わたしの独立開業日誌 #公認会計士・税理士 鯉淵拓真


はじめに

はじめまして。
鯉淵拓真と申します。

2015年、当時25歳の頃に公認会計士・税理士として独立し、現在はクレディシップというグループの代表を務めています。

クレディシップグループは、税理士法人・社会保険労務士法人・株式会社の3つの法人で構成されていて、税理士や社会保険労務士のみならず、デザイナーや組織コンサルタントが在籍する少しユニークな会社です。
若さの勢いで独立開業した私ですが、開業時は「顧客ゼロ」からのスタートで大変な苦労をしました。その当時のことを振り返ってお話をさせていただきます。

プロフィール写真

野球少年が「簿記」に目覚める

小さい頃から塾に行ったり、様々な習い事をしたりということもなく、唯一通っていたのが「そろばん塾」でした。暗算や計算は自然と得意になりました。

しかし、中学と高校は野球部一筋に打ち込みました。甲子園の常連校というわけではありませんでしたが、仲間たちと野球するのが好きで没頭していました。
そんな野球部生活も高校3年で引退することになったのですが、次なる目標がなかった私は、急に人生がつまらなく感じられるようになりました。

次の目標は大学受験をするしかなく、浪人して両親に迷惑をかけるわけにはいかなかったので、なんとか現役で入学できる大学を探して合格を目指すことにしました。

その後、無事に大学に合格し、これでまた一息ついたところ、また「次の目標がない」という状態に陥ったのです。

そこで手をつけたのが「簿記」でした。

大学の単位免除のために簿記3級を独学したら、思いのほか楽しかったのです。
貸借がピタッと合う快感、パズルのように問題を解く面白さ。幼少期のそろばん経験が呼び覚まされたのかもしれません。
続いて簿記2級、さらには一番難しそうな資格「公認会計士」へと興味は加速し、一気に本格的な勉強へ踏み込みました。

公認会計士試験合格と監査法人での日々

一般の就職活動はせずに公認会計士合格に絞って勉強していたため、現役一発で合格して、卒業と同時に就職しようと決めました。
公認会計士合格という目標はとても刺激的でした。
気付いたら朝から晩まで、1日14時間の勉強を1年以上続けていたのです。

その結果、大学4年で合格し、監査法人に入所。
新鮮で刺激的な日々が始まります。

最初は監査の仕事がどんなものなのか、正直わかっていませんでした。
ただ、実際に働いてみると「クライアントの財務諸表に粉飾がないかをチェックする」という立場上、「クライアントに喜ばれる」というよりは「監査を受けてもらう」というお堅い存在感。
社会的意義があるのは理解していても、私自身が望んでいた「経営者から感謝される感触」とは少し違っていました。

さらに追い打ちをかけたのが、ある上司との衝突です。尊敬する先輩が退職後、起業家として別の場で挑戦しようとした際、その新しい挑戦を「うちの恥さらし」だと批判され、邪魔をされそうになったので、私は激しく抵抗しました。
その一件で私は強い違和感を抱き、「いずれは自分も自由に、中小企業や起業家を応援できる環境に飛び込みたい」と考えるようになりました。

税理士事務所への転職と「起業支援」への想い

監査法人を約3年で退職を決めた私は、「中小企業の経営者や起業家に寄り添うためには、税務や会計の実務が欠かせない」と判断し、24歳で税理士事務所へ転職。

そこでは、法人税の申告書作成や、顧問業務として中小企業の毎月の会計・財務相談などを幅広く経験させてもらいました。

そこで、会社の立ち上げをゼロから支援するチャンスが訪れたのです。
「起業したてで右も左もわからない社長をどう助けるか」。
こうした経験を積むうちに「やはり、自分は経営者をゼロからサポートする仕事がしたい」という思いはますます強まりました。

しかし、その情熱が高まるほど、勤務先の税理士事務所の仕事との折り合いがつきづらくなります。
平日夜や土日のプライベートな時間で手伝っていた起業支援案件について、もう少しコミットしたかった私でしたが、勤務先からは「勤務を減らすのは無理。顧問契約をもらってきて」と却下されました。
ここで私は決断します。
「それなら、独立して起業支援に力を注ごう」。

25歳の年末、私は勢いに任せて税理士事務所を退職しました。

ゼロ顧客からのスタートと数々の試行錯誤

さて、どうしよう。
勢いだけで飛び出したため、とりあえず税務署に開業届を出し、自分の名前を冠した会計事務所を始めたものの、顧問先はゼロ。

しかも、退職のきっかけとなった起業支援案件の社長にも「月額3万円の顧問契約をどう?」と提案したら、「もっと安い税理士がいるからそっちにする」とあっさり断られました。
半年近く報酬もいただかず支援し、汗を流してきた関係が一瞬で崩れました。

正直ショックでした。
しかしそのまま腐っていても仕方ない。

私は「まずは100人の経営者に会おう」と決め、ひたすら起業関連のイベントやセミナーに足を運んで名刺を配り、悩みや困りごとの相談にのっていきました。

すると、あるときから「ぜひ正式に顧問契約を」と声をかけてもらえるようになり、1年目が終わるころには少しずつ依頼が増加しました。
最初は自宅兼事務所だったところが、小さなオフィスを借りてその場で寝泊まり生活。2年目にはパートスタッフを雇い、なんとか経営を回す日々でした。

打ち合わせの様子

この経験から得た学びは「まず与えること」の大切さです。
まず喜んでもらうことが重要で、お金よりも信用を得ること。
これを積み重ねていけば、仕事はどんどん増えていくということを実感しました。

組織化と総合問題解決への挑戦

それから数年が経ち、顧客数が増えてスタッフ数も増えてくると、今度は「組織としてどう価値提供するか」が課題に。
私は思い切って社労士をチームに迎え、給与計算や人事関連もまとめて請け負える体制を作りました。さらにクラウドツールを積極的に導入し、オンラインでやりとりできる仕組みを整えていくと、IT系をはじめとする若い起業家が増え、毎月の問い合わせ件数も伸びていきました。

現在のオフィスの様子

2025年、税理士法人化し、さらに大きなステップとして「総合的な問題解決サービス」を始めました。

会社の3大経営資源といえば、ヒト・モノ・オカネです。
いい会社を作るためには、オカネの支援だけでは足りません。
ヒトがモノを売り、買っていただいたお客様からオカネが入る。
入ったオカネはヒトやモノに再投資され磨かれる。いいヒトがいいモノを売ればオカネも増え、いい会社が作れる。
「ヒト・モノ・オカネ」の成長の循環を作りたく、総合問題解決を行っています。

私が掲げているビジョンは「経営者のヒト・モノ・オカネのすべての問題を解決するパートナーになる」こと。
企業が抱える課題は税金や会計の財務だけではなく、人材採用・組織設計・マーケティング・商品開発など多岐にわたります。
これらの問題を解決できる会社にしたい。
そんな志を持って、仲間と一緒に奮闘中です。

おわりに

私は、自分自身が「起業」や「挑戦」の楽しさと大変さを身をもって経験してきました。
ゼロから飛び込んで顧客が見つからない苦しさ、仲間やクライアントに恵まれたときの喜び、そして目標を形にしていく醍醐味。これらは簡単な道のりではありませんが、本当にやりがいがあります。

だからこそ、同じように「なにか新しい挑戦をしたい」「誰かの夢をサポートしたい」と思う人と、力を合わせて支援していきたいです。
私たちの税理士法人では、税理士・会計士だけでなく、社会保険労務士、デザイナー、組織コンサルタントなど多様な専門家が協力し合い、新しいサービスを生み出しています。

もしあなたが、「自分も経営者の夢を支える立場になりたい」「もっと深くビジネスに関わって、世の中を良くしたい」と感じているなら、ぜひ一度お話しましょう。

ホームページのお問い合わせフォームからでもSNSからでも構いません。

この独立日誌を読んでわくわくした方、共感いただいた方からのご連絡をお待ちしています。

お待ちしております!

【執筆者紹介】
鯉淵 拓真(こいぶち たくま)
公認会計士・税理士
クレディシップグループ代表
2010年、21歳大学在学中に公認会計士合格。世界4大会計ファームの監査法人に入社し、上場企業の会計監査及びIPO支援等に従事。2015年独立開業、起業支援を中心とした会計税務顧問やスタートアップ支援を行う。2025年「鯉淵公認会計士税理士事務所」を改組、「クレディシップ税理士法人」を含むクレディシップグループ3法人を設立。
ホームページ https://creditship.co.jp/
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