つぶ問8-3(簿記論)―特商、工事収益、新収益認識


【解答】

甲案件 -1,800千円
乙案件  1,100千円
丙案件     0千円


【解説】(金額の単位:千円)

 工事収益の認識に関する計算問題です。工事進行基準による収益認識の方法を確認するとともに、工事進行基準が適用される要件についても把握しておきましょう。

1.甲案件

 原価比例法によって工事進捗度を見積ります。工事原価総額の見積と実際とが一致していませんが、見積値の修正は行われていませんので、当初の見積値のまま計算を進めます。また、当期には工事損失が生じていますが、工事原価総額が工事収益総額を上回っているわけではありませんので、工事損失引当金の計上は不要です。

前期工事進捗度:実際原価34,200÷見積原価36,000=0.95

前期工事収益:40,000×0.95=38,000

当期工事収益:40,000-38,000=2,000

当期工事損益:2,000-3,800=-1,800(損失)

2.乙案件

 当期に工事原価総額の見積りが修正されていますので、当期の工事進捗度の計算には修正後の見積工事原価総額を用います。見積の修正による影響は当期の工事収益の認識額によって調整します。

前期工事進捗度:実際原価12,600÷見積原価42,000=0.3

前期工事収益:50,000×0.3=15,000

当期工事進捗度:実際原価累計額(12,600+18,900)÷修正後見積原価45,000=0.7

当期工事収益:50,000×0.7-前期認識分15,000=20,000

当期工事損益:20,000-18,900=1,100

3.丙案件

 丙案件については、工事原価総額について信頼性をもった見積りが行えなかった旨の指示があるため、工事進捗部分についても成果の確実性が認められないということになります。工事進行基準が適用できない以上、完成・引渡しの済んでいない工事について収益計上はできませんので、工事損益の計上額は0ということになります。

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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