
今年ももう12月…いよいよ繁忙期が近づいてきました。
税理士試験は、11月末に合格発表がありましたね。合格された方、おめでとうございます!
残念ながら合格とならなかった方も、まずは試験を受けた自分を十分に労ってください。
さて、12月中旬には、税理士業界において一大イベントがあります。それは、「税制改正大綱」の発表です。
日本初の女性総理が誕生してから、今まで以上に政治に興味が湧いてきた方も多いのではないでしょうか。税制改正は政治と深く関わりがあります。今回は、税制改正の流れとともに、日本の税の在り方を確認します。
それでは早速、みていきましょう!

税制改正の流れ
税制改正は例年、以下のステップを踏んで行われます。
春~夏:各省庁へ具体的な要望が寄せられる
8月末:取りまとめた要望が財務省により公表される
12月中:与党がまとめた税制改正大綱が公表される
3月中:国会に提出された税制改正法案が可決される
4月1日~:可決された法律の多くが施行される
12月中旬に公表される税制改正大綱はあくまで原案で、改正法案の骨組みとなるものです。
大綱が発表されるとともに、いち早く要約してブログやSNSなどで共有することを使命としている税理士もいます。この時期の税理士業界は情報合戦により、まるでお祭りのような雰囲気になります。
会計事務所に勤めている方は、この時期は特にアンテナ高くいたいものです。


タックスミックスと税収
日本の税収は、いろんな税金の種類を組み合わせることによる「タックスミックス」により成り立っています。
もし税収が所得税だけしかなかったとすると、高所得者は高税率により多額の税金を納付しなければならず、高所得者層から不平不満が沸き上がるでしょう。
これを避けるために、負担者の所得に関わらず公平に課される消費税など、様々なルールの税金を組み合わせることで、様々な立場の納税者間での公平を図っているのです。
課税の対象は所得・消費・資産の大きく3つに分けられ、次のような税目があてはまります。
- 所得課税…所得税、法人税、事業税など(利益を対象とするため景気に左右されやすい)
- 消費課税…消費税、酒税、たばこ税など(消費活動を対象とするため景気に左右されにくい)
- 資産課税…相続税、固定資産税など(所有する財産に課されるため対象が限定的である)
そして、令和7年現在、1年間の税収がもっとも多い税目は消費税です。
令和元年10月に消費税率が10%に上がってから、それまで税収1位だった所得税を超え、消費税→所得税→法人税の順に税収が多くなっています。
国税庁の上部機関である財務省では、税の仕組みや現状についてホームページでわかりやすく説明しています。会計事務所の方にとっても勉強になりますので、下記リンク先へぜひ飛んでみてください。
財務省HP 身近な税 https://www.mof.go.jp/tax_information/index.html


税の三原則
「税制改革法」という法律の第3条に、税の基本原則が明記されています。
第3条(今次の税制改革の基本理念)
「今次の税制改革は、租税は国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識の下に、税負担の公平を確保し、税制の経済に対する中立性を保持し、及び税制の簡素化を図ることを基本原則として行われるものとする。」
税の三原則は、公平・中立・簡素。タックスミックスの話でもお伝えしたように、税金を考える上で「公平」はもっとも重要な要素です。近年の少子高齢化では特に「世代間の公平」に着目され、人数が相対的に少ない勤労世代だけに税負担が集中しないような仕組みが求められています。
ただ、近年は「公平」を重視するあまり、納税者が理解しやすい仕組みにする「簡素」の要素が考慮されていないという指摘が多くあります。納税者自身が容易に理解できない、納税額を計算できない、申告コストがかかってしまう…ということは、個人の自由な経済活動を阻害しており、「中立」の要素も損なわれてしまっているといえるかもしれません。



さいごに
大きな視点で税金を知ることは、日頃の細かな税務とはまた違い、面白いと感じられたのではないでしょうか。
余談ですが、昨年より小学生・中学生を対象に税金の考え方を伝える「租税教室」を10回ほど担当してきました。授業の最後で、「税収はどのくらいあるのですか」「税収はどうして増えていくのですか」という質問を受けたことがあります。
子供たちが税金の数値に興味があるように、自分たちが納める税金の使われ方に興味がある社長さんもいるでしょう。身近な税のトピックは、顧問先との話題につながることもありますので、知っておいてソンはありません。
さて、今回が最終回となります。勇者たちと毎月いろんな魔物に出会って、会計事務所の1年間とイメージはあっていましたでしょうか…?
お読みいただいた皆さま、本当にありがとうございました!
<著者紹介>
定岡 佳代(さだおか かよ)
税理士
兵庫県出身。1980年生まれ。神戸大学工学部建設学科、神戸大学大学院自然科学研究科(土木工学)修了。
関西で技術職に就くも、結婚・出産・上京を機に専業主婦に。次男の妊娠中に簿記の勉強を始め、日商簿記3級・2級に独学で合格。そこから税理士試験に挑戦し、パート勤務、大学院通学と並行しながら3科目合格。立教大学大学院経済学研究科を2020年3月に修了。2021年4月、税理士登録。
硬式野球男子2人の母。「税理士を目指すママ」コミュニティで知り合った友人のママ税理士4人で、セミナーや対談など活動をしている。都内の税理士事務所、税理士法人で約10年の修行を経て、2023年8月に独立開業。「お客様はピッチャー、私はキャッチャー。どんな球でも受け止める。」をモットーに、お客様との対話を大切にしている。











