並木秀明
私は、いまから10年前以上まえに会計人コースに「徒然日記」なるものを執筆した。そのおよそ10年間にパソコンが2回壊れ、原文の徒然日記は消滅してしまった。しかし、当時の会計人コースは、一部現物がありこれを機会に読み返してみた。
時の経過により、流行や話題の変化はあるものの会計人コースを利用して受験勉強する読者の気持ちは変わらないと信じている。そんなことで、この「気まぐれ並木道」を当時のエピソードや激励の言葉を日常の筆者の生活を交え、忙しい受験勉強の「ブレークタイム」として利用していただければ幸いである。
まず当時の自己紹介文を読んでいただこう。
「私は先生といわれている。講師とか先生といわれるのはこそばゆいが、先んじて勉強した知識を後進のひとに教える人を総じて先生と言うのかもしれない。そうであるならば、一部の領域において、私は先生であるのかもしれない。初めて「先生」と呼ばれたのは高校時代に家庭教師をしたときだったような。そのときは、将来、本当に先生と呼ばれるような仕事に就くとは、『思いもよらない』ことであった。その後、釣りの先生、ゴルフの先生、予備校の数学の先生…。現在、会計人コースに連載している「縁」は、簿記検定試験、税理士試験、公認会計士試験の先生と呼ばれていたからである。記録に残る文章に『先生』と自ら名乗るのは恐れ多いが、私のバックグランドがコラム連載の基礎となるのでここに記しておく。このコラムを発見した奇特な読者は受験生であるから、先生としての経験をふまえて受験勉強に有用な情報も書いてみるつもりでいる。毎号数分間のお付き合いしていただければ幸いである。」
恋と愛と会計人コース
大学のゼミで「恋と愛の違いについての一考察」という文章を作り、そこから文章に記された意味をくみ取り、自分なりの考えをまとめる練習をした。これも、これから社会に旅立っていく学生へ教育の一貫であり、出来るだけ興味のある内容を題材にした。そこで、まず、文章を読んでもらい。自分の考えを1人1分以内のスピーチをしてもらった。その内容を要約したものが下記の文言である。
- ドキドキするのは恋、心地良いのは愛
- 見返りを求めるのは恋、求めないのは愛
- 許せるのは愛、許せないのは恋
- 受け取るのが恋、与えるのが愛
- 責任を伴うのが愛
- 喧嘩は、恋から愛への更新
学生を「凄い」と感じた。他の物事もこのくらい深く考えているに違いないと、猛烈に感心してしまった。このスピーチのあとに「恋と愛の違いなんて人それぞれ考え方の相違があり、答えなんてないよ。」ということで、歴史上のトルストイ、ユーゴ―、アインシュタイン、夏目漱石、ジョン・レノンなどの格言を織り込んだ格言を配付した。学生の顔色も十人十色であった。スピーチ・ベスト1は、「受け取るのが恋、与えるのが愛」であった。
これからの長い受験生活において読者は、会計人コースに恋してほしい。会計人コースの執筆である私は、読者を愛し、潜在力を引き出すための合格力、継続力、忍耐力などの総合力を語っていきたいと思っている。
<執筆者紹介>
並木 秀明(なみき・ひであき)
千葉経済大学短期大学部教授
中央大学商学部会計学科卒業。千葉経済大学短期大学部教授。LEC東京リーガルマインド講師。企業研修講師((株)伊勢丹、(株)JTB、経済産業省など)。青山学院大学専門職大学院会計プロフェッション研究科元助手。主な著書に『はじめての会計基準〈第2版〉』、『日商簿記3級をゆっくりていねいに学ぶ本〈第2版〉』、『簿記論の集中講義30』、『財務諸表論の集中講義30』(いずれも中央経済社)、『世界一わかりやすい財務諸表の授業』(サンマーク出版) などがある。
※ 本稿は、『会計人コース』2019年9月号に掲載した記事を編集部で再編成したものです。
記事一覧
第1回:恋と愛と会計人コース
第2回:生きていくために必要な力
第3回:筆記具蒐集
第4回:勉強の成果
第5回:合格発表から年末年始
第6回:覚える、忘れる、思い出す
第7回:海外旅行でのエピソード
第8回:出会いがもたらしたもの
第9回:タイムマシン
第10回:季節の変わり目
第11回:本試験までの勉強
最終回:試験日までの最終アドバイス