あと2週間!日商簿記検定アヤコ先生の合格10か条


下釜綾子

【編集部より】
11月20日の日商簿記検定まで、あと残すところ約2週間となりました。なかなか勉強が進まずに焦りを感じている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、『イラストとマンガでわかる!はじめての経理のおしごと』(ソーテック社)著者であり、「かんたん!イラストで分かる簿記」がTwitterで人気の下釜綾子先生にアドバイスをいただきました。

試験日までの過ごし方

はじめまして。下釜綾子です。

「かんたん!イラストで分かる簿記」をTwitterで配信するほか、小学生からご高齢の方まで幅広い年代に対し簿記の指導をしています。

実は、私も、簿記に苦手意識を感じ、苦戦した一人でした。
そんな私も現在は、その時の苦労や経験を元に簿記の資格取得を目指す方を応援する仕事
をしています。

私もそうでしたが、仕事をしながら試験挑戦している方も多いかと思います。
予想問題などをするために「まとまった時間を確保しなければ」と思いながらも、仕事が
終わらず焦り、今日も時間が取れなかった・・。
どんどん、不安や焦りが大きくなる日々を私も過ごしました。

そこで、過去の私のような思いをせず、前向きに進んで欲しいと言う思いで、この記事を
書かせていただきました。
「試験日まで過ごし方」など少しでもお役に立てれば嬉しいです。

まず、私が「過去を振り返った失敗したなぁ」と思ったことは、以下のようなことです。

・ スケジュールを立てずに突き進んだ
・学習時間の不足と学習の継続
・苦手なところはすぐに解答を見てわかったつもりになっていた
・試験1週間前にテキストを何冊も追加購入した

そこで、2週間前の今日からぜひ取り組んで欲しい合格10か条を挙げたいと思います。

1.試験までのスケジュールと目標を書き出そう

試験当日まで、頑張ったつもりでもやり切った達成感はなかなか得られず、不安でいっぱ
いになります。
それは、どれくらい頑張ったのかが目に見えないからだと思います。

やるべきことをスケジュールに書き、可視化してみましょう!
終わりが見えない状態では、なかなか頑張れません。
可視化することで、やるべきことが整理されるだけでなく、ゴールを認識しやすく、1つ
ずつクリアしていく達成感を得られます。

自身の弱点の把握と克服をするためにも有効ですから、スケジュールと目標を書き出し、
確認しましょう。

2.仕訳は毎日積み重ねる

仕訳の問題は、短い時間で学習できる上に、試験でも配点が多い部分です。仕訳対策で理
解を深めることで、その他の問題の解答スピードも上がります。

仕訳を毎日積み重ねるためにはスキマ時間を活用するのがよいでしょう。
5分で仕訳を解けるだけチャレンジを朝起きて自宅に帰るまでの隙間時間に3回チャレン
ジするなどでも学習時間を積み上げることができます。

5分の積み上げでも、6回できれば30分です。その積み上げ効果は高く、達成感得られま
すよ!

3.よく間違える問題の対策をする

何度も間違える原因には、理解がまだ不足していることもありますが、

「この問題苦手、間違えるかも・・」

その問題への苦手意識から問題文に集中できないことも多く、よって「問題文をよく読めていない」場合も多くあります。

問題文を読むときは、落ち着いて頭の中を整理するためにも、勘定科目やポイントとなる各部分に○やラインを引くなどしながら読むようにしましょう。

また、仕訳はできるのに「計算するべき月数などを間違える」というケアレスミスがよくあります。経過勘定や期中に購入した減価償却費の計算などは、面倒でもタイムレコードなどを書
き、月数のカウントは指を使って書きましょう。
こうすると、本番の時も、見直しなどの時に、確認もしやすいですね!

4.「わかったつもり」を減らす

「すぐに解答ができない」「計算ができないとすぐに解答を見てしまう」のは、「見てい
るだけで、わかったつもりになっている」というなんとなくわかっている状態。

ここで学習をやめてしまうと、本番で少しニュアンスが違う出題がされたらまた同じミスを繰り返してしまいます。わからない問題については、なぜ間違えたのか解説をしっかり確認しましょう。

解説を読んで理解できたと思ったら、同じジャンルの問題をピックアップして複数繰り返
し解いてみましょう。

例えば、固定資産の購入をよく間違えるならば、解説をよく読み、その論点の問題を集中して数回解きます。

こうすることで、「わかったつもり」を「わかった」状態にしていきましょう。

5.試験前日におさらいする箇所を抽出しておく

仕訳のミスなどは、ノートにメモする、ミスした部分に付箋を貼るなど、おさらいがすぐ
にできるようにしましょう。これも可視化の一つです。

できるようになったら、チェックするまたは消し込みをしていきます。丁寧に書く必要はあ
りません。自分がわかるように書ければOKです。

付箋を貼っている方は、クリアしたら付箋を剥がしていきましょう。
こうすることで、試験前日におさらいする箇所も抽出できます。

6.反復練習でスピードアップを図る

「考えればできる問題でも、時間が足りない」のは、よくある悩みです。

その原因は、記憶レベルや理解度が不足していることが大きな原因です。

「現金が増えたら、左の借方に書く」がすぐにできるのは、現金は資産の勘定科目で、貸
借対照表の左にあるからなどをしっかり理解して記憶しているからです。

簿記の解答のスピードを上げるには「理解を深める」ことが大切で、そのために必要なの
は「反復する」ほかにありません。

ここでも、3級の第3問の経過勘定などは、全体でなくその部分だけをピックアップして集
中して解いて理解を深めてスピードアップしていきましょう。

7.リハーサルは必ず行う

実際の試験時間で試験問題に取り組みましょう。時間感覚を掴み、回答する順番など本番
への演習を行います。

下書きなどの書き方や見直し時間がどれくらい取れるのかを把握しましょう。

初見の問題も、良い演習になりますが、試験前日などギリギリではなく、しっかり復習できる日
程で行いましょう。

得点が取れなかった論点は、ミスノートなどに書き込み、再度復習できるようにしましょ
う。

8.やる気スイッチを入れよう

やる気が出ない時はどうするか?

とにかく、勉強する体制にして取り掛かることです。
誰でも、勉強する気がなかなか起きないことはよくあるかと思います。「テレビも見たい
し、SNSも気になるなぁ」と思っても、とにかくテキストを広げる、講義の動画を見るな
どの行動を始めてください。

実際に勉強する行動をスタートすれば、後から勉強しようという意識がついてきます。
行動をスタートすると脳内に刺激を出してやる気物質(ドーパミン)が出てきます。

やる気が出てから、勉強するのではなく、「勉強する行動をするから、やる気が出る」の
です。

とにかく、机に座ってペンを持ち、勉強を初めてみましょう。

9.しっかり睡眠をとる

集中力を高めるために大事なのは、睡眠時間です。眠たい目を擦りながら勉強しても効率
が悪い上に、翌日のコンディションも悪くなります。
計算するたびに合計が違う、借方と貸方を逆に書いてしまったなど、普段しないようなミ

スをしている時は、とにかく睡眠を取ってください。

10.試験前に新しい教材を増やしすぎない

試験直前にたくさんの問題を解くのは良いことですが、どれも中途半端に終わってしまう
状態にするのは避けましょう。

「いくつも問題集を買うのではなく、ひとつの問題集を完璧にする」とはよく言われますが,決めた問題集を反復することは「理解レベル」を上げるためにとても大事です。

焦って新しい教材を買っても、中途半端のままでは達成感も得られず、試験前に不安は増
えるばかりです。

試験2週間前は、これをやり遂げると決めた、テキストや総合演習問題などに集中しましょう。

おわりに~どうして簿記の合格を目指したのか思い出そう

みなさんも合格が最終目標ではないと思います。

資格を取得した先の、なりたい自分があるはずです。

私は、簿記の講師として「わかった!」と生徒たちに喜んでもらいたいという目標があり
ます。
さらに「経営する家族や周りの人のために役立ちたい。大切な人のために何かできること
を増やしたい」という気持ちが原動力になっています。

資格試験の対策に走っていると、そのワクワクする目標を忘れ、やらなければいけないと
いう義務のようなプレッシャーに押しつぶされそうなときがあるでしょう。

そんな時は、もう一度なぜ簿記の勉強を始めようと思ったのか思い出してください。

簿記を学んだ先には、人生を変えるたくさんの可能性が広がっています。
私自身、その可能性を体感しています。
経理担当者として活動するだけでなく、講師となり、出版も実現することができました。

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簿記の知識を経営に役立てるサポートもできるようになりました。

だからこそ、その可能性広げるためのスタートを1日でも早くきって欲しいと思います。
「1日は86,400秒しかない」その時間をどう過ごすか、できなかった後悔を少しでも減らしてください。
ここからの2週間は、これまでの積み上げの成果を出すための、大切な時間です。

そして、ぜひ、なりたい自分を思い浮かべてワクワクした気持ちで突き進んでください。

生徒によく言うのが、「できないかもしれない」と「できるかもしれない」はどちらも同
じ。ならば、どんなに不安でも言葉だけでも「できるかもしれない」と言葉に出してみて
ください。

一番聞いているのは自分の声です。私も言葉に出して自分の脳にそう思い込ませて、根拠はなくても自信をもって、試験に臨みましょう!
皆さんも、試験対策として時間もお金もかからない対策「できるかもしれない」やってみてください。

プロフィール
下釜綾子(しもがま あやこ)

『イラストとマンガでわかる!はじめての経理のおしごと』(ソーテック社)著者。簿記・会計の講師、公共職業訓練や専門学校講師、社長BOKIゲームシニアインストラクターとして活動。また、住宅設備会社の経理責任者を兼任し、実務も行なっている。業界と職種を経験し転職を機に会社員時代の経験を活かし、2010年よりキャリアアップを支援する講師として活動を職業訓練の講師とて活動を開始。自身の苦手だった経験や実務での様々な経験を活かし多方面で小学生から簿記の指導を行なっている。簿記教育を親しみやすくする取り組みとして「かんたん!イラストで分かる簿記」をTwitterにて配信を続け簿記の普及に取り組んでいる。


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