【書籍発売記念スペシャル対談】税理士試験お疲れ様!会計事務所の仕事を楽しもう!~定岡佳代先生(『会計事務所の仕事カレンダー』著者)×朝倉歩先生(sankyodo税理士法人代表)


【編集部より】
税理士試験お疲れ様でした。試験が終わって、これから就活する人やキャリアをじっくり考えたいという受験生もいらっしゃると思います。ここでは、『会計事務所の仕事カレンダー―マンガでわかる12カ月のミッション』著者定岡佳代先生とsankyodo税理士法人代表の朝倉歩先生に、会計事務所の仕事の面白さとキャリアについて語っていただきました。

AIの台頭で転換期にある会計事務所の仕事

定岡 税理士試験が終わりましたね。受験された方、お疲れさまです。これから会計事務所に就職活動を始める方も居ると思います。また、実際働きながら受験されている方で、合格後のキャリアをじっくり考えたいという方もいるかなと思います。

朝倉先生はBIG4から独立されて、sankyodo税理士法人を大きくされたわけですけれども,アドバイスってありますか?

朝倉 ひと昔前は会計業界って寝袋を持って寝泊りするようなところが多かったけれども、今はそんなブラックな働き方は許されていません。5時で帰れるような事務所も増えてきています。その分、個人の成長が限られてしまう面もあるので、そこを見据えて仕事をする必要はあると思います。

定岡 会計業界の寝袋時代の話、聞きますね(笑)。どんなモチベーションで耐えられていたのでしょうか。

朝倉 労働してお金がもらうことだけが目標ではなくて、自分の成長だと考えていましたね。仕事って面白くて、部活だと甲子園とか、受験勉強だと合格とか、終わりがあるなかで、仕事だけが頑張ると成長して次のフェーズにあがっていくんです。RPGにたとえると、別のステージに上がるというか。

もちろん、お金を稼ぐための人もいたと思うけれども、残業が許されている時代においてはそういう面白さがあって頑張っていましたね。

定岡 勉強と部活と比べると、たしかにゲームクリアして終わらない面が仕事は面白いですね。ただ、雇い主からお金をもらう点を考えると、残業とかの制約がないと搾取されるだけになりがちです。一方、開業してからはいくらでも自分の頑張りようで成長できることを感じられるようになりました。それが税理士資格の強みかなと。

朝倉 どの世代かによっても違うので一括りにはできないのですが、働きながらの受験生で、この業界に片足突っ込んでいたのが、税理士になることによって全ベットすることになるわけです。

今、AIが発達して会計事務所の作業的な仕事がどんどん減っていく中で、どうやって価値を提供できる税理士になるのか、そのために今自分はどんな仕事をしていくべきなのかを逆算的に考える必要がありますね。

AI時代こそ求められるコミュニケーション力

定岡 さすが朝倉先生!新人の頃からそこまで戦略的に考えてこられたのは、さすがは経営者です。私の場合、新人時代は「一生懸命」「明るく」「誠実に」を心がけていたくらいですね。チャームポイントを活かして、周囲からかわいがってもらえるように振る舞うといいと思います。

朝倉 それが正しいと思います。AIで作業がなくなって、会計事務所の仕事はより「人対人」の面が強くなるでしょう。コミュニケーション力はどこでも求められてきます。逆に言うと、コミュニケーション力さえあれば、資格がなくても、知識がなくても、AIの補填で活躍できるチャンスが増えたと思います。

定岡 実際に会計事務所に入ってみると、思っているよりコミュニケーションによる部分は多いですよね。ちなみに、私のチャームポイントは関西弁ですね(笑)。神戸から東京に出て20年以上経つのに直らないんですが、親しみをもってもらいやすいかな。朝倉先生は…人たらしの笑顔ですね!

朝倉 おっさんの笑顔がチャームポイントって言ってもね(笑)。でも、これからは、「社長から推される税理士」になる必要がどんどん増しますね。作業でお金をもらえる時代が終わって、BIG4に依頼されるような難しい税務でさえはAIに代替されるかも知れませんし。そういった中で、女性は定岡先生のようにトークに強い方が多いので強いですね。税理士は、士業の中では自由度も高く、リモートも可能なので、育児との調整もしやすいですし、もっと女性割合が増えてもいいかなと思います。

定岡 パソコンさえあればどこでもできる仕事ですしね。私は朝倉先生のようにビジョンを持って…ではなく、子育てをしながら、1つ1つ目の前のことをクリアしてきた感じです。資格があれば、勤務も開業も選べますし、この仕事をしていなかったら出会えなかった人と出会えて、視野が拡がり、思考が変わりましたね。

会計事務所の選び方

定岡 会計事務所の選び方ってどうしましたか?私は4つくらい内定をいただいたんですが、その中で就職試験が面白かった事務所に決めました。

朝倉 直感は大事ですよね。昔よりSNSとかで解像度が上がっているので、事務所の雰囲気とかも掴みやすくなりましたし。

定岡 SNSで事務所の代表とか、発信とかをチェックして「推し」がいるところに行くというのはありかもしれませんね。どうしても会計事務所はトップのカラーが強いところが多いので。「一緒に飲みに行きましょう」と言われて、憂鬱な気持ちになるようなトップだと、仕事を続けるのが厳しいかもしれない…。

朝倉 人間の相性がありますからね。1日の大半を過ごすので、オフィスとか、ビジュアル的な要素の相性も大事ですが。

あと、独立したいのであれば、どういうキャリアを築くのがベストかを逆算しながら考えるといいと思います。最初の選択は大事です。目の前のことを積み上げていくだけでは、キャリアが行き詰まりがちです。発想としては、自分が得意なこと、好きなことを見極めて、それを世の中の時代背景とどう噛み合わせていくか。高齢化社会で相続税なら伸びるかなとか、スタートアップの法人顧問もB TO BのほうはAIの進化で先細りするかもしれないとか。

定岡 sankyodoさんは、人材育成についてどういった方針なんでしょうか。

朝倉 入ってくる方の「人間力」を高められるような事務所にしたいと考えています。知識とか、得意・不得意とかは、人間力さえあれば後から何とかできるものかなと。

朝倉先生の発信

sankydo税理士法人採用サイト:https://tax-startup.jp/recruit/
朝倉先生のX:https://x.com/asakuraayumu

『会計事務所の仕事カレンダー』について

朝倉 ところで、出版おめでとうございます。マンガもご自身で描かれたんですよね?

定岡 はい。初めて会計事務所で勤務する時って「この繁忙期はいつ終わるのか」「失敗してはいけない」という不安も大きいと思うけれども、楽しんで仕事をしてほしいという願いを込めて執筆しました。辛い時に読んで、笑えるお守りにしていただけたらなーと思っています。sankyodoさんも個性の強い先生が沢山在籍されていますが、『会計事務所の仕事カレンダー』の会計事務所も勇者や魔法使いがいます(笑)。

朝倉 発想がすごいですよね。いろんなキャラが出てきて面白いですね。

定岡 キャラの中では,私は消費税法を受験したので、「ショーフィー」というキャラがお気に入りです。

消費税の魔物、ショーフィー

これから会計業界に入る人へ

朝倉 これから会計業界に入るという点では,AIのことを考えなくてはならない。税理士は勉強が仕事につながるので知識欲を高く保て…と言いたいところですが、何より対人能力。対人能力があれば知識がなくても活躍できてしまうし、知識があってもAIには勝てませんから。税理士試験だって,AIなら簡単に解けるでしょう。

定岡 税理士資格がなくても、長く勤めている人で説明が上手ですごい方いますからね。

朝倉 税理士資格を取得したから安泰とはもう言い難いですね。AIを使って実務をすることが反映されるような資格試験になれば別ですが…。

定岡 でも,開業できるのは資格者だけですから!

朝倉 たしかに,資格があれば経営者になれるっていうのは強みですね。クライアントの経営者を見ると、企画力とか営業力とかマーケティング力とかマネジメント能力とか、すごくバランスよく持っている。そういうものがなくても経営者になれるというのは。

定岡 経営者になってから、身に付けなければいけませんけどね…。ただ,経営者になると,雇われていた時と見えるものが変わるのもあって。税理士資格は早く経営者になるための武器ともいえるかもしれませんね。

税理士資格という武器を携えて,ぜひこの業界で頑張っていただければ!

朝倉 ぜひ一緒に、税理士という資格の新しいステージを拓いていきましょう!

【登壇者プロフィール】
定岡佳代(さだおか・かよ)
税理士
兵庫県出身。神戸大学工学部建設学科卒業、神戸大学大学院自然科学研究科(土木工学)修了。関西で技術職に就くも、結婚・出産・上京を機に専業主婦に。次男の妊娠中に簿記の勉強を始める。そこから税理士試験に挑戦し、会計事務所勤務と並行しながら立教大学大学院経済学研究科を2020年3月に修了。2021年4月に税理士登録。都内の会計事務所で10年以上の修行期間を経て、2023年8月に独立開業。硬式野球男子2人の母であり、「お客様はピッチャー、私はキャッチャー。どんな球でも受け止める。」をモットーに、お客様との対話を大切にしている。「イラストでわかる会計実務」をテーマにした記事を多数執筆中。

朝倉歩(あさくら・あゆむ)
sankyodo税理士法人代表・税理士。
デロイト トーマツ税理士法人に約12年間勤務し、シニアマネージャーとして売上高1兆円超の上場企業からグループ会社まで、延べ1,000社以上の税務・経営支援に携わる。2016年にsankyodo税理士法人を設立。AI・DXによる次世代型会計事務所の構築を推進し、全国8拠点・約130名のグループを運営。「税理士×AI=∞」を掲げ、テクノロジーで創出した時間を、お客様への「感動・感謝・共感」という人にしか生み出せない価値へと変えていくことを理念としている。


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