税理士試験は直前期まっただなか。会計人コースBOOKS『税理士試験 直前予想問題集』(中央経済社)は、今年も好評発売中です。
例年、多くの簿記論・財務諸表論合格者を輩出している千葉商科大学「瑞穂会」では、毎年試験1ヵ月ほど前に、この『直前予想問題集』を解くカリキュラムとなっているそうです。
そして今年も、簿記論・財務諸表論に初挑戦する学生が、「はじめて直前予想問題集を解いた」とのこと。
そこで、試験前の貴重なお時間を頂戴し、『直前予想問題集』を解いた感想をインタビューさせていただきました!
2時間の制限時間を計り、実戦的な問題を解いたことで、どのようなことを考えたのでしょうか?
「瑞穂会」を指導されている渡邉先生のアドバイスも交えてお話を伺いました。
本記事では「簿記論」に関するインタビューをお届けします(財務諸表論はこちらから)。
【令和4年度版〈簿記論〉の出題者】
・資格の大原
・東京CPA会計学院
・ネットスクール
・LEC東京リーガルマインド
・学者×実務家のコラボ
今回お話を伺った皆さん
写真左から
渡邊聖也さん(2年生)
三本木農業高校(青森県)出身。高校時代、授業で簿記に少し触れる機会があり、興味を持った。調べてみると、税理士という資格があることを知り、取得を目指して千葉商科大学に進学。
佐藤凌央さん(2年生)
函館商業高校出身。高校時代に公認会計士の話を聞く機会があり、もともと税金に興味があったことから税理士を目指して千葉商科大学に進学。
橘啓介さん(3年生)
水戸商業高校出身。高校時代、日商簿記2級に合格し、ステップアップとして1級、税理士試験が視野に入った。税法科目免除を念頭に、飛び級での大学院進学を検討中。
渡邉 圭先生(千葉商科大学基盤教育機構准教授)
千葉商科大学会計教育研究所「瑞穂会」で、資格取得を目指す学生たちに、親身に受験指導を行う。学習の時期や進捗度に合ったアドバイスによって、多くの受験生の背中を押し、合格へ導いている。
はじめて解いてみてどうだった?
――『直前予想問題集』簿記論をはじめて解いてみてどうでしたか?
佐藤さん 普段から資格の大原の問題を解いているので、はじめて他の専門学校や学者×実務家の問題を見て難しかったですが、捨てるところと取るところをしっかり意識して解くようにしました。取るところはしっかり点が取れていて、捨てるところは他に比べたら点が低いというのが現状ですが、そういった取捨選択をしていくのが大切だと思いました。
橘さん 僕も佐藤くんと同じで、はじめて他の専門学校や学者×実務家の問題を解いたので、いい練習になりました。内容としては東京CPA会計学院の問題が特に難しく、学者×実務家の問題でもはじめて見る論点に対応できず、点数につながりませんでした。また、同じ論点でも違う角度から問われることもあったので、広い視野を持たないといけないと思いました。
渡邊さん 最高が86点、最低が50点と差が大きかったですが、基本論点から応用論点まで幅広く解くことができました。なかでも基本論点は解かないといけないので、そこをカバーできたのがよかったと思います。
【初回の点数】(一番点数が高かった回と低かった回)
佐藤さん
資格の大原 80点
東京CPA会計学院、LEC東京リーガルマインド ともに44点
橘さん
ネットスクール 88点
東京CPA会計学院 45点
渡邊さん
資格の大原 86点
東京CPA会計学院 50点
★渡邉先生からアドバイス★ 『直前予想問題集』を解くメリットとは? 佐藤くんや橘くんも話していましたが、普段の専門学校と違う問題を解くことができるのが『直前予想問題集』の大きな特徴だと思います。 出題者が変われば同じ論点でも問い方が違ってくるので、そのぶん解答のレパートリーを増やすことができます。1つの専門学校の問題ばかり解いていると、1つの解答しか吸収することができません。 また、専門学校によって難易度も違いますが、検定試験などでも基本的な回があったり難しい回があったり、そこはわかりません。税理士試験もそういったことを把握することが重要です。 再受験される方にとっては、『直前予想問題集』で難しい問題を解くことは新しい発見につながると思います。 |
見つかった課題と、これから心がけたいこと
――『直前予想問題集』を解いて、見つかった課題はありますか? また、その課題を受け、今後心がけたいことは何ですか?
佐藤さん 見つかった課題は2つあって、1つは字が汚いことです。たとえば6が0に見えたりしてしまうので、普段から字を丁寧に書くことを意識したいです。もう1つはケアレスミスが多いことです。特に問題文の読み飛ばしが目立ち、「わからないから点を落とす」のではなく、「落とすはずがないところで点を落とす」ことがよくありました。ケアレスミスも本試験まで減らせるよう気をつけていきたいです。
橘さん 課題は焦らないことです。2時間という試験時間を意識しすぎるあまり、変に焦ってしまい、できるはずのところができなかったり、はじめて見るような問題だと頭が真っ白になって手が止まったりしてしまいました。ただ、試験まで残り時間も少ないので、この『直前予想問題集』もですが、普段の演習や模擬試験なども本番と同様の緊張感をもって臨むのが地道な対策なのかなと思っています。
渡邊さん 課題は時間配分を意識することです。簿記論は第三問の総合問題から60分を目安に解きはじめるようにしているのですが、60分で解き終わらないこともあって、そうなると第一問・第二問に皺寄せがきてしまい、個別問題で結局点が取れません。対策としては、特に総合問題で「取る」「捨てる」論点を見極めて、個別問題にも十分な時間を使えるように改善していきたいと思います。
★渡邉先生からアドバイス★ 簿記論特有の悩みにどう向き合う? 渡邊くんも話していましたが、スピードが大事な簿記論では、時間配分に悩む受験生は多いです。 対策としては、第一問の個別問題から解くほうが有利だったり、第三問の総合問題から解くほうが得点につながりやすかったり、回によってさまざまなので、最初に解く順番を素早く判断できるように見極める練習をしておくことが大切です。 また、学習範囲が広いので、「どうすれば効率よく網羅的に復習できるか」という悩みも増えてくる時期です。この場合は、総合問題を使って苦手なところを明らかにし、個別問題で復習すれば、ある程度は網羅的に復習することができるようになります。 |
簿記論で一番意識していること
――普段から簿記論の問題を解く際に意識していることは何ですか?
佐藤さん なるべくケアレスミスをなくすことです。簿記論では総合問題を解く際に頭の中で仕訳するのですが、借方は転記したのに、貸方は転記していないことがあるので、常に仕訳の貸借を合わせることを意識しています。個別問題も丁寧に解き、電卓も打ち間違いがないように慎重に打っています。
橘さん 財務諸表論の計算は「正確性」、簿記論の計算は「速度」が大切だと思います。あらかじめ時間配分を「第一問30分・第二問30分・第三問60分」と決めていますが、どこかに時間を使いすぎて「解けるはずの問題を解けない」というのが一番避けたいことなので、最初に問題を見たときの取捨選択を重視しています。そこでは、みんなが解けるところを見つけ、どこを捨てるかを素早く判断するようにしています。
渡邊さん 僕も簿記論は本当に「時間」が大事だと思います。特に、問題の中から大事なところ(たとえば有価証券に関する問題なら利子率)だけを瞬時に抜き出したり、それを頭で素早く処理したり、時間を有効活用できるように「スピード」を意識しています。
★渡邉先生からアドバイス★ 点数はこれからまだ伸びる! 瑞穂会で『直前予想問題集』を解いた学生から多い相談が、「いま自分が本当に合格ラインにいるのかどうかわからず不安」というものです。『直前予想問題集』自体に合格ラインは記載されていますが、やはり他の受験生のレベル感は気になるようです。 そのようなときは、瑞穂会の先輩の事例を見せて安心材料にしています。昨年の同じ時期に『直前予想問題集』を解いた先輩たちも、時間配分や字の汚さに悩んでいました。それでも、反省点を活かして『直前予想問題集』を再度解き、また他の問題演習も続けたことで徐々に点数が伸び、簿記論・財務諸表論に初受験で同時合格しました。 自身の学習方法を見直すための比較分析です。決して「相手よりも点数が低いから自分はダメだ」などとネガティブな考え方にならないようにしてください。 また、周囲から「頑張って」と応援を受けますが、受験生にとって精神的に追い詰められる時期ですので、「これ以上どう頑張ればよいのか…」と考えてしまうこともあるでしょう。そんなときは、自分のできる範囲で後悔のないように一生懸命勉強すればよい、と考えて心が折れないようにしてください。 皆さんは合格するまでの努力を十分にしています。ですので、根気強く自信をもって、直前期の勉強を続けてください。 |
★「財務諸表論」のインタビューの様子はこちらから!
『税理士試験 簿記論 直前予想問題集(令和4年度)』
中央経済社編
定価:2,640円(税込)
発行日:2022/04/12
B5判 / 252頁
ISBN:978-4-502-42661-2
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『税理士試験 財務諸表論 直前予想問題集(令和4年度)』
中央経済社編
定価:2,640円(税込)
発行日:2022/04/12
B5判 / 192頁
ISBN:978-4-502-42671-1
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