わたしの独立開業日誌 #行政書士・鈴木茂


はじめに

私の人生が大きく変わったのは、「2020年5月1日」と「2021年5月1日」です。

前者は56歳で行政書士試験の初めて学習を開始した日、後者は57歳で行政書士事務所を開業した日です。

たった366日間ですが、長年“会社だけに依存”して生きてきた私が、新しい選択肢と夢と希望が持てるようになったのです。

1.資格取得のきっかけ

行政書士を志した動機は、複数あります。定年後の収入や居場所への不安、子どもが本格的な受験期に入る中で「親も本気で学ぶ姿を見せたい」という思い、そして何より「一つの会社に依存せず、精神的にも経済的にも自立したい」と考えたことです。

一方で、現実は甘くありません。私はフルタイムで働きながら、認知症の母との同居による介護(デイサービスの送迎等)もあり、時間も体力も限られていました。だからこそ、精神論ではなく「続けられる仕組み」を先に作ることが不可欠でした。

2.合格までの「続けられる仕組み」づくり

私は法律初学者で独学でした。時間や経済的ゆとりがあれば資格学校のほうが良いかもしれませんが、私にはあまりにも時間がなかったのです。

しかも社会人になり、本格的な学習など全くと言っていいほどしてこなかったので、まず最優先にしたことはスキマ時間を使った「学習の習慣化」です。

目標はまず21日(3週間)!

脳は新しい習慣を嫌いますが、一定期間を越えると“当たり前”になります。
また集中して学習する対策としては、25分学習+5分休憩を繰り返す「キッチンタイマー学習法」を採用し、3〜4時間の学習を回せる状態を作りました。脳疲労対策として「15分仮眠」も日課にし、午後の学習効率を落とさないようにしました。

学習計画はExcelで管理し、「学習計画を作ること」と「学習時間を記録すること」をセット運用しました。各科目に毎日触れる仕組みを作りつつ、週1日は“休養日”ではなく“予備日”として設け、前倒し学習でバッファを確保しました。
メインは『合格革命行政書士 肢別過去問集』(早稲田経営出版)の周回で、最終的に25周。
学習が「合格できる」から「合格を確信できる」レベルへ変わった感覚がありました。模試(LEC)も活用し、学習のペースメーカーにしました。(詳しくは、『行政書士 45歳からの合格・開業のリアル』(中央経済社)をご参照ください)。

3.独立開業の準備で心掛けたこと

開業資金は自己資金約50万円。支出は登録料、PC購入、金庫や書棚、名刺・表札制作など必要最低限に絞りました。最初から立派な事務所を構えるより、「受任できる体制」を早期に整え、固定費を抑え、すぐにでも受任できる環境を心掛けました。

しかし最も怖いのは、「集客できないこと」と「実務経験がないこと」ではないでしょうか。
そこで集客はHPを作りつつ、時間があればリアル営業をして、実務は少々高くても講座を申込み・受講、そして会員組織にも所属して受任に備えました。

とにかく時間がありません!できることは「即行動」し、撤退、修正、前進を繰り返すよう心掛けていました。

4.専門分野・実践したこと

私が軸にしたのは入管業務、とくに国際結婚・永住・就労などです。入管業務は、外国人本人やご家族、就労系ビザだと雇用主などが顧客となり、関係機関も出入国在留管理庁、自治体などとなります。入管庁の統計(令和5年末時点)では在留外国人数が約340万人に達し、身分系在留資格でも需要は大きく、制度運用や“偽装対策強化”の流れから審査は厳格化し、追加資料対応や説明力がより重要になっています。ここに、専門家としての「価値が生まれる分野」だという判断もありました。

また、実務をスキルアップさせたのが前述の講座であるFESO(一般社団法人外国人雇用支援機構)の受講と入会でした。そこは全国の国際業務専門家の集まりであり、実践的な知識・ノウハウを継続的に学べる環境を得ました。結果として、最新の情報、各先生方の売上や集客方法など多くの刺激をいただき、日々の仕事の質を押し上げています。

5.ぶつかった「二つの壁」

開業初期の壁は二つありました。

第一に「時間」です。
会社員を続けながらの副業は、追い込みが利きにくく、ズルズルと“副業のまま”になりがちです。私は、売上・所得の目標を数字で置き、月あたりの受任件数なども含めて、月次・週次のアクションに落としました。

第二に「行動が点になる」問題です。発信や交流を増やしても、なかなか受任に繋がる成果が出ません。そうすると面談や受任の機会も増えず業務の質もあがりません。

これについては現在でも課題です。
そこでとあるコンサル会社に依頼して、基礎から学び直しをしております。
来年は、動画+出版+リアル営業等→HP→集客という流れを確立しつつ、3年間の蓄積によるご紹介やリピート顧客を確実に受任に繋がることに専念したいと思っております。

6.独立してからの仕事術

上記にも少し触れましたが、現在もSNS発信、HPの改修、動画(TikTok小紅書)の配信、リアル営業、書籍の出版などでとにかく知名度を上げることに努めています。一方で業務効率化については、必要書類一覧の作成・必要様式のまとめ・ヒアリングの標準化や効率化・さらにはAIを活用した書類作成の質と量の向上などにも注力し、行動量を増やすしつつ、効率化も行うことを重要視しています。

そして何より「仲間づくり」は必須だと感じております!

私も「同期」「国際業務」「支部」など複数のコミュニティに所属しており、常に最新情報取得の機会・相談、質問の機会・ご紹介の機会などに恵まれています!

7.これからの目標

私の目標は、雇用延長中に目標の売上・所得(目標=会社員の年収の2倍!)を達成し、地元・下北沢に自宅とは別の事務所を構えることです。補助者を採用し、外国人の方や外国人を採用したい企業担当者様が、気軽に相談できる場を作りたい。60歳を過ぎれば、残された時間は限られます。だからこそ前だけを向き、「一つの会社・一つの仕事だけに依存しない生き方」を設計する価値があると思っていますし、私は行政書士試験合格からそのことを学びました。

社会や政治、時代や年齢、会社や上司の悪口・陰口・言い訳はもうやめましょう!

その時間と労力を「未来の自分」のために、ぜひ使ってください!

最後に…

最後にご案内です。合格後に多くの方が迷うのが「何を専門にし、どう仕事を増やすか」です。その迷いをなるべく減らすために、私は『行政書士ニッチで稼ぐ開業のリアル』(2025年12月3日発売)に、専門分野の決め方、開業準備、発信・集客、受任までをまとめました。私だけでなく全部で15名の先生方がそれぞれの専門分野・地域での「稼ぎ方」のリアルを惜しまずに書いてくれています!

ぜひ合格を「肩書き」で終わらせず、開業を現実に変えたい方には手に取っていただきたい1冊です!

【執筆者プロフィール】
鈴木 茂(すずき・しげる)

行政書士鈴木茂事務所代表。大学卒業後、出版社を経て、45歳で通信社へ転職。2020年、56歳で行政書士試験の学習を開始し、独学・法律初学者・6ケ月で一発合格。翌2021年、会社員を続けながら自宅にて開業。現在は入管業務(国際結婚・永住・就労)を専門とし、外国人雇用支援機構(FESO)の会員でもある。著書に行政書士45歳からの合格・開業のリアル』(中央経済社)『行政書士 ニッチで稼ぐ開業のリアル』(中央経済社)がある。


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