連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(第116回)ー 資産除去債務④


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

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問題

資産除去債務を引当金処理せずに資産負債の両建処理する理由は?

解答・解説

引当金処理の場合には,有形固定資産の除去に必要な金額が貸借対照表に計上されないことから,資産除去債務の負債計上が不十分である。資産負債の両建処理は,有形固定資産の取得等に付随して不可避的に生じる除去サービスの債務を負債として計上するとともに,対応する除去費用をその取得原価に含めることで,当該有形固定資産への投資について回収すべき額を引き上げることを意味する。この結果,有形固定資産に対応する除去費用が,減価償却を通じて,当該有形固定資産の使用に応じて各期に費用配分されるため,資産負債の両建処理は引当金処理を包摂するものといえるから。

*除去債務会計基準33項,34項
『両建処理を実際に仕訳でやってみる』(桜井23版,247頁「設例11」)

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
4-2. 棚卸資産会計⑦‐⑫
5‐1.収益認識会計①‐⑦
5₋2.収益認識会計⑧-⑫
6.リース会計①‐⑥
7.固定資産の減損①‐⑩
8.ソフトウェア会計①‐⑥
9.研究開発費会計①‐⑦
10.繰延資産①‐⑦
11.退職給付会計①‐⑥
第113回 資産除去債務①
第114回 資産除去債務②
第115回 資産除去債務③

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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