第70回税理士試験【解答速報】情報


【財務諸表論】

◆資格スクール大栄/ネットスクール

講評

第一問
包括利益とクリーン・サープラス関係が主に出題されました。論点自体の難易度が高いこと、あまり対策をされていなかった方がいらっしゃったことから、解くのに苦労されたかと思います。
⑴「包括利益の表示に関する会計基準」の語句記入問題
包括利益及びその他の包括利益の定義に関するものであり、包括利益が出題される場合には問われやすい箇所であるため、少しでも多くの箇所を正解していただきたいところです。
⑵ 包括利益と当期純利益の関係
①、②の選択問題は正解していただきたい箇所であり、③のクリーン・サープラス関係の定義は、書きづらいですが部分点をとっていただきたいところです。
⑶ その他の包括利益に該当しない項目とその理由
その他の包括利益に該当しない項目については必ず正解していただき、理由については「当期純利益に含まれている」ことを記述して部分点をとっていただきたいです。
⑷ 組替調整額について
組替調整額の別の名称は必ず正解していただきたい箇所です。組替調整が必要な理由を企業価値評価の観点から書く箇所については、多くの方ができないと思われるため、できなくても気にする必要はないと思います。
⑸ 包括利益の位置づけと、当期純利益との関係
「包括利益の表示に関する会計基準」の結論の背景にある箇所ですが、書きづらい論点でもあるため、できなくても仕方がないかと思います。

第二問
「財務会計の概念フレームワーク」の資産、負債の定義と、資産除去債務の会計処理について出題されました。
問1 「財務会計の概念フレームワーク」
⑴ 資産、負債の定義の空欄補充問題
「財務会計の概念フレームワーク」の中でも最も重要な箇所のひとつですので、少しでも多くの箇所を正解していただきたいところです。
⑵ 利益観の名称
思い出すのが難しかったかもしれませんが、できれば正解していただきたいところです。
⑶ オペレーティング・リース取引が資産の定義に該当するかについて
近い将来に予定されている「リース取引に関する会計基準」の改正を意識して出題されたと思われます。難易度が高いため、書けなくても気にする必要はないと思います。
問2 資産除去債務の会計処理
⑴ 除去費用の会計処理
見慣れない処理も含まれますが難易度は高くないため、前後の文章より、できれば正解していただきたい問題です。
⑵ 両建て処理と引当金処理の比較 問題文の問われた方はあまり見慣れないですが、これまで学習されたことを活かして部分点をとっていただきたいです。

第三問
製造業を行っている会社について、B/S、P/L、販管費明細、製造原価明細書と売上原価明細書を作成する問題が出題されました。
非常に難解な論点はありませんでしたが、問題量が多かったこと、答案用紙の科目欄の空欄が多かったことから、解きやすい箇所から解いて部分点を積み上げていく対策が必要であったと思います。
手をつけてほしい箇所は、現金及び預金、売掛金の残高確認、破産更生債権等、有価証券全般、リース会計、為替予約、従業員賞与、関係会社事業損失引当金、ストック・オプション、法人税等と消費税です。
できれば部分点をとってほしい箇所は、貸倒引当金における破産更生債権等と貸付金、棚卸資産における製品、原材料、仕掛品のB/S価額、事業譲受におけるのれんです。 税効果会計はできなくても気にする必要はありません。また、減損会計は遊休土地の減損について判断に迷うため、できなくても仕方がないかと思います。

予想合格ボーダーライン
以上を踏まえての合格のボーダーラインは次のとおりとなります。

第一問第二問第三問合 計
12点13点35点60点

解答速報

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◆資格の大原

講評

第一問、第二問は解答量こそ多くありませんが、形式面においては、記号選択やキーワードの指摘、基準の穴埋め、論述など多様な形式の出題がされており、また、一部計算が必要な理論問題への落ち着いた対応が求められました。

第三問については、例年通りの難易度、ボリュームですが基本項目を確実に得点し、表示区分等を正確に解答する必要性がありました。

解答速報

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◆専門学校東京CPA会計学院

講評

1.全体の印象及び解答上のポイント
〔第一問〕
第一問は,企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」からの出題になります。読み込む問題量は昨年に比べて少なく,また,内容的には,同基準の基本を理解していれば,比較的解答の作成は容易と思われます。
したがって,⑴の空欄補充から⑶の項目の選択について,できるだけ得点しておく必要があります。また,⑵のクリーン・サープラス関係の定義,⑶の理由に関する記述および⑸の包括利益と当期純利益との関係に関する記述は基本的論点ではありますので,部分的に得点を重ねておきたいところです。
ただし,組替調整が必要とされる理由を企業価値評価の観点から問う⑷は比較的難易度が高い問題であると思われます。討議資料「財務会計の概念フレームワーク」や他の会計基準との関連性を意識した学習を日頃から行っていないとなかなか対応が困難と思われます。

〔第二問〕
第二問は,問1では討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の資産・負債の定義と利益観,オペレーティング・リース取引における借手のリース物件の資産性を問うものです。討議資料「財務会計の概念フレームワーク」からの出題は,第68回からいわば常態化しており,とりわけ,資産・負債の定義は絶対にミスしてはならない論点です。したがって,⑴と⑵は是非とも得点しておきたい問題です。他方,⑶はいわゆる使用権モデルまで言及することで得点を重ねることができると思います。
問2では,昨年同様,事例を用いて資産除去債務の会計処理について,減価償却方式,引当金方式および資産負債の両建処理の特徴を問うものです。減価償却方式や引当金方式についての計算は,少し戸惑うかもしれませんが,問題を丁寧に読み込むことで解答可能です。また,⑵は典型論点なので部分的にも得点しておきたい問題です。
いずれの問題も日頃の学習において,「なぜ,どうして」を自ら問いかけた本質的な学習を行っているかを試していると思います。
基本的かつオーソドックスな論点について確実に拾えているか,出題予想に流されず体系的な理解を踏まえ各論点を整理した学習が日頃からなされているかが合否の分岐点と考えます。
また,理論問題の解法だけに注力しても,合格は難しいといえます。第三問の問題のボリュームや論点の難易度との相対性から,空欄補充や記号選択問題をスムーズに済ませ,記述問題は最低限の得点を目指し,素早く計算問題に取りかかる潔さが解法のアプローチとして有効と思われます。

〔第三問〕
第三問の計算問題については,全体的には各項目の基本的な事項の出題が多く,あまり聞き慣れない項目(関係会社事業損失引当金)とか貸倒引当金は過去の問題と異なる出題をしていますが,問題文を正確に把握すれば問題はないと思われます。後は財表の計算問題は集計段階でどれだけミスを少なくすることがポイントかと思います。

2.合格ボーダー予想
第一問合格ライン13点
第二問合格ライン14点
第三問合格ライン35点
以上の合計で62点が総合の合格ラインと予想されます。

解答速報

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