わたしの独立開業日誌 #税理士・飯田美保


小中学校の図書館員から、20年かけて税理士に!

前職では小中学校の図書館員として勤務していました。

税理士試験の初めの1科目に合格してから登録まで、約20年を要しました。

税理士を志したきっかけは、友人が日本在住の外国籍の方の確定申告を手伝ったという話を聞いたことでした。

言葉と税制度の壁は高く、「これは大きなビジネスチャンスになるのでは」と感じました。

2年で簿・財・法に合格するも、出産や海外赴任への帯同で試験への挑戦がストップ

専門学校に通い、2年で簿記論・財務諸表論・法人税の3科目に合格しました。

しかし、出産や海外赴任への帯同など環境が変わる中、残りの税法科目の合格には長い時間を要しました。

科目を変えて挑戦してもなかなか合格ラインに届かず、税理士になるチャレンジは、いつしか黒歴史になっていました。

転機が訪れたのは、子育てにひと段落がついた頃です。

これからの人生をどう過ごすかを考えたとき、「勉強する」か「働く」かという選択肢が浮かびました。

図書館員としての経験から司書資格を取ることも考えましたが、子どもたちの頑張る姿に触れるうち、「折角ならもう一度挑戦してみよう」と思い、税理士事務所でパート勤務を始めました。

このときはまだ、税理士の具体的な仕事は十分に理解していませんでした。

パート勤務先の税理士事務所の所長から、大学院ルートを教えてもらい、大学院に進学

勤務を始めたことが大きな転機となり、勤務先の代表税理士から「大学院での科目免除」という制度を教えていただきました。

高校時代の後輩がこのルートで税理士になったことも知り、私も大学院に進学することを決意。

家族の支えも大きな後押しとなり、2年間の課程を修了し、修士論文を国税庁に提出。
1年後に科目免除の認定を受けることができました。

税理士登録に苦労

税理士登録には「実務経験2年」という条件があります。

パート勤務の場合は時間単位で積算され、1日の上限が7時間である、休日勤務は加算されないなど一定のルールがあります。

私は大学院に通いながら、週3〜5日勤務し、地道に1時間ずつ積み重ね、必要基準3,696時間に対し4,500時間を積み上げました。

タイムカードと照合しながらエクセルで積算する作業は手間がかかります。
タイムカードのコピーも提出する必要があります。
科目認定の通知が届く頃、漸く実務経験の条件も整いました。

いざ、登録を目前にして、今度は「登録区分」に悩みました。

登録時には「開業税理士か、所属税理士か、社員税理士か」を明確に決める必要があります。

日々の生活に追われ、準備が十分とは言えませんでしたが、最終的に独立を選びました。

これは、自分のペースで仕事を進めるメリットを最重視した結果です。

登録するには事務所スペースの確保も必要です。
幸い、勤務先の合同事務所の一角を利用させていただき、パート業務を委託という形で継続しながら報酬をいただく環境が整いました。
専門性の高い先輩税理士や司法書士が近くにいる環境は大きな心強さです。
スタッフの方々とのランチも楽しみの一つです。

おわりに

開業税理士の魅力は、育児や介護など、ライフステージに合わせて自分の状況に応じた柔軟な働き方ができることです。 

登録して実感したのは、税理士の魅力は「稼ぐ」ことだけに留まらないことです。

「社会貢献」もまた、この仕事の大事な側面です。

税理士会が実施する無料相談会や、小中学校での租税教室。

かつて図書館員として子供たちと向き合っていた私が、税理士として税の話をしたら、子供たちはどんな顔をするでしょうか。

そんな変化に、大きな喜びを感じています。かつての原点であった「外国籍の方の力になりたい」という思いも、ようやくスタートラインに立つことができたと感じています。

最短距離で合格してキャリアを積む道も、勿論素晴らしいことです。

しかし、長い年月をかけてさまざまな経験を重ねた今だからこそ見える、自分らしい働き方や社会への関わり方があると感じています。

税理士として人や地域の役に立てることは、私の人生の後半に、新たな充実感と喜びをもたらしてくれるでしょう。

人生の後半だからこそ見えてくる魅力があることを、皆さまにも感じていただけたら幸いです。

【著者プロフィール】
飯田 美保(いいだ ・みほ)


飯田美保税理士事務所代表
エーエムエフ税理士合同事務所所属

税理士。総合商社勤務→主婦(3科目合格)→小中学校図書館員を経て税理士業界へ。20年前の3科目合格から出産や海外赴任帯同を経て、青山学院大学大学院法学研究科にて免除認定を受ける。恩師や学友に恵まれた大学院生活は、多忙ながらも「キラキラした日々」として人生の宝物に。家族や職場、大学の同級生など周囲の厚い支援を受け、2025年8月に独立開業。現在は語学力を活かした外国籍の方への支援や地域社会への貢献を志している。


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