【日商簿記1級合格体験記】2級合格から17年! 530時間の学習をすべて記録し、働きながら一発合格


山本和也(30代)

職業:IT企業勤務のソフトウェアエンジニア・社会保険労務士
・学習スタイル:TAC 日商簿記1級講座(通信Web)
合格年: 第173回日商簿記検定試験(2026年6月試験)

はじめまして、山本和也と申します。働きながら学習を続け、2026年6月の日商簿記1級に、初めての受験で合格することができました。

学習期間は2025年11月から試験日の6月14日までの227日間、学習時間は合計530時間37分。学習時間はすべてアプリに記録していました。この体験記では、その記録から見えた「時間の使い方」——科目配分、学習時間を固定する工夫、そして直前期の失敗談——を、実際の数字とともにお伝えします。

2級合格から17年。「お金の話」ができるようになりたくて

日商簿記2級に合格したのは2009年。1級への挑戦は、そこから17年後になりました。

きっかけは、社労士として労務相談に携わった経験です。相談を受けていると、人件費や資金繰りなど、お金の話に及ぶことが少なくありません。「法律ではこうなっています」だけでなく、決算書の数字を踏まえて経営の相談に乗れるようになりたい。そう思ったとき、当面の目標として一番しっくりきたのが簿記1級でした。

とはいえ17年のブランクで、2級の内容はほとんど抜けていました。働きながらの学習で回り道をする余裕もなかったので、独学ではなくTACの通信Web講座を選びました。学習は、講義を視聴した後に対応する範囲の問題を解くという、カリキュラムに沿った進め方です。「次に何をやるか」を自分で考える負担がなかったことは、時間のない社会人には大きかったと思います。講義は動画で提供されるので、基本は2倍速で視聴し、理解が追いつかない論点だけ速度を落として見直す、という使い方をしていました。限られた時間で講義を回し切るうえで、この視聴スタイルには助けられました。

学習時間はすべてアプリに記録。「科目の偏り」が数字で見える

学習を始めた日から、Studyplusというアプリで学習時間をすべて記録しました。

記録して一番よかったのは、総時間が積み上がることよりも、科目のバランスが見えることでした。1級は商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算の4科目で、合計点だけでなく科目ごとの得点にも基準があるため、バランスよく学ぶ必要があります。それなのに、勉強は得意な科目や直近にやった科目に偏りがちです。

学習の重点は、時期に応じて移しました。月別の推移は図1のとおりで、最初の2ヵ月(11〜12月)は商業簿記・会計学を重点的に学び、12月の109時間6分が学習量のピークです。年が明けた1月からは学習の中心を工業簿記・原価計算に移しました。それ以降は、記録を科目別に見返して、しばらく触れていない科目があれば復習を挟む。この繰り返しで、4科目を回しながら積んでいきました。

結果として、530時間の内訳は商業簿記・会計学が49%、工業簿記・原価計算が51%と、ほぼ半々に収まっていました。感覚に任せていたら、こうはならなかったと思います。

朝、出社前のカフェが「教室」になった

働きながらの受験で一番の課題は、勉強時間の確保でした。そこで活用したのが、朝の時間です。

出社前に会社の近くのカフェに寄り、始業までの時間を勉強に充てました。夜は仕事の都合で予定が崩れがちでしたが、朝なら安定して時間を確保できます。毎日同じ時間に同じ席で電卓を叩いているうちに店員さんに顔を覚えられ、学習期間の終盤には、メニューを言わなくても、いつもの注文が出てくるようになりました。そうなるともう、行かない日のほうが落ち着かなくなります。

227日間の1日平均は2時間20分。特別な勉強法があったわけではなく、「崩れにくい時間帯に、毎日同じ場所で勉強する」ことを続けただけでした。

直前期に失速。それでも支えになった前半の積み上げ

正直に書きます。私の直前期は、理想的な追い込みとはほど遠いものでした。

ピークだった12月の1日3時間31分に対し、5月は1日1時間23分(12月の約4割)、試験直前の6月(試験日までの14日間)は1日58分(同約3割)まで減りました。理由は格好のよいものではなく、別の資格の勉強を始めてしまったからです。計画的に減らしたわけではありません。手を広げた結果、簿記に時間が回らなくなっただけで、これは真似しないでいただきたい失敗です。試験までの2週間は、正直なところ不安でいっぱいでした。

それでも試験当日まで粘れたのは、前半に学習量を厚く積んでいたことが大きかったと感じています。結果的に序盤へ重心を置く形になっていて、私の場合は最初の3ヵ月で全学習時間の約46%を積んでいました。この貯金があったからこそ、直前期に失速してもなんとか持ちこたえられたのだと思います。もし「最初はゆっくり、直前に追い込む」計画だったら、挽回は難しかったのではないでしょうか。

仕事や家庭がある受験生ほど、直前期に何が起きるかは読めません。直前の自分を当てにせず、余裕のある序盤に学習量を確保しておく。これが、530時間の記録から私が一番お伝えしたいことです。

試験当日。商業簿記に手応えがなくても

最後に、試験当日のことも書いておきます。今回の商業簿記は私にはかなり難しく感じられ、解いていて正直、自信がありませんでした。それでも諦めずに、埋められるところを埋めて答案を作り、商業簿記の手応えがないまま、続く工業簿記・原価計算も最後まで受け切りました。4科目をバランスよく積んできたことが、「工業簿記・原価計算ではまだ戦える」という気持ちの支えになっていたように思います。あそこで諦めず、最後まで答案に向き合えたことが、結果につながったのだと思います。

結果は、商業簿記12点・会計学16点・工業簿記25点・原価計算21点の合計74点。合格ラインの70点をわずかに上回る、ぎりぎりの合格でした。手応えのなかった商業簿記は足切りラインすれすれでしたが、工業簿記は満点。学習時間の半分を工業簿記・原価計算に充てていたことが、最後の最後で私を支えてくれました。

これから受験される方へ

2級合格から17年が空き、働きながらの挑戦だった私にとって、学習を支えてくれたのは次の3つでした。受験を決めた日の自分に声をかけられるなら、この3つを伝えます。

1つ目は、学習時間を記録すること。モチベーション維持のためというより、科目の偏りを見つける計器として役立ちます。2つ目は、崩れない時間帯に勉強を固定すること。私の場合は朝のカフェでした。3つ目は、直前期だけに頼らない計画を立てること。後半に想定外のことが起きるのが、社会人の受験だと思います。

もちろん、合う教材や取れる時間は人それぞれです。それでも、この記録が計画を立てる際の物差しのひとつになれば、これほどうれしいことはありません。思うように勉強できない時期があっても、それまでに積んだ時間は消えません。皆さんの挑戦を応援しています。


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