということがあります。その点では、関西にいたら経験できないような、何十億円規模の相続案件に携わらせてもらうことができました。

規模が大きくても、関わるメンバーは3人程度です。というのも、関与する人数が増えてしまうと、部分的な手伝いになってしまったり、網羅的に把握できている人がいなくなったりしてしまうからです。

現在のお仕事について聞いてみよう!

――具体的に、東京本部ではどのようなお仕事をされていましたか。

山田さん 私は現在、部門間交流で、東京本部に期間限定で在籍しているため、主に、個人のお客様の相続税申告をお手伝いする仕事をしています。

相続税申告の案件は、短くて3〜4ヵ月で終わるケースから、長くて1年以上かかるケースもあります。だいたいは半年ほどで1つの案件が終わることが多いので、そういったスポットの案件を担当しています。

相続というと、富裕層というイメージがあるのではないでしょうか。

ですが、東京では路線価、いわゆる土地の金額が高いので、ご自宅があるだけで相続税がかかってしまうという方もいらっしゃいます。

「そんなに財産を持っていないのよ」というお客様でも、相続税がかかってしまうのです。

――お仕事で、神戸と東京の違いは感じましたか?

山田さん 神戸と比べて、東京は土地の桁が感覚的に1桁違います。地方の住宅地は、1平米当たり10万円くらいまでというのが主ですが、東京では住宅地でも1平米当たり70〜80万円というところもあります。

東京と同じ価格で物件を探しても、関西だと1部屋、2部屋増えますよね。それくらい単価が全く違うので、そこは違いを感じましたね。

そういった背景があるので、東京では持ち家があるだけで相続税申告が必要となるお客様が、地方に比べても増えます。すると、納税金額が高くて資金が用意できずに、極端な話、土地を売却しないと資金が準備できないという話が出てくることもあります。

そういったケースは、「東京ならではだな」と感じています。ですので、このままだと納税資金が用意できないので、どうしようかということで、事前に対策を取られるお客様も多いですね。

たとえば、土地をいくつか持っていらっしゃる場合は、銀行からのアドバイスを受けて資産のシミュレーションをされて、事前に納税についての相談に来られる方もいらっしゃいます。

でも、ほとんどの場合が、「自分はそんなに財産持っていないから」と思っていらっしゃる方ばかりで、「いやいや、実はいま資産価値がこれくらい上がっていて、これくらい税金がかかってきますよ」というお話をすると「え、そんなにかかるの!?」とびっくりされます。

実際に相続が発生してからは相続税対策をとることも難しいので、そのなかでどうやって支払うか、資産の評価が適正かなどを考えています。

◆東京観光の様子

――お仕事で嬉しかったことはありますか?

山田さん 相続の案件は、さまざまなケースがあるので、この方法が一番よかったというものでもありません。さらには、考える人によっても、そのパターンはさまざまです。

また、相続は大切な方が亡くなられて、10ヵ月以内に申告しないといけません。心の整理やゆっくり落ち着くほどの時間がないなかで、こちらも対応することになり、申し訳ないなと思うこともあります。

そのなかでも一生懸命に考えて、お客様にご提案をして、「頼んで本当によかった」と言われることは、自分のやりがいにもつながっています。

税理士を目指したきっかけについて聞いてみよう!

――税理士に興味を持ったきっかけはいつですか?

山田さん 高校生の頃にリーマンショックがあり、内定取消しといった就活に関するニュースもよく取り上げられていました。ちょうど、高校卒業後の進路を考える時期で、大学や学部を決めるタイミングだったんです。

なんとなく、「やっぱり女性でも資格を持たないと、なかなか長いこと働けないんだろうな」という考えがあり、そのなかでも興味があったのが、お金に関することでした。

そして、経営学部に進学し、税理士や会計士っていう仕事が面白そうだなとは思っていたのですが、学生のときは税理士と会計士の違いさえあまりわかっていませんでした。しかも、大学で簿記の授業を受けてもあまり面白くないし、成績もそんなによくなかったんです。

「こんなんで資格取れるの?」って自分でも思っていたのですが、2年生のときに、税理士の方が実務のお話をするという授業があったんです。そのなかで、「税理士は中小企業のお手伝いをすることで、自分も一緒に成長できる」「いろいろなことを考えていくうえで経営的なアドバイスをし、お客様に寄り添って仕事ができる」ということを知りました。

その授業をきっかけに、2年生の終わり頃から、「本腰を入れて勉強してみようかな」と思って、受験勉強をスタートしました。たまたま受けたこの授業で、実際に税理士の話を聞く機会があったことが、私にとっての分岐点になりました。

実は、この授業は今も続いていて、今は伝える側の立場で、母校の学生に税理士の仕事についてお話ししています。

税理士は平均年齢が60歳代で、「職場に若い人がいないんじゃないか」とか、「女性がいないんじゃないか」と私も学生時代に思っていました。でも、実際YPに入社してみると、若い人も多いし、女性で活躍されている方も多いです。そういう実態を学生に知ってもらいたいという気持ちでお話をしています。

――受験勉強はどのようにされていましたか?

山田さん 3年生の春から専門学校に通いはじめ、簿記論と消費税法の勉強をスタートしました。消費税を選んだのは、専門学校の先生に「実務で絶対いるよ」とアドバイスをもらったからです。

また、母校には飛び級で大学院に進学する制度がありました。なので、その制度を利用し、3年次を終えた後、大学院へ進学することにしました。大学院1年生のときに簿記論と消費税法を2科目受験、大学院2年生のときに財務諸表論を受験し、すべて一発合格することができました。

また、税法の科目免除をするため、税法をテーマにした修士論文を書き上げました。大学院では、論理的な思考を身につけたり、会計だけでなく、経営や管理会計などの勉強もできたりしたので、それは今にも役立っていますね。

就職活動について聞いてみよう!

――それはとてもハードは2年間でしたね! 新卒での就職活動はどのようにしましたか?

山田さん 大学院2年の夏、税理士試験が終わってから、合同説明会に行きました。学生時代は、先輩や周りに税理士業界の人はいなかったので、業界内の事情や評判を聞く機会がありませんでした。なので、何がしたいということが明確になかったので、「いろいろなことがしたい」と思い、中規模から大規模の税理士法人に幅広くお話を聞きました。

合同説明会に実際に行ってみると、採用側よりも就職希望の人のほうが少なくて、まるで大学でのサークルのビラ配りのような雰囲気で、いろいろなところから声をかけてくださりました。そこではじめて、こんなに売り手市場で、人が足りていないのかと気づいたんです。

もともとYPが第一志望だったかというと、実はそうではなくて、他社と迷っていたんです。

それこそ、「自分がいま何をしたいのかがわからないからいろいろなことがしたい」「できれば法人も個人も問わずやりたい」という気持ちがありました。いくつかの内定をもらってから、その事務所の方に、「入ってからどんな仕事をするのか」と聞いたら、「とりあえずは相続をやってもらおうと思っている」と言われました。

実は、女性が相続の案件をやるほうが相談を受けやすいというのが、なんとなく雰囲気としてはあるんですね。それはそれでよいとも思うのですが、ただ、YP神戸事務所の所長からは、「いろいろなことができるし、個人の案件も、法人の案件も、いろいろなことをやってもらうつもりだよ」と言われたんです。

自分がやりたいと思っていたことを、相手からも提示され、私もそのほうがいいなと思い、YPへの入社を決めました。

――学生から新卒で入る場合、実務の現場を知らないのでイメージがわきにくいのでは?と思います。そんななか、いろいろやりたいという思いに至ったのはなぜでしょうか?

山田さん 独立志望があるわけではないのですが、税理士としてある程度はいろいろな経験を積みたいという思いがありました。「これは自分ではできないんです」というのも嫌だったんです。大学院の先生も、いろいろな経験をしたほうがいいんじゃないと。

学生で実務を経験したことがまったくなかったので、合同説明会で「やりたいことはある?」と聞かれても、受験勉強はしているけど、事業承継といわれてもよくわからないし、コンサルティングもよくわからない。消費税を勉強していて計算はできるけど、実際の申告書は見たことがないっていう状態です。

なので、自分の可能性を広げるためにもいろいろなことができる事務所を選びました。

実務については、試験で相続税法も法人税法も勉強をしていないので、基礎がまとまっている実務書や質疑応答などの書籍を読んだり、事務所の勉強会に参加したりしています。

コロナ禍での変化について聞いてみよう!

――コロナ前と後で、働き方や仕事内容における変化はありますか。

山田さん 一番はやっぱり在宅勤務ができるようになった、というか、しなければいけなくなったことが大きいですね。

相続案件に限っていうと、2〜3年前までは「もう紙しか考えられない」みたいな状態でした。というのも、紙の原本で確認するという要素があるからです。

ですが、今は紙で資料をもらってもどんどんPDFにしていこう、そうすることで在宅勤務もできる状態にしていこうという流れになり、働く環境はすごく変わりましたよ。

私自身は、週1〜2日程度、在宅勤務をしています。

やはり、個人のお客さんが多いので、資料の発送や確認のために出社する必要があるのと、結局のところ事務所へ行ったほうが、話が早いというのもありますね。

――お客様側の変化は?

山田さん お客様もオンラインでの面談に慣れてきて、タブーではなくなってきました。高齢者の方だと抵抗があって、こちらも提案がしにくかったんです。

ちょうどコロナの前、2019年くらいにYPのビジネス開発研修会議(今後の事業アイデアを考える会議)で、相続のリモート対応、リモート面談ができないかというのを検討していました。その理由としては、相続人の方が全国各地にいらっしゃって、移動距離が大きいということがあったからです。

ただ、この頃は銀行の方へも提案しにくい雰囲気があり、導入することが難しかったのですが、コロナによってその雰囲気がガラッと変わり、もはやこれがスタンダードになってきました。

今後の展望について聞いてみよう!

――これから神戸に戻って、東京での経験をどう活かしたいですか。

山田さん 東京本部はメンバーが多く、専門知識により詳しい人もそれだけ多くいます。社内でも有名人がいて、「この分野はこの人が強い」とか、「あの人に聞いたらわかると思う」といったことを先輩に教えてもらって、実際に聞きに行くとそのとおりだったりしてすごいなと思いました。

地方では、なかなか直接やりとりする機会がありませんし、たとえ私が相手のことを知っていても、相手は私のことを知りません。そんな相手に、突然メールで質問をするのは難しいことですが、東京ではすぐに先輩がつないでくださってとても助けられました。

部門間交流で得たこの社内人脈を神戸に戻っても広げたいと思います。

また、たくさんの相続税申告に携わったおかげで、私自身も視野が広がった部分があり、自分の引き出しが増えたので、関西のお客様にも活かしていきたいと考えています。

この経験を、神戸事務所の後輩にも「こういうやり方があるんだよ」と惜しみなく伝えて、「部門間交流自体をオススメしていきたいと思います。

――会計業界における今後の見通しはどのように感じていらっしゃいますか?

山田さん 「将来、税理士の仕事はAIに奪われる」というのは前々から言われています。しかし、個人的には「絶対になくならない仕事」だと思っています。

というのも、たとえ計算自体はAIやパソコンがやってくれたとしても、人の微妙なニュアンスや意向を感じ取ってプランを出すというコンサルティング業務は、気持ちをわかる「人」しかできません。それがこの仕事の強みだと感じています。

もちろん、楽できるところは楽したいという気持ちなので、そこはAIに任せればいいと思います。

また、この1〜2年でリモート対応が進み、時にはリアルタイムで、時にはリモートで面談するということもできるようになりました。それにより、コンサルティングにかけられる時間がより増えるのではないかと考えています。

知恵を絞って問題解決をしていくという仕事は、とても面白いですよ。

〈お話を伺った人〉
山田 知佳(やまだ ちか)
税理士法人山田&パートナーズ神戸事務所・税理士
兵庫県神戸市出身。高校生の時にリーマンショック後の就職難を近くで見て資格に興味を持ち経営学部へ進学。大学院生時代に税理士試験に合格。大学院修了後、2017年4月に山田&パートナーズ神戸事務所入所。2019年5月、税理士登録。神戸事務所では、個人・法人問わず様々な業務を経験。東京本部で規模の大きな相続にチャレンジしたい気持ちから、部門間交流制度を利用し、2020年1月1日より2021年6月まで東京本部プライベートアドバイザリー部にて勤務。


【税理士法人山田&パートナーズ社員インタビュー】
File1:安岡 喜大「次の世代を担う人たちへ 税理士の仕事はこれからも社会に求められる」
File2:川村理重子「専業主婦から税理士へ! たくさんの仲間に支えられた働きながらの受験と大学院生活」
File3:井上 弘美「在宅勤務で子育てと両立! 税理士の資格は「長く働き続ける仕事」が魅力」
File4:土田 裕規「証券マンから会計業界へ! 公認会計士が「税理士法人」を選んだ理由」
File5:岩﨑 理恵「ロサンゼルスオフィスで奮闘した4年間! 帰国後も、税理士として日米の架け橋になる」
File6:山田 知佳「新卒で会計業界へ! 神戸⇄東京の「部門間交流」で得た経験を後輩たちにも伝えたい」
File7:阿部 佑大「自分の3本柱を意識! 地元・仙台で”お客様の近くにいる”存在になりたい」
File8:松田紗貴子「将来は海外で働きたい! 働きながらの受験生が活躍できる業界・組織の魅力」


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