連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(第49回)ー 棚卸資産会計⑫


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

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問題

先入先出法と後入先出法の特徴を比較すると?

解答・解説

物価変動下における損益計算の影響という観点からみれば,先入先出法は当期の収益に対して,過去の費用が対応することになり,費用と収益との同一価格水準による対応計算が行えず,物価変動に起因する保有損益が損益計算上実現損益として計上されてしまうのに対して,後入先出法は当期の収益に対して比較的最近の費用が対応することになり,費用と収益との比較的同一の価格水準による対応計算を可能とすることから,保有損益を損益計算から比較的排除できる長所を有する。
棚卸資産の期末評価額は,先入先出法によれば,期末近くに取得されたものの取得原価によって評価されるから時価に近似した価額を反映するが,後入先出法では,最も古く取得されたものの取得原価によって評価されるから時価から乖離したものになる。

*棚卸資産会計基準34-5項
 ”計算方法を確認しよう!”(桜井23版,154頁)

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
第44回 棚卸資産会計⑦
第45回 棚卸資産会計⑧
第46回 棚卸資産会計⑨
第47回 棚卸資産会計⑩
第48回 棚卸資産会計⑪

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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