🍀春休みに本を読もう! 吉田恵美先生(公認会計士)がオススメする課題図書📚


【編集部より】
新年度が始まりました。この春から「会計の勉強を始めよう」と考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで、本企画では、学者・実務家など6人の読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「春休みの課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を各週で掲載します・順不同)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、公認会計士の吉田恵美先生に課題図書をお薦めいただきました!

オススメ①『[私本]会計・監査業務戦後史』(川北博著、日本公認会計士協会出版局)

Twitterで、おばあちゃんに「公認会計士試験に受かった!」と報告したら、「‘けいり’士になったの?」と言われたというつぶやきを見かけました。
おそらく、これは経理士ではなく、計理士を意味しているのですが、「計理士」という資格が以前あったのは、ご存知でしょうか?

日本の公認会計士制度は、第2次世界大戦後、GHQの勧奨により導入され、昭和23年(1948年)に公認会計士法が成立し、翌年に第1回公認会計士試験が実施され、現在の公認会計士試験に当たる、旧第2次試験で70名の合格者が誕生したそうです。

公認会計士法の成立とともに、計理士法は廃止されました。
計理士法は第1次世界大戦後の昭和2年(1927年)に施行され、資格取得が容易なこともあり、昭和23年(1948年)時点の登録者数は2万5千人を超えていたそうです。

そんな計理士制度から公認会計士制度への変遷、商法監査の導入、税理士法改正と通知公認会計士制度の廃止、公認会計士協会や実務補習所の変遷、グローバルファームとの提携等、第1回公認会計士試験の合格者のお一人である、元日本公認会計士協会会長の川北博先生が本書にて執筆されています。
中央大学のご出身で、教鞭もとられていたこと、監査法人トーマツの会長を務められていたことから、特に、中央大学やトーマツの関係者の皆様には、より興味深い内容かと思います。
今、自分たちがいる立ち位置は、この制度を作られてきた諸先輩方の叡智によるものと実感できる書籍です。

オススメ②『新会計監査詳説』(日下部與市著、中央経済社)

川北先生の著書にも登場する、若手公認会計士グループ「清風会」は、昭和47年(1972年)に発足し、1期交代制の代表世話人を立て、今なお50年以上続いています。
私は、歴代で唯一の女性の代表世話人を、第47期(2018~2019年)に務めました。

記録によると、昭和48年(1973年)8月に開催された、清風会の第一事業年度の定期総会で、早稲田大学の日下部與市教授に「商法監査と公認会計士」をテーマに記念講演いただいています。
日下部先生も第1回の公認会計士試験合格者のお一人です。

日下部先生の執筆された本書は、日本の監査論のバイブルのようなもので、公認会計士監査導入初期、監査基準では具体的な正規の監査手続が定められていたのに対し、財務諸表を中心として、監査要点と監査手続を有機的に結びつけ、実務家にとって斬新な書籍であったとのことです。

上の世代の公認会計士の方は試験勉強時に必読であったとお聞きしますし、私が2004年に旧2次試験に合格したときの専門学校のテキストにも、主要参考文献に挙げられています。
もし、古書店などで見つけることができたら、お手元に置かれてみてはいかがでしょうか。

*編集部注:オススメ①と②の書籍は、現在出版社のサイトでは品切れとなっていますので、中古を入手されるか、図書館等でご覧いただければ幸いです。

オススメ③『検定簿記ワークブック3級商業簿記』(渡部裕亘・片山覚・北村敬子編著、中央経済社)

実務を行っていく上では、最新の会計基準・監査基準や開示制度をフォローされていくことがもちろん重要であると思いますが、制度の成立の背景を知ることで、また、日々の業務への向き合い方が変わるのではないでしょうか。

そして、今の私の公認会計士という仕事ですが、原点は大学1年生の春に、『検定簿記ワークブック3級商業簿記』(中央経済社)で初めて簿記に出会い、その面白さに魅了されたことでした。
第一志望ではない大学に入学し、少しは勉強もしなければならないと、大学生協にてワークブックと手のひらサイズの電卓を購入しました。
今となっては、第一志望の大学で楽しいだけの4年間を過ごすことにならなくてよかったと、大学受験の結果にも感謝しています。

会計簿記は、英語とITに並ぶ世界の共通語です。
会計を学ぶことで、たくさんの道が広がっていきます!
是非、頑張ってください。

*編集部注:本書は3月に最新版が刊行されました。はじめて学ぶ方のみならず、税理士試験・会計士試験の勉強されている方で、簿記の実力が伸び悩んでいる方が一通り基礎を学び直す際にも最適です。ぜひご活用ください。

<執筆者紹介>

吉田 恵美
(よしだ・めぐみ)
吉田恵美公認会計士事務所 所長
2004年に公認会計士二次試験合格し、有限責任あずさ監査法人に入社。法定監査の他、IPO支援業務等に従事。2012年同法人を退社し、千葉県習志野市で吉田恵美公認会計士事務所を独立開業。一般事業会社への支援の他、習志野市、市原市等のパブリックな分野でも業務を展開。東京都下水道サービス株式会社取締役、日本公認会計士協会等の役員も務める。


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