【令和8年度税制改正大綱公表!】 税制改正が税理士試験に与える影響は!?


【編集部より】
令和8年度の税制改正大綱が12月19日に公表されました。
主な内容は各種メディアでも報じられていますが、受験生が気になるのは「税理士試験に影響はあるの?」ということ。
そこで税理士の石川浩之先生に、令和8年度の税制改正が税理士試験(法人税法・消費税法・所得税法・相続税法)に与える影響を「影響度大☆☆☆~影響度小☆」でまとめていただきました。
令和8年度はどのような税制改正が行われるのか、受験予定の科目に影響はあるのかをチェックして、学習の参考にしてください。

石川浩之(公認会計士・税理士・不動産鑑定士)

大綱が公表されて税理士試験への影響が気になる受験生の方も多いと思いますが、実務はさておき「受験勉強」という観点から考えると、下記2点の理由からあまり気にしなくても良いかなと思います。

・施行時期が税理士試験の対象(令和8年4月3日時点で施行)より後のものが多い点

・細かい定義や内容が通達やタックスアンサー、質疑応答事例に出るまで数か月かかることを踏まえると、中途半端に試験の問題に出すと、試験後に正解が複数出る可能性が出てしまうため、出題者としては問題を出しづらい点

ただし、その中でも試験に影響がありそうな論点を解説いたしましたので、学習の参考にしていただければ幸いです。

所得税法

1.物価上昇に連動する基礎控除・給与所得控除の引き上げ(大綱P.36~37)【影響度☆☆☆】

・基礎控除(本則):58万円 ➡ 62万円
・給与所得控除:65万円 ➡ 74万円(本則69万円+最低保障5万円)

細かい数字は速算表を見れば良いので覚える必要はないのですが、上記の見直しに伴い、同一生計配偶者及び扶養親族等の合計所得金額要件が58万円から62万円に変わりますので、特に扶養親族の判定が変わるので慣れておきましょう。

2. 中小企業者等の少額減価償却資産の基準引き上げ(大綱P.86)【影響度☆☆】

・少額減価償却資産の取得価額:30万円未満から 40万円未満に変更

取得価額の合計額の上限については300万円のままです。

法人税法

1. 中小企業者等の少額減価償却資産の基準引き上げ(大綱P.86)【影響度☆☆】

・少額減価償却資産の取得価額:30万円未満から 40万円未満に変更

対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人を超える法人が除外されますが、取得価額の合計額の上限については300万円のままです。

2.賃上げ促進税制の抜本的見直し(大綱P.94)【影響度☆】

・大企業:廃止(適用期限到来前に廃止されます)
・中堅企業:令和9年3月31日までに開始する各事業年度について適用(その後、廃止)
・中小企業:令和9年3月31日までに開始する各事業年度について適用

教育訓練費の上乗せ措置の廃止や制度自体が廃止される方向性であることを踏まえると、深追いしなくてよいのではないかと思われます。

相続税法

1.教育資金の一括贈与非課税措置(大綱P.69)【影響度☆】

制度の終了(令和8年3月31日まで)

過去何回も延長されてきた制度でしたが、今回の期限で終了の見込みです。

ただし、新規で資金の拠出ができないだけで過去に実行した贈与は有効のため、計算問題として試験には出る可能性がありますが、理論の優先順位はかなり落ちるのではないかと思われます。

2.事業承継税制の計画提出期限延長(大綱P.65)【影響度☆】

法人版(特例承継計画):令和9年9月末まで(1年6月延長)
個人版:令和10年9月末まで(2年6月延長)

計画の提出期限が延長になりましたが、適用期限は延長されない見込みです。試験では重要度が下がると思いますので☆1つにしました。

消費税法

今回の改正は税理士試験の範囲(令和8年4月3日時点で施行と思われる)の対象外のため、なしです。

◆執筆者紹介
石川 浩之(いしかわ・ひろゆき)

公認会計士・税理士・不動産鑑定士
石川公認会計士・税理士・不動産鑑定士事務所 所長
北海道札幌市出身、沖縄県那覇市在住。
ボクシングの世界チャンピオンを目指す、背筋力MAX300キロ➡交通事故で断念➡公務員➡公認会計士合格➡相続税専門税理士法人➡開業。
【相続税専門にした理由は3つ】
・幅広く仕事をしてきた中で相続税の仕事が1番面白かった
・相続は涙ながらに喜んでくれるお客さまが多くてやりがいがある
・沖縄にも優秀な税理士の先生はたくさん居るけど、相続税が得意な税理士の先生は少ない
【事務所の経営理念】
・お客さまに最高のサービスを適正な価格で提供する
・沖縄で優秀な人材(税理士)を育成する
【趣味・好きなもの】
・ピアノ、ZARD・安室ちゃん・TWICEとココイチとラーメン


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