日商簿記検定中止をチャンスに変えるアドバイス


並木秀明

2020年5月8日付で日本商工会議所が6月14日に実施予定だった日商簿記検定試験の中止を発表しました。感染拡大防止、会場の確保や試験の公平性などを総合的に判断してのことと思います。

これを受けて、受験予定で必死に勉強してきた受験生の皆さんの中には、ヤル気がそがれている方もいるかもしれません。しかし、将来この状況がラッキーだったと思えるか、不幸だったと思うかは皆さん次第。

ここでは、学生(高校生・専門学校生・大学生等)と社会人にわけてアドバイスします。

1 学生の皆さんへ

あまり勉強が進んでいなかった、または合否ライン前後の方は、試験が中止でラッキーと思っている方もいるかもしれませんね。こうした方は、11月には確実に合格するように勉強を進めていきましょう。

6月に実施されていれば絶対合格したのに残念という方。11月の試験で満点を目指して勉強しましょう。3級を勉強中であれば2級の勉強をはじめて、11月に2・3級を同時受験してもよいですね。

なお、就活にかかわる方へ。本当は「日商簿記検定○級合格」と書ければよかったのですが、仕方がありません。ですので「日商簿記検定○級勉強中」と書くとよいでしょう。この状況は会社側もよくわかっているので、こう書くことで前向きさをアピールできます。

2 社会人の皆さんへ

社会人の皆さんは、会社の状況を受けて6月は中止になるかも、と予想されていた方も多いのではないでしょうか。

社会人の皆さんは、スキルアップのために勉強されている方も多いと思います。スキルアップのためには、単に検定に合格するだけでなく、学習内容を実際に「使える」ものにしなければいけません。そのためには、本質が理解できているか、という点から学習を深めていきましょう。そして、これにより、確実に合格に近づくハズです。

また、より高みを目指して上位級の学習に取り組むのもよいでしょう。

なお、学生・社会人問わずですが、6月の試験のヤマはそのまま11月に持ち越されます。その分十分な対策ができるハズですので、気持ちを絶やさず勉強していけば、合格はグッと近づくでしょう。

また、このような状況なので、11月は合格させてくれるような問題が出題されると期待したいですね。

オリンピック選手の方々も、延期を前向きに捉えている方も多いと思います。そうした姿をみれば、11月の試験に向けて頑張れますよね。

将来、こんな大変な状況でも合格したと笑って話せるように、気持ちを新たに勉強していきましょう!

<執筆者紹介>
並木 秀明
(なみき・ひであき)
千葉経済大学短期大学部教授
中央大学商学部会計学科卒業。千葉経済大学短期大学部教授。LEC東京リーガルマインド講師。企業研修講師((株)伊勢丹、(株)JTB、経済産業省など)。青山学院大学専門職大学院会計プロフェッション研究科元助手。主な著書に『はじめての会計基準〈第2版〉』『日商簿記3級をゆっくりていねいに学ぶ本〈第2版〉』『簿記論の集中講義30』『財務諸表論の集中講義30』(いずれも中央経済社)、『世界一わかりやすい財務諸表の授業』(サンマーク出版) などがある。


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