【会計士合格体験記】 人生の逆転ホームランを狙って 5つの勉強法で高卒・アラフォー合格


P太郎
(合格時:30代後半、地方公務員)

合格時期:短答…2019年12月/論文…2021年8月
学習スタイル:専門学校(資格の大原・通信講座)

公認会計士を目指したきっかけ

私が公認会計士を目指したのは、大学受験に失敗し高卒で地方自治体に就職して20年近くが経ってからです。

公務員という仕事に大きな不満はなかったのですが、実は就職してからずっと「いつか難関試験に合格して逆転ホームランや…! 高卒やけど大卒にだって負けてへんぞ」と心の中で思っていました(笑)。

そうやって意気込んではいたものの「これだ!」という資格には出会えず、いつの間にか残業の多い部署への異動や、結婚・妻の出産などのライフイベントもあって、何にも挑戦しない日々がズルズルと続きました。

そんななか、仕事で公認会計士という資格に出会います。職場で公認会計士の方が「先生」と呼ばれとても尊敬されており、「会計士めっちゃすごいやん!」と興味をそそられました。

調べていくうち、なんと三大国家資格であること、公会計制度を勉強したときに面白いと感じた「会計」の最高峰資格であること、活躍するフィールドが多岐にわたることなどから、「会計士しかない!これでリベンジや!」と考えるようになりました。

こんなふうに、とても俗な理由から始まったのが私の公認会計士試験です。

まずは下準備! 合格体験記を読み、簿記2級に挑戦

まずは、情報収集のために合格体験記を読みました。各予備校のホームページはもとより、月刊誌「会計人コース」(現在は休刊)も読みました。また、ブログやnoteなど、ネット上にあるものはほとんど全部、という勢いです。

これは、働きながらでも合格できるかを見極めるためでした。会計士を目指した当時から家庭があり、合格時の年齢などを考えても公務員を続けるつもりだったので、「退職して専念」という選択肢は排除していました。

さまざまな合格体験記を読んだ結果、感じたのは「社会人でも合格可能性は十分にある」ということ。

確率でいえば学生・専念生には負けますが、同じ立場で合格している人がいる以上、「自分も絶対にできる!」と思いました。なんなら当時は「一発合格も狙える!」と本気で思っていました(残念ながら一発合格はできませんでしたが…)。

楽観的だったとも言えますが、この「きっと合格できる!」という思い込みにも似た自信は大事だと思います。

その後、すぐにでも予備校の講座に申し込みたい気持ちでしたが、受講料は社会人にとってもかなりの金額です。そのため、力試しとして簿記2級に挑戦しました。試験日まで1ヵ月余りしかありませんでしたが、向き不向きがわかるのではないか、と考えてのことです。

「ここで不合格なら決意が揺らいでしまう!」と必死に勉強した結果、無事に合格(2018年11月)。簿記の勉強も楽しく、もっと知りたいと感じたことも、公認会計士試験に挑戦する決意をさらに確固たるものとしてくれました。

そして、妻に簿記2級合格を報告するとともに、会計士を目指すことを伝えました。当時2歳の子どもがいたこともあって家族の協力は必須でしたが、妻は快諾してくれました。本当に感謝しかありません。

順調に突破した短答式試験、しかし論文式試験で失敗

簿記2級にも合格し、家族の協力も得たところで、資格の大原で会計士の勉強を開始しました(2018年12月~)。

カリキュラムのとおりに講座・答練をこなした結果、1年後の短答式試験を順調に突破することができました(2019年12月)。いま振り返ると、計算科目は実力が足りなかったと思うのですが、理論偏重の勉強法が当たった幸運もあってか、短答式試験には一発で受かりました。

しかし、その後、コロナ禍で自習室が使えなくなったこと、仕事でのストレス、第二子の出産など、さまざまな要因でまったく勉強に手がつかなくなりました。答練も消化できず、結局1回目の論文式試験は記念受験になってしまいました(2020年11月)。

いま思うと、本当にもったいないことをしました。「実力が足りずに不合格」は仕方ないとしても、途中で合格を諦めたことで勉強をストップさせてしまったこと、本番で得られる経験値を自ら小さくしてしまったことは今でも反省しています。

5つのリベンジ勉強法

「2回目は絶対に受かってやる!」と決意を新たに勉強再開。1回目の不合格が確定していたので、合格発表を待たずして資格の大原の上級コースに申し込みました。そして、今までの勉強法では再び不合格になってしまうのではないかと思い、勉強法を見直すことにしました。

① 重要度を意識

1回目に失敗して強く思ったのが、論文式試験こそ範囲が膨大で、まったく勉強時間が足りないということです。

計算も理論もまったく範囲をこなせないままに終わっていたので、2回目では「重要度」を意識した勉強に切り替えました。

具体的には、問題集・答練の

重要度A……暗記するほどに勉強
重要度B……読むだけ
重要度C……まったく触れず

といった感じです。

ただし、得意科目では少し手を広げたり、試験のヤマはしっかり対策するなど、やや強弱をつけていました。

② 法令基準集の活用

勉強時間・労力を節約するため、法令基準集に載っている内容は暗記しないことにしました。

それまでやみくもに全部覚えようとしていましたが、法令基準集に載っていることは意義だけ押さえることにしました。

③ 時間ベースからタスクベースへの切替

「何時間勉強した」という時間ベースから、「どれだけ解けるようになったか」というタスクベースの勉強に切り替えました。

時間ベースだと、勉強できなかったときに焦って自己嫌悪してしまいます。また、時間だけで満足してしまい、実は合格に近づいていないこともあると考えたからです。

タスクベースでの勉強によって、進捗管理も容易になりました。

④ 作業時間を減らす

学習当初は、テキストや答練を丁寧に裁断、穴あけ、ファイリング……なんてことをしていましたが、こういった作業は勉強していることになりません。

また、作業だけで満足してしまう傾向があったので、2回目からはやめました。

その他にも単純作業になっていると思ったもの、たとえば模範解答を書き写す「写経」などもすべてカットしました。

⑤ スキマ時間も勉強! 勉強!

短答期から昼休み・通勤時間も勉強していたのですが、これを毎日1日も欠かさずに行うことにしました。

その結果、毎日1時間は稼いでいたと思います。1時間もあれば、1科目の重要論点の3分の1くらいは復習できます。

また、スマホに使用時間制限アプリを入れることで、スマホに時間を取られないようにし、集中して勉強に取り組むことができました。

最後まで諦めず、なんとか合格!

1回目の反省点を踏まえて挑んだ2回目の論文式試験(2021年8月)ですが、2日目の管理会計論で単位ミスに気づいて、昼休みには泣きそうになっていました。

「(今年も)終わった」という考えが頭を巡りましたが、「科目合格があるかもしれない」と気を取り直し、3日目の最後までやり抜きました。

まったく解答の見当がつかなくても、何かヒントがないか法令基準集を血眼になって読んだり、最後の1秒まで何かを書き殴ったり……。

色々とやらかしてしまい、「絶対に落ちた」と思い込んで何度も悔し泣きしましたが、ふたを開けるとギリギリ、なんとか合格していました。

勝因は何だったのか。思い起こせば、自分なりに勉強法を工夫したことに加えて、試験当日、最後の最後まで諦めなかったことがあると思っています。

総試験時間13時間の中で、点を取ること以外は1秒たりとも考えていませんでした。

公務員から第一志望の監査法人に転職

この合格体験記を執筆している現在、私は監査法人の新人として研修の真っ最中です。

地方自治体の組織内会計士として、公会計や公営企業会計に携わることも考えましたが、試験勉強を通じて会計士の独占業務である監査に携わりたいと強く思い、公務員からの転職を決めました。

アラフォーの高齢合格でしたが、売り手市場だったこともあり、第一志望の監査法人に入所できました。ちなみに、就職活動中も今も、「高卒・高齢」がデメリットだと感じたことはまったくありません。

売り手市場かどうかは社会情勢も関わってきますから、偶然そうだっただけかもしれませんが、いま私と同じような立場で会計士を目指している方の励みになればと思います。

妻と周りのみなさんへのお礼

会計士試験に合格できたのは、まずもって妻のおかげです。本来なら互いに負担すべき家事、子育ての多くを協力してもらいました。また、日々の勉強や仕事での弱音・愚痴を聞いてくれたのも妻でした。私は妻が居なければ合格できなかったと思います。改めて感謝しています。本当にありがとう。

なお、協力に対する報酬は、私が公認会計士としてバリバリ稼いで家計にたくさんお金を入れることらしいです。できる限り前向きに検討したいと考えております(ザ・公務員)。

また、妻のみならず実親などの親類にもとても応援してもらいました。予備校の先生方、Twitterのフォロワーの方々にも励まされましたし、直前期に休暇を承諾してくれた職場の上司・同僚にも本当に感謝しています。

周りの支えがあってこその合格だったと、今も変わらず信じています。本当にありがとうございました。

受験生へのメッセージ

会計士の勉強は通常は1、2年以上の長期間にわたります。特に社会人で家庭もあれば、さらに長期戦になることもあるでしょう(それでも短期で合格された方はすごいです!)。

長期戦であればあるほど、さぼりたくなる気持ち、逃げ出したくなる気持ちは絶対に出てきます。もしさぼってしまったとしても、絶対にリカバリーしてください。それを繰り返していけば合格は見えてきます。勉強時間が減っても復活できたなら気にする必要はありません。だってそうやって勉強しなかった期間がある人間(私のことです)も合格しているのですから。

また、これは自戒を込めて話すのですが、勉強法は常に自分の頭で考え、試行錯誤してください。試験までの勉強時間が限られている以上、間違った方法での勉強は場合によっては害悪になります。決して思考停止することなく、合格点を取るためには何をすればいいのか、ただそれだけを考えて日々勉強すれば、合格にグッと近づくと思います。

さいごに、公認会計士試験に挑戦する方、みなさんの合格を祈念いたしております。頑張ってくださいね!!


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