1から勉強する気持ちで! 専門学校講師が教える 簿記論・財務諸表論 経験者の“リベンジ合格”ロードマップ


8月に税理士試験を受けられた方、お疲れ様でした。9月になり、勉強を再開された方もいらっしゃると思います。

専門学校などでも、来年度の試験に向けて税理士試験講座がスタートしています。

ここでは、毎年多くの合格者を輩出している 資格の学校TAC で財務諸表論の講師をされている加茂川 悠介先生に、税理士試験(簿記論・財務諸表論)に再挑戦される方に向け、1年間の心構えや学習で大切にすることなど、アドバイスをいただきました。

加茂川 悠介

こんにちは! TACで講師をしている加茂川です。

今回は、簿記論・財務諸表論の受験経験者の方に向けてお話をさせていただきます。

8月の本試験を受けられた方、お疲れ様でした。本試験までかなり頑張ってきたと思いますが、8月くらいは少しゆっくり休めたでしょうか。メリハリをつけることも、税理士試験という長期戦には大事なことです。

基本的に専門学校を利用されていることが前提のお話になりますが、受験経験者の方にとって、本記事が少しでも助けになれば幸いです。

※初学者の方は、こちらの記事をご覧ください。
「「基礎固め」からスタート! 専門学校講師が教える 簿記論・財務諸表論 初学者の1年間の過ごし方」

基礎期(9月~12月):自分の位置を再確認する

受験経験者の方は、おおよそ簿記論・財務諸表論の学習内容が頭の中に入っているかと思います。そのため、ここでは12月の合格発表までの過ごし方についてアドバイスをさせていただきます。

本試験を受けられた方で、まだ自己採点をしていない方は、各専門学校が公表している解答解説を参考に、自己採点をしてください。たとえばTACでは、解答解説のなかで合格確実ラインやボーダーラインも公表しています。

ひとまずそれらを参考に、合格確実ラインに届いていれば、安心して次の科目に進んでいただくとよいと思います。

ボーダーラインあたりの方は、9月から新たな科目を始めるとしても、12月までは何度も繰り返し解いてきた演習(120分の問題)を、少なくとも週に1回は解き直すことをお勧めします。

何もせず、12月の結果を受けてから勉強を再開することは大変かと思います。何もしないと、学習内容をかなり忘れてしまうからです。これまで多くの受講生の方を見てきて、そう思います。

自己採点の結果、ボーダーラインに届いていなかった方は、可能であれば専門学校の担当講師に一度、相談されることをお勧めします。本試験までの勉強状況や本試験の出来具合によっては、初学者と同じように9月からしっかりと勉強を再開したほうがよいかもしれないからです。

また、過去に税理士試験を受験したことがあり、久しぶりに勉強を開始しようと思われている方も、同様に相談されるとよいでしょう。

応用期(1月~4月):不合格の場合は1月から勝負

12月の結果発表を受けて残念だった場合は、少なくとも1月から本腰を入れて勉強を再開してください。

たまに5月から専門学校に来て、勉強を再開される方を見ますが、多くの場合、学習内容を思い出したり勘を戻したりすることで時間がかかり、自身の実力を高める前に本試験を迎えてしまいます。

そのため、油断せず、1月から各専門学校の「受験経験者向けコース」などを利用されることをお勧めします。

勉強方法としては、たとえばTACでは、本試験合格に向けた演習(テスト)を何度も受けていただくので、そのテストを受ける前にしっかりと準備をし、受け終わったら時間をかけて復習するように伝えています。

間違えたら、解答解説を見て終わりにするのではなく、手元にある計算テキストや理論テキストに立ち返りましょう。

「ここにしっかり書いてあるのに、どうして間違えたのかな」と、自己分析することが実力アップの近道です。これはとても時間のかかる作業ではありますが……。

また、受験経験者の方なので、各演習では、だいたい上位3割くらいを目標にするといいかと思います。

直前期(5月から8月):計算は総合問題を1日1題、理論は詰め込み

多くの専門学校で「直前対策」や「試験委員対策」が始まり、「もうすぐ本試験だなあ」と感じられると思います。

また、とても大切な「受験申込」も例年4月~5月にあるので、忘れずに、早めに、行うようにしましょう。常日頃の努力が水の泡にならないように!

勉強についても油断することなく、引き続き直前期も、毎回の演習に向けてしっかりと準備をし、演習後は時間をかけて復習をしていただきたいと思います。目標も変わらず、各演習で上位3割以上を目指すとよいでしょう。

また、ご存じのとおり、多くの専門学校では、講義が7月中旬で終わるかと思います。しかし、ここから本試験までの「最後の1ヵ月」がとても重要です。

気を引き締めて、計算の総合問題は1日1題を目標に電卓をたたいておきましょう。財務諸表論の理論は、この「最後の1ヵ月」での詰め込みがとても有効です! ヤマを張らず、まんべんなく覚えるように努めましょう。

最後に

何よりも大切なことは「健康」です。本試験当日、体調不良で本来の実力を発揮できないのはもったいないので、疲れているときは無理をせず、しっかりと体を休めてください。健康管理も受験勉強のうちです。

ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。勉強で不安を抱いたときは、専門学校に通われている方は講師や友人に、独学の方も知り合いの受験経験者や友人に相談してみるのがいいでしょう。皆さまのご健闘を心よりお祈り申し上げます。

【執筆者紹介】
加茂川 悠介(かもがわ・ゆうすけ)
税理士。中央大学法学部、早稲田大学大学院法学研究科修了後、大手専門学校で教鞭をとる。その後、立命館大学大学院法学研究科で税法を学び、税理士事務所勤務、河合塾ライセンススクール講師を経て、財務捜査官採用試験に合格、宮城県警にて勤務。立命館大学大学院では成績および論文を評価され、奨学金全額返還免除を受ける。現在、資格の学校TAC税理士講座のほか、近畿大学等でも講義を行う。


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