ボザイさんに聞く! 税理士受験生時代の「転職」と「職場の選び方」


ボザイ

【編集部より】
働きながら合格を目指す税理士受験生の場合、受験時代に転職を考えたり、実際に職場を変えたりする人もいます。仕事と受験勉強のバランスをとるためにはどういった視点で職場選びをするとよいでしょうか。
そこで、今回は、働きながら官報合格した方々に、経験を踏まえてアドバイスをいただきました。就職・転職活動を考えている人はぜひ参考にしてください!

私は令和2年から税理士試験を受け始めましたが、 合格する令和5年までの間、三度の転職を経験しました。事業会社経理や会計事務所で働きながら勉強し、官報合格を達成しました。今回は、私の税理士試験のエピソードについて、「転職活動」にスポットを当ててご紹介します。

挫折の転職(1回目)

最初は令和2年に勤めていた事業会社から会計事務所に転職した時の話です。
その当時、私は日商簿記1級に合格して未経験で経理業界に転職。「日商簿記1級を持っている」というだけで期待をされて入社しました。税理士試験の勉強のほうも独学で簿・財の勉強をしていました。

入社して5ヵ月ほど経った頃、新型コロナウィルスが流行り始め、その影響で私が勤めていた会社も例外ではなく売上が下がっていました。 そんな中、会社の方針で何名かをリストラする話になりました。私は未経験として経理に入り、5ヵ月ほどの新人、7名ほどいた周りの経理部員はベテランの女性ばかり…。

私は部長に呼び出され、「会社をやめて欲しい」と言われました。令和2年の5月頃だったと思います。

収入もなくなり、勉強もしなくてはならない状況でしたが、この時の転職は過酷で求人がほとんどありませんでした。仕方なく、派遣社員として一度働くことにしました。

はじめての会計事務所への転職(2回目)

派遣社員に登録すると、同時に申し込んでいた会計事務所の書類審査に通過したという知らせが届きました。

派遣社員として3ヵ月働く先が決まっていましたが、私は「せっかくだ」と思い、会計事務所の面接に行くことにしました。

すると、「3ヵ月後でもいいからきて欲しい」と言われました。私はそこまで言っていただけるとは思っておらず、とても嬉しくてすぐに返事をした記憶があります。
結局、この事務所で令和2年〜令和4年までの丸2年働きました。

チャレンジの転職(3回目)

その当時働いていた会計事務所は昔ながらの会計事務所で、FAX、郵送、毎月の訪問、記帳は手入力などで行っている事務所でした。私は「この中でいらない業務はないのか」と疑問に思い始めていました。

令和4年の冬に、ある会計事務所がDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した会計事務所の運営についてセミナーをしており、そのセミナーを視聴したことで私の中で疑問が確信へと変わりました。

そこではDXを活用した、私の理想としていたけど具体化できていなかったイメージをそのまま言葉や画面を見せて説明していて、これを今の事務所に取り入れようと思いました。

早速、事務所内でDXの導入について提案すると、猛反対を受けました。 DX化を進めた場合のリスクだけを並べられて、代替案などはありませんでした。この時、私はすぐに、「この人たちの考え方を変えるよりも自分が置かれる環境を変えたほうが早い」と思い、転職を決断しました。

確か、令和4年の2月頃だったと思います。しかし、税理士試験の勉強もあったため、「転職の時期は税理士試験の後にしよう」と考えていました。

そして、税理士試験が終わり就職活動をしますが、結局このセミナーで見た税理士法人に入社することになりました。

以上が私の転職活動の経緯です。
ここからは主に会計事務所への転職という観点でポイントをまとめます。

転職のオススメ時期

私が個人的にオススメするのは、税理士試験後すぐから10月頃までかと思います。私自身がBIG4といわれる大手税理士法人などの大規模な税理士法人への転職経験がないため、中小の会計事務所という前提でお話します。

なぜ10月頃が良いかというと、以下の2点がその理由です。
① 税理士試験の勉強がまだ基礎期で比較的時間に余裕がある
② 税理士事務所の繁忙期(12月〜)の入社を避けられる 

税理士業界は12月頃から繁忙期に入り、2~3月は確定申告時期で忙しさのピークを迎えるというケースが少なくありません。11月以降に内定が出て入社するとなると、この時期にぶつかってしまうため、入社後に満足な研修を受けられないまま、いきなり実務を任されるということも想定されます。

そのような事態を避けるためにも、秋頃に入社して、しっかりと入社時研修などを受けられるようにしたほうがよいでしょう。

デメリットとしては、「競争相手が多い」ということです。
しかし、求人もこの時期が一番多いと思うので、先に述べたメリットを優先したほうがよいのではないかと個人的には思います。

転職活動の進め方

考えられる転職方法としては以下が挙げられると思います。

① 目当ての事務所に自ら応募してみる
② 求人広告から自分にあった事務所を探す
③ 会計事務所で働いている人からの紹介を受ける
④ 転職エージェントに登録する

自分がこの会社に行きたいというのがなければ、私はとりあえず④を試してみるのがオススメだと思います。

転職エージェントは、登録するとエージェント会社の担当者がつきます。その担当者に自身のキャリアや転職先の条件などを伝え、担当者がその条件をもとに数ある求人情報から合いそうな事務所を選び、その中から自分が気になる事務所などと面接を進めて就職活動を進めるシステムです。

転職エージェントといってもたくさんあり、その中に会計事務所に特化した転職エージェントもあります。私は3つほど利用しましたが、それぞれ特徴がありました。私がわかる範囲で大きな違いだと感じたところは、会計事務所の内情への理解です。

A転職エージェントは、会社として保有する会計事務所の求人情報を担当者が調べ、提供するものでした。

B転職エージェントでは、担当者自らが会計事務所情報を一定程度管理しており、不定期に訪問するなどして事務所の内情や所長の人柄などを把握していました。

A転職エージェントの担当者の場合、会計事務所への理解もあまりなく、求人情報を単に並べられているだけだと感じました。

一方で、B転職エージェントの担当者からは、求人情報には書けないような話も聞くことができ、ものすごく有難かったです。

このような違いがあるので、転職エージェントはいくつか登録し、自分に合うエージェントを見つけ、また担当者によっても合う合わないはあるので色々と試しながら活動を進めることをオススメします。

実際に始めてみると、あっという間に面接まで進みます。登録してから書類審査があり、早ければ2週間後から一次面接が始まります。私の場合、書類審査が通った事務所はすべて面接は通りました。なので、書類審査である程度ふるいにかけているような印象でした。

また、今の時代はオンライン面接が主流となっているため、遠方であっても初回の面接は比較的敷居が低いと思います。
ほとんどの事務所が二次面接がありましたが、 ここでオンライン面接か対面面接かに分かれました。

私は①と④で面接を進め、最終的には①で応募した会社に入社することになりました。

まとめ

転職をするにあたって、将来自分のなりたい税理士像を想像し、それに必要なことは何か考えながら転職先の事務所を決められるとよいと思います。かなり個人的な意見になってしまいますが、まだまだ若くてキャリアも少ない場合は、BIG4に入ることをオススメします。

勉強と就職活動の両立はなかなか大変だと思いますが、今の時期が一番いいと思います。悩んでいるのであれば、一度自分の市場価値を計る意味でも試してみてもよいのではないでしょうか。

実はもっと評価されるべきスキルをお持ちかもしれません。頑張ってください!

<執筆者紹介>

ボザイ

学生時代はスポーツ一直線で20代は営業職のサラリーマンとしてキャリアを築く。30代に入ってから、資格の勉強をしようと考え独学で簿記の勉強を始める。簿記の勉強を進めていくうちにその面白さに気づき、経理、会計業界に転職することを夢見る。はじめての日商簿記1級受験で合格し、その合格をきっかけに事業会社経理、会計事務所とキャリアを積み、令和5年に働きながら4年で税理士試験官報合格を達成。現在は税理士法人に勤務。

<こちらもオススメ>

ボザイさんに聞く! 税理士試験 簿・財独学から始まった官報合格までの道

関連記事

【お知らせ】申込受付中!『わかる! 使える! うまくいく! 内部監査 現場の教科書』(浦田信之 著)出版記念セミナー

好評発売中✨『マニュアルには載っていない 会計士監査 現場の教科書』

【広告のご案内】掲載要領(PDF資料)

ページ上部へ戻る