今こそ経営をよりよくする管理会計システムを問おう


今こそ「臨床の知」を

最近、マスコミやSNSでは、「Withコロナ」「Afterコロナ」「New Normal」「新しい生活様式」などといった言葉が生み出され、この騒動の先にある未来がどのような姿になるのかが論じられている。こうした環境変化に適合しなければならないのは経営者だけではない。

専門的な知識から経営者をサポートする職業会計人も同様であろう。とりわけ中小企業に寄り添う職業会計人には、経験、理論、そして個々の企業の経営活動が渾然一体となるなかで適切なサポートを行い、経営者の拠りどころになる姿勢が求められる。

実務においていかに会計が機能しているのかを学ぶとき,「個々の場合や場所を重視して深層の現実にかかわり、世界や他者がわれわれに示す隠された意味を相互行為のうちに読み取り、捉える働きをする」(中村1992, p.135)「臨床の知」は、豊かな視点をもたらしてくれる

危機の今こそ、企業経営の現場で何が起きているのかを学ぶことで新たな知を得る絶好の時期である。それは来たるべき「新たな平時」への備えにもなるのではなかろうか。

<執筆者紹介>
飛田 努
(とびた・つとむ)
福岡大学商学部准教授
1974年生まれ、神奈川県出身。
立命館大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。博士(経営学)。
証券会社勤務、東海大学総合経営学部、熊本学園大学大学院会計専門職研究科を経て現職。専門分野は中小企業の管理会計、財務管理。
「中小企業におけるマネジメント・コントロール・システムの整備と組織成員による受容-管理会計と目標管理の連携:本山合金製作所の事例」(『中小企業会計研究』第5号)、「創業者の経験と勘の共有化を図る経営管理システムの構築:佐賀県内金型メーカーの事例」(『メルコ管理会計研究』第4巻第1号)など,中小企業の会計実務に関連した論文を執筆している。


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