【受験生が“勉強の秋”に読みたい本】①『税理士の未来』ー「税理士」とは何か、改めて考える


勉強の秋ですね~。
9月から新たに学習のスタートを切った税理士受験生の皆さん、順調に勉強は進んでいるでしょうか?
来年の本試験までちょっと時間があるこの時期、苦しい受験勉強を乗り越えるには、「絶対に税理士になる!」というモチベーションを持続させることが不可欠です。
そこで、将来の仕事をイメージし、またモチベーションがアップする書籍を紹介します。

第1回目は、『税理士の未来-新たなプロフェッショナルの条件』(坂本孝司著、中央経済社)です。

そもそも「税理士」って何?

素朴な質問ですが、「税理士」はどのような仕事をする人でしょうか?

「税に関する専門家」であることはもちろんですが、それにとどまらず、本書では、税理士の業務を以下の「4大業務」として位置づけて、それぞれについて詳細に解説しています。

◆ 税務の領域について「税法に関する法律家」

◆ 会計の領域について「会計専門家」

◆ 保証の領域について「税務監査人・会計参与」

◆ 経営の領域について「経営コンサルタント」

そう、税理士の活躍のフィールドはこんなに大きいのです!

そして、税理士業務の他の専門業にない、きわだった特質として、以下を明らかにしました。

① 同一企業に対して、4大業務を同時に提供できること、インテリジェンス・バンクとしての機能を果たすことができること

② 企業・個人のガバナンス強化に貢献できること

「未来」を語る際、怪しげな内容や誤った情報を根拠に書かれたものも少なくありません。

しかし、本書は、坂本先生の『会計制度の解明-ドイツとの比較による日本のグランドデザイン』(中央経済社、2011年)、『ドイツにおける中小企業金融と税理士の役割』(中央経済社、2012年)、『中小企業金融における会計の役割』(共編著、中央経済社、2017年)等の研究や実務の集大成ともいえるもので、しっかりとした理論的根拠にもとづき提示している点が大きな特徴です。

「税理士」の可能性は大きく拡がっている!

近年のAIの進展により、税理士・公認会計士・会計事務所等の仕事が激減するのではないかとの悲観的な見解もあり、業界内には閉塞感を感じている方も多いと思われます。

また、そのような状況も影響してか、税理士試験の受験者数も減少の一途をたどっています。

しかし、本書で示した4大業務を実践していけば、AIにより淘汰されることは決してありません。

むしろ、AIをも活用して、さらに高度なサービスを提供し、社会により大きな貢献をすることができるのです!

受験生の皆さんには、税理士の仕事は社会に大きな意義のある仕事である、と理解したうえで勉強に取り組んでいただき、1日も早くプロフェッショナルの仲間入りをしていただきたいと思います。

また、会計事務所に勤務しながら受験をされている皆さんは、日頃従事されている仕事の意義を再認識していただき、業務に邁進していただくことで、社会から真に信頼され、なくてはならない職業として不動の地位を築いていただければと思います。

本書を1人でも多くの方にお読みいただき、そしてモチベーションをアップさせる起爆剤にしていただければ、うれしいですね。

ぜひぜひご覧ください!

【著者紹介】
坂本 孝司(さかもと たかし)
税理士・米国公認会計士 博士(経営情報科学)(愛知工業大学)

1956年 静岡県浜松市生まれ
1978年 神戸大学経営学部卒業
1998年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学
2011年 愛知工業大学大学院経営情報科学研究科博士後期課程修了、博士(愛知工業大学)

中小企業庁「中小企業の会計に関する研究会」(2002年)専門委員、経済産業省「中小企業政策審議会」臨時委員、経済産業省「財務管理サービス人材育成システム開発事業」委員、中小企業庁「中小企業の会計に関する研究会」委員(2010年)等を歴任。現在、中小企業会計学会副会長、静岡理工科大学大学院客員教授、TKC全国会会長を務める。

[主な著書・論文]
『税理士業務における品質保証と品質管理』共訳、TKC、2007年
『会計制度の解明―ドイツとの比較による日本のグランドデザイン』中央経済社、2011年(2011年度日本会計研究学会 太田・黒澤賞受賞)
『ドイツにおける中小企業金融と税理士の役割』中央経済社、2012年
『中小会計要領対応版 会計で会社を強くする』TKC 出版、2013年
『会計で会社を強くする簿記・会計先覚者の金言集・解説(改訂新版)』TKC出版、2014年
GENERAL ACCOUNTING STANDARD for SMALL-and MEDIUM-SIZED ENTITIES in JAPAN、共著、WILEY、2014
『中小企業の財務管理入門―財務経営力で会社を強くする(第2版)』中央経済社、2015年
『中小企業金融における会計の役割』共編著、中央経済社、2017年
『税理士の未来―新たなプロフェッショナルの条件』中央経済社、2019年
「租税法における記帳規定と簿記の証拠力―ドイツ1919年ライヒ国税通則法及び1977年国税通則法を中心として」TKC 税研情報第7巻第5号・6号、1998年(第8回(財)租税資料館賞受賞)


本記事で紹介した本

『税理士の未来―新たなプロフェッショナルの条件』

【書誌情報】
著者:坂本 孝司
定価:3,080円(税込)
発行日:2019/06/28
A5判 /304頁
ISBN:978-4-502-31661-6
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◆坂本先生のこちらの書籍もオススメです!

『中小企業の財務管理入門(第2版)』

『税理士の未来』で示されている4大業務のうち、主に「経営コンサルタント」としての役割を果たすための基礎知識を提供する書籍です。


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