公認会計士と受験生の諸君へ!


千代田邦夫

1 試験合格への不安

大学4年生の夏頃から公認会計士第2次試験(当時)の受験勉強を始めた。多くの友人が就職内定している中で落ちたらどうしようと不安だった。合格した先輩は誰でもそう感じていたに違いない、と自己に暗示をかけた。

2 公認会計士としての責任の重大さ

28歳の時証券取引法監査責任者となり、会社の実態を必ずしも適正に反映しない財務諸表に無限定適正意見を表明しなければならない状況に悩んだ。案の定、財務局から質問を受けた。巨額な仮払金、長期間動かない建設仮勘定、関係会社に対する貸付金の回収可能性などなど。もっともな質問であった。誠実に回答しつつ、実は論理的に組み立てた箇所もあった。財務局はOKしてくれた。公認会計士としての責任の重大性を再認識した。

3 何らかの基準を持って判断することの大切さ

京都の伝統産業に属する会社を監査した。原色図鑑1冊100,000円の伝票が気になった。伝票をめくっていくと、また、100,000円の伝票に出くわした。「2冊購入したのですね」と隣に座っていた経理課長に質問した。課長は「はい」と答えながらも席を立ち、しばらくすると、「1冊だけです」と回答した。ダブって支払っていたのである。伝票には多くの承認印が押されていた。大学のテキスト約1,000円の時代である。何らかの基準を持って判断することの大切さを確認した。


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