【令和3年公認会計士試験1位合格者インタビュー】「計算力」で一歩先をいく! 「テキストの理解」が上位合格のカギ


(トップ画像提供:CPA会計学院)

公認会計士試験に上位で合格した人は、どのような勉強をしていたのでしょうか?
興味のある方も多いと思います。

そこで、令和3年公認会計士試験に1位で合格された大木美裕さんに、CPA会計学院新宿校にてインタビューをさせていただきました。
公認会計士受験生はもちろん、税理士受験生や簿記検定受験生にとってもよいヒントが満載です!

【大木さんのプロフィール】
所属:慶應義塾大学経済学部3年生
専門学校:CPA会計学院
受験歴:2021年5月短答式試験(3年生)、2021年8月論文式試験(3年生)

公認会計士を目指したきっかけ

――このたびは公認会計士試験1位合格おめでとうございます! 今の気持ちをお聞かせください。

大木さん 合格を目指して勉強していたのですが、合格だけではなく、まさか1位になるとは思っていなかったので、成績通知書を見たときは本当にびっくりしました。ただ、今は嬉しい気持ちでいっぱいです。

――いつ頃から「合格」が見えるようになりましたか?

大木さん 答練や模試で上位の成績をとるようになった頃からです。そのあたりから、単なる合格ではなく、「1桁台で合格したい」と思うようになりました。そのため、成績通知書を開いて「1位」という文字が見えたときは、思わず声が出てしまいました。 真っ先に親に伝えようと急いで電話したのですが、最初は出なくて…(笑)。その後、一緒に喜んでもらいました!

――本当に素晴らしいですね。大木さんは大学1年生の春からCPAの「2年スタンダードコース」に入ったということですが、そもそも公認会計士試験に挑戦しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

大木さん 最初のきっかけは高校生のときです。もともと大学に入ったら何かに打ち込みたいと思っていて、資格を取得すれば社会人になってからも役に立つのではないかと考えていたので、大学では資格試験に挑戦しようと決めていました。なかでも公認会計士が三大難関国家資格の1つといわれていて、自分自身も数学が好きだったので、公認会計士を目指すことにしました。

――もともと公認会計士という資格は知っていたのでしょうか?

大木さん 普通高校だったので簿記を勉強したこともなく、公認会計士という存在も知りませんでした。たしか校門前で予備校がティッシュ配りをしていて、その広告を見たのが公認会計士を知った最初のきっかけです。そこから「こんな資格があるんだ」と興味をもち、大学1年生の4月から始まるレギュラー講義に向けて、高校3年生の2月にCPAの入門講座に入り、簿記の勉強をスタートさせました。

「計算」が合格の決め手に

――大木さんにとって、公認会計士試験の最大のツボは何だと思いますか?

大木さん 私の場合は「計算」で、会計学の計算と租税法の計算、経営学の計算が合格の決め手になったと感じています。

理論は、いくらインプットしても本番で裏切ってくるというのでしょうか、今回も監査論が800位台という成績でした。もともと「自分で文章を考えて書く」ということが苦手だったので理論には苦労しました。

一方で計算は、問題を解いているときの感触と試験が終わったときの手ごたえ、実際の成績が一致するように思います。このことは本試験だけではなく答練や模試から感じていたので、普段から計算を重視して勉強するようにしていました。

そのため、自信があった科目も、偏差値が高かった科目も「会計学」です。

――会計学が重要だという声はよく聞きます。得意科目にするポイントはありますか?

大木さん とにかく「基礎を固める」ということだと思います。

本試験では予備校のテキストには登場しないような応用的な知識が問われることもたくさんあります。

ただ、基礎さえしっかり押さえていれば、応用的な論点にそこまで時間をかけなくても、「この基礎を活かして解こう」というように対応できると感じました。

――計算力を上げるコツはありますか?

大木さん そうですね。私の場合、計算そのものが得意というわけではなく、問題を見た瞬間に「なんの論点か」「どんな計算式を使えば解答にたどり着くのか」がすぐにわかる、という状態を目指していました。

もともと文字を書くスピードが速くないことを自覚していたので、問題を読んでから答えが思い浮かぶまでのスピードを速くする、といったイメージです。

ペンを動かすスピードが遅ければ電卓を叩くスピードが遅くてもかまわないので、そこでしっかり電卓を正確に叩くようにしていました。

「正確性」という点でいえば検算もしっかりするようにしていて、たとえば問1の解答が問2や問3にも影響する場合は、問1の検算を2~3回はしました。問1が独立した問題でも、1回は検算をするようにしていました。

「テキストの読み込み」が勉強のキホン

――テキストの使い方で工夫していたことはありますか?

大木さん たとえば租税法は、計算でもインプットすることが多かったので、答練でわからないことが出てきたら付箋にそれを書き、テキストに貼って覚えるようにしていました。

テキストに直接メモするのではなく付箋を使っていた理由は、ぱっと目につきやすく、はがして他のページに貼ることもできたからです。

上のほうにも付箋を貼っていますが、覚えなければいけないことを答練の直前に見返すことができるように、目印として貼っていました。

答練でわからなかったところ、覚えたほうがよいところが見つかれば、当日中、遅くとも翌日までには、テキストを見直すようにしていました。

その際は、正解できた問題も、「本当に理解して正解できたのか」「たまたま正解しただけではないか」と考えながら答練を見直し、理解が足りていない部分があればテキストを熟読したり、メモしたりしていました。

――書き込みはそこまで多くないように思いますが、これは意図的ですか?

大木さん そうですね。これ(上の写真)が比較的書き込みをしているほうで、基本的にはあまり書き込みはしませんでした。

テキストはCPAの講師の方が長年の指導経験を反映して作ったものです。そのため、答練に出ていないような情報を自分で書き込んでも、それはそんなに重要ではないのかなと思っていました。

テキストに書かれていないなら、書かれていない理由があるはずです。それならテキストを全面的に信用し、その内容を理解するのに時間を使ったほうがよいと思い、テキストの読み込みを勉強の基本としていました。

「テキストさえ読めばわかる」という状態を目指していたので、まとめノートなどを別に作るようなこともしませんでした。

受験生活のモチベーション

――受験勉強と大学生活の両立は大変だったのではないか思いますが、両立のため、モチベーションを上げるために意識していたことはありますか?

大木さん 実は「両立」という面では、新型コロナウイルス蔓延の影響で大学の授業がオンラインになり、学校に行く必要がなくなったので、そこまで厳しく感じることはありませんでした。強いて言えば、大学3年生の春は短答式試験(令和3年は5月のみ実施)と論文式試験の勉強で立て込むと思ったので、履修科目を少なくする、といった工夫をしていたくらいです。

テニスサークルや飲食店でのアルバイトと受験勉強を並行していた時期もあるのですが、それはスマートフォンのスケジュールアプリで管理していました。

モチベーションを上げるためには、なるべく友達と遊ぶことを我慢せず、「この答練が終わったら遊ぶぞ」というように、メリハリをつけるようにしていました。また、CPAにも仲のいい受験仲間がいたので、その子と定期的に会って受験生活の悩みを言いあったり、励ましあったりしていました。

――なるほど。ちなみに、合格発表日の祝賀会についてもお聞きしていいでしょうか。記念写真などを見ると、女性がドレスを着ていて華やかですよね。そこで同じ女性として、ふと「このドレスって合格とわかってから急いで準備したのかしら…!?」なんて思ってしまって(笑)。この日はどんな1日でしたか?

大木さん 変化球な質問ですね(笑)。私の場合は、もともとドレスを持っていたので、当日に急いで準備するといったことはなかったです。ヘアセットは「おそらく合格しているかもしれない」と思って、2週間前くらいに美容院を予約していました。ただ、友人の場合は、当日にドレスをレンタル、ヘアセットを予約していたようです。

たしかに合格発表日はバタバタだと思いますね。私もドレスが手元にあったとはいえ、結果を見て、ご飯を食べて、美容院に行って、いつのまにか祝賀会、と合格の余韻に浸る暇もなかったです。合格した瞬間に思ったのは、「よし、家を出て準備しなきゃ」でした(笑)。

◆合格祝賀会の友人とのワンシーン(提供:CPA会計学院、一部を加工)

――そうなんですね! 疑問がスッキリしました(笑)! 最後に、大木さんは将来どんな公認会計士になりたいかを教えてください。

大木さん 私自身は決してクリエイティブな人間ではないのですが、友人には自分自身で考えて価値を創造しているようなクリエイティブな方がたくさんいて、そのような方たちを尊敬しています。

そのため私も、今後「支えていきたい」と思えるような方に出会ったら、その人の力になることができるように、「頼りたい」と思ってもらえるように、知識面でも人間的にも成長を続けられる公認会計士になりたいです。

――ありがとうございました。大木さんのご活躍を応援しています!

2位合格者・藤井健生さんへのインタビューはこちらから。


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