海外展開を支援する会計士が教える英語勉強法【第1回】使える英語を身につけるために私がやったこと
- 2025/1/10
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江上 徹(Leapfrog合同会社 代表社員・公認会計士)
【編集部より】
会計士試験に合格して、あるいは新しい年になって、今年こそ英語を身につけようという方も多いと思います。本連載では、4回にわたって、海外展開をする企業に英語研修等を行う江上徹先生に連載していただきます。
第1回 使える英語を身に付けるために私がやったこと
第2回 ディクテーション
第3回 シャドーイング・リプロダクション
第4回 他にもいろいろ
「RiceとLiceを間違えないようにね」
たしか中学1年生のときだったと思います。
ある人に言われた一言はいまだに忘れることができません。
いわく、同じ「ライス」でもRiceは「お米」、Liceは「シラミ」である、日本人が苦手とするRとLの発音を間違えると、I eat lice everyday(私は毎日シラミを食べます)になるのだと。
もちろん「そんなわけないだろ!」ですよね。シラミを食べていると本気で思う人なんていません。
しかし13歳の私は「本当にシラミを食べていると思われたらどうしよう…」という不安を胸の中に抱きながら、その人に曖昧な笑顔を浮かべるのが精いっぱいだったのです。
そんな紅顔の美少年も年を重ね、私は現在、海外展開している企業(あるいは海外展開をもくろむ企業)を主なクライアントとして、海外で戦う3つの必携スキル「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化した人材育成研修を提供しています。
シラミの話に不安を覚えてしまうような普通の日本人の少年だった私が、曲がりなりにも英語を武器にして仕事をするようになるまでに何をしてきたのか、英語の学習法について4回にわたって連載を行います。
自然と英語があふれてくる…
さて、わざわざ冒頭で「そんなわけないだろ!」というシラミ話をしたのには理由があります。
ネットによく「聞き流すだけで自然と英語があふれてくる」とか「〇か月で英語ペラペラ」といった感じの記事や動画、あれって本当でしょうか、と私の受講生からも時々聞かれます。
確かに心惹かれます。自信満々に「これだけやればOK!」なんて断言されると「なるほど、先輩さすがです!」と言いたくなるのはわかります。しかし残念ながら、これらはまさに「そんなわけないだろ!」というシラミ話の類です。
もし本当なら、とっくの昔に学校の正規カリキュラムに採用されているはずですし、今日いまだにいろいろな英語学習法が百花繚乱という状況にはなっていないはずです。
お手軽な努力で手に入るのはお手軽な成果。
お手軽ではない成果を得たければ、コツコツと勉強するのが一番の近道なのです(これは連載を通じて一貫している思想でもあります)。
やっと本題かと思いきや
というわけで、これから4回にわたって「使える英語」を身につけるヒントを話していくのですが、具体的な勉強法に入る前にいくつか心構えのようなものを確認しましょう(「心構え」なんてちょっとエラソーですけど)。
1.英語を学ぶ目的を再確認
そもそも、なぜ英語を勉強するのでしたっけ?
多くの方は「仕事に役に立つ」「キャリアアップのため」のように、何らかの形で仕事に絡めて英語の習得を考えていることでしょう(会計人コ→スwebを読むような真面目な方々ですからね)。
もちろん「海外旅行で使いたい」でも良いし、「英語しゃべれるとカッコいいじゃん」でもOK、勉強のきっかけは何でも良いのです。ただ、目的が違えばアプローチも変わるので、本稿においては目的を「仕事で使う」に絞り、さらにゴールを「英語の議論に割って入る」英語力とします。
とはいえ、旅行目的とかカッコいい目的の方でも役に立つ内容ですよ!
2.勉強法より勉強量
英語の勉強法に関しては、動画やネット記事をちょっと検索すると数限りなくヒットします。
だいたいセンセーショナルなタイトルがついているので「○○だけやれば良い」とか、逆に「○○はやるな!」なんてのが多いですね。
あとは「有料級」というのも多いですね。
みなさんよく考えますな。
でも、いろいろありすぎて、結局どの勉強法が良いのかわからなくなりませんか?
例えばシャドーイングをせっせとやっても即座に効果が出るわけではないので、これは正しい方法なのか?本当に効いているのか?と心配になるものです。
安心してください、効いてますよ(古いか)。
英語に限らず語学に特殊な才能は必要ありません。
勉強法であれこれ悩むより、とにかくたくさん聞きましょう!話してみましょう!読んだり書いたりしてみましょう!
おすすめの英語学習法について執筆するという本稿の内容と思いっきり矛盾するようですが、勉強法なんていろいろでOK!シャドーイングもディクテーションもすべてOK!とにかく量をこなしましょう!
3.我ら「非Native」なり
Nativeが英語について解説している動画がよくありますよね。
「ソノ英語ハ、Native(ここだけ発音が良い)ニハ不自然ニ聞コエマス!」なんて。アンタの日本語も自然じゃないよ、というツッコミはいったん置きつつ、そりゃ不自然に決まってるでしょう!こっちはバリバリの非Nativeですから!
我々の英語は「仕事で使う」のが目的であって、「流ちょうな英語を話す(要はカッコつけ)」が目的ではないのです。
実際、全世界の英語話者のうちNativeは2~3割にすぎず、非Nativeのほうが圧倒的多数派です。
その中には「オマエはそもそも英語を話しているのか?」と言いたくなるメチャクチャな英語を、まったく悪びれずに話す人もたくさんいます。
「Native並み」なんて目指さない。「英語脳」なんてムリムリ。それで良いのです。
今すぐ英語がペラペラに!
さて第1回の最後に「誰でもできる!今すぐ英語が上達する魔法(有料級)」を教えます。
安心してください、本当ですよ(しつこいか)。
それは「大きな声でゆっくり話す」です。
ナーンダと思ったあなた!これ、本当に重要なのです。
一般論として、日本人は声が小さいです(特に女性はその傾向が強いですね)。
一方、海外の人は男女を問わず、低めの声で力強く発声します。
海外との会議に慣れていない人などは、この時点で相手の声圧に気おされてしまい、もともと小さい声がさらに小さくなってしまうことがあります。その結果、こちらの声を相手が聞き取れず、相手からPlease say again?とかPardon me?とか、場合によっては少しぶっきらぼうにHuh?(ハァ?)とか聞きなおされることがあるのです。
相手にしてみれば単にこっちの声が聞こえなかったから聞きなおしているだけなのに、こちらは「ああ、自分の英語は通じなかった」とか「なんか変なこと言っちゃったかな」とか、勝手にビビってしまう人が多いのです。そしていったん自信をなくすと、もはや質問もコメントもせず、ただ静かに座っているだけの石像が一つできあがります。
でも皆さん、外国人が日本に来て、少しぐらい間違えた日本語を話したとしても、こっちはバリバリの日本語Native、相手の言わんとすることなんてたいてい想像つくはずです。
逆もしかり。
相手はバリバリの英語Nativeなのですから、ちょっとぐらい発音がまずかろうが、文法を間違えようが、こっちの言いたいことぐらい汲み取ってくれるよねーと、良い意味で相手に甘えれば良いのです。
「わかっているけど、できないんだよ」に対する魔法として、まずは大きな声でゆっくり話すこと。
そうすると、自然と相手もゆっくり話してくれます。
これで会話が何回か往復すれば、あら不思議、最初のビクビクはどこへやら、英語でのコミュニケーションが立派に成立しています。
いかがですか?「大きな声でゆっくり話す」というアドバイスが決して胡散臭いシラミ話じゃないこと(しかも有料級であること)をおわかりいただけたと思います。
では紙面も尽きたので今月はこの辺りで。来月は、より具体的な勉強法の話に移っていきます。
<プロフィール>
江上 徹(えがみ・とおる)
Leapfrog合同会社 代表社員
公認会計士
大学卒業後、電機メーカー、監査法人、広告代理店でキャリアを積み、2021年に独立起業。Leapfrog合同会社を設立し、代表社員に就任。
「日本人のポテンシャルはとても高い。まだまだ飛躍できる」という固い信念のもと、海外展開している企業あるいは海外展開をもくろむ企業を主なクライアントとして、「普通の日本人」が海外で戦うための必携スキルである「英語・ファイナンス・文化理解」をパッケージ化した人材育成プログラム「Altus Leap」を提供している。
HP:https://altusleap.com/
Mail:contact@altusleap.com