2020年税制改正が税理士試験に与える影響と対策


消費税関係

1.法人に係る消費税の申告期限の特例の創設(大綱82項)

法人税や地方税で認められていた申告期限の1カ月延長の特例が消費税でも認められることとなります。

法人の実務的にはありがたい改正ですが、令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用することとされているため、令和2年の税理士試験では出題されないと思います。

2.居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化(大綱84-85項)

こちらは金地金を利用した消費税還付スキームに対応して設けられた改正項目です。消費税はこれまでも過度な節税スキームに対応する形で事後的に節税スキームを封じ込める税制改正を繰り返してきています。今回の改正内容を理解するには問題となった節税スキームを理解する必要があります。節税スキーム自体は複雑ではないので時間に余裕ある受験生は調べてみるといいでしょう。今回の節税スキーム対応策としていくつかの改正項目が設けられており、それぞれ若干適用開始時期が異なるため、税理士試験的には令和2年よりも令和3年以降での出題が考えられるのではないかと思います。

所得税関係

未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し(大綱37-39項)

こちらややマニアックな改正項目(適用は令和2年分以後の所得税)だと思うので、税理士試験的には余裕があれば先行してみておいてもいいかと思います。

相続税関係

大きな改正項目は無いように思いますが、以下の通り大綱冒頭で述べられており、来年以降の税制改正では留意が必要かと思います。

4)資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築と格差固定化の防止 高齢化の進展に伴い、いわゆる「老々相続」が課題となる中で、生前贈与を促進する観点からも、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築が課題となっている。今後、諸外国の制度のあり方も踏まえつつ、格差の固定化につながらないよう、機会の平等の確保に留意しながら、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直し、資産移転の時期の選択に中立的な制度を構築する方向で検討を進める。こうした検討の進捗の状況を踏まえ、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置及び結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても、次の適用期限の到来時に、その適用実態も検証した上で、両措置の必要性について改めて見直しを行うこととする。

オリジナルサイト:自由民主党・公明党『令和2年度税制改正大綱』14項

井上幹康(天気予報のできる理系税理士 兼 不動産鑑定士試験合格者)
理系大学在学中に独学で気象予報士試験に一発合格したものの、その資格を生かした就職は叶わず。その後社会人となった後に理系から急遽方向転換し、働きながら4年で税理士試験官報合格を果たす。開業税理士として税務に従事すると同時に不動産鑑定士試験にも一発合格。税理士試験受験生や不動産鑑定士試験受験生向けの相談サービスや会計学のゼミも開催。
井上幹康税理士事務所HP:http://mikiyasuzeirishi.com
note: https://note.mu/mikiyasuzeirishi


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