つぶ問4-4(簿記論)―有価証券


【解答・解説】
 総合問題で有価証券が出題された場合を想定した問題です。可能な限り暗算でも計算できるようにしたことから難易度が若干落ちていますが、そのかわり決算整理前残高試算表で投資有価証券の金額が空欄の場合も想定しています。

① 決算整理前残高試算表の投資有価証券:74,000千円

 前期の時価評価の洗替処理は問題文の指示より当期の決算で行うことから、その他有価証券は基本的に前期末時価のまま決算整理前残高試算表に集計されていることになります。B社株式は当期中に売却済みですが売却処理が行われていないことから前期末時価を含め、C社株式は当期取得で前期末の時価評価が行われていないため取得価額で集計します。

 満期保有目的の債券であるE社社債は、前期に1年分の償却原価法の処理が行われていることになるため、取得価額25,000千円に償却原価法の1年分の金額1,000千円(差額5,000千円÷5年)を足した26,000千円が含まれていることになります。

●A社株式4,000千円+B社株式12,000千円+C社株式20,000千円+D社株式12,000千円+E社社債26,000千円=74,000千円

② 決算整理後残高試算表の投資有価証券:74,500千円

 その他有価証券の当期末の時価(売却済みのB社株式を除く)と、E社社債のさらに1年分の償却原価法の処理を行った金額を足します。

●A社株式5,500千円+C社株式22,000千円+D社株式20,000千円+E社社債27,000千円=74,500千円

③ 決算整理後のその他有価証券評価差額金の金額:10,500千円

 A社株式及びC社株式は当期末時価と取得価額の差額を集計します。また、D社株式については前期末時価が12,000千円で取得価額を50%以上下回るため、前期において減損処理が行われています。そこで、前期末時価が新たな取得原価となっているため、前期末時価12,000千円と当期末時価20,000千円の差額が評価差額金となります。

●A社株式の差額500千円+C社株式の差額2,000千円+D社株式の差額8,000千円=10,500千円

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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