【編集部より】
本を読むのにぴったりな季節。「何かオススメはないかな~」と探している人もいるのではないでしょうか。
そこで、本企画では、実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「読書の秋の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
今回の記事では、 登川雄太先生(CPA会計学院講師)に課題図書をお薦めいただきました!
オススメ書籍①『君のクイズ』(小川 哲、朝日新聞出版)
問題をスラスラ解ける人の頭の中って気になりませんか?
何を考えて解いているのか、どうしてそんなに早く解けるのか…。そして、それは才能なのか、それとも勉強の成果なのか…。
「君のクイズ」は、クイズを題材にしたミステリー小説。主人公のライバルである本庄は、大会の優勝を決める問題で、問題文が1文字も読まれる前に回答し、なんとそれが正解で、優勝してしまう。はたして、この0文字回答は何か不正が行われたのか、それとも本庄の実力なのか…。
謎解きもさることながら、この本の醍醐味はクイズプレイヤーの頭の中、早押しの秘密を知ることができる点です。
0文字解答は極端だとしても、クイズ番組を見ると、問題文の途中で正解にたどり着くクイズプレイヤーの早押しには魔法のようなものを感じます。しかしあの早押しは魔法でもなんでもありません。クイズの傾向や問題文のキーワードなどから、問題を予想し、その予想に基づいて解答しています。
そう、あの魔法のように思える早押しは、勉強の成果なのです。
会計の勉強も同じだと思います。なぜあの人はスラスラ解けるのか? その答えはシンプル。
魔法でも才能でもなく、単なる勉強の成果です。
「地道な勉強こそが正解にたどり着く一番の近道である」点を理解できる本書、おすすめです!
オススメ書籍②『宇宙創成』(サイモン シン (著)・ 青木 薫 (翻訳)、新潮社)
勉強をしている間、どこを向いていますか? きっとほとんどの時間、下を向いているはずです。
ずっと下を向いていると、視野が狭くなりがちで、だんだんと気が滅入ってきます。そんなときは下を向くのをやめ、上を見上げてみてください。
実際自分も勉強に疲れたときは、自習室から少し歩いた先にある高台から遠くの空を見上げ、リフレッシュしていました。
『宇宙創成』は、宇宙の始まりと、その解明を巡る人類の物語です。
ある意味「会計学」とは対極にあると言える「宇宙論」。
会計の勉強をしすぎて疲れたときは、会計のテキストを横に置き、ロマン溢れる宇宙に想いを馳せるのはいかがでしょうか?
オススメ書籍③『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木 飛呂彦、集英社)
勉強していて心がくじけそうになることはありませんか?
合格まで数年必要な公認会計士試験は、メンタルとの勝負といえます。
ジョジョの奇妙な冒険には魅力溢れるキャラクターが多く登場します。彼らの生き様やそのセリフは、きっとあなたを奮い立たせてくれることでしょう。
今回は、そのなかでもとりわけ受験生に刺さる名言を2つ紹介します。
「勇気とは怖さを知ることッ! 恐怖を我が物とすることじゃあッ!」
(第1部 ウィル・A・ツェペリ)
受かるかどうかの不安を抱えながら、日々勉強に励むのはとても勇気がいることです。「こんなに頑張ってるけど落ちたらどうしよう…」こう思うのは一度や二度ではないはず。
しかし、この怖さがあるからこそ日々頑張れるのだし、頑張っているからこそ怖さを感じるのです。
ツェペリのこのセリフは、恐怖を内面化し勇気をもって勉強することの大切さを教えてくれます。
「一番の近道は遠回りだった 遠回りこそが俺の最短の道だった」
(第7部 ジャイロ・ツェペリ)
「復習は後回しにして講義を進めよう」、「復習は1回だけでいいや」など、勉強しているとつい近道をしたくなります。
「復習をしてから講義を進める」、「何回も反復をする」
このような勉強は、なかなか前に進まず、すごく遠回りしているように思えますが、実際にはそれが一番の近道なのです。遠回りに思える地道な勉強が、合格への一番の近道だと気づかされるジャイロの名セリフです。
<執筆者紹介>
登川 雄太(のぼりかわ ゆうた)
CPA会計学院公認会計士講座 講師・CPAラーニング簿記検定コース 講師
慶應義塾大学3年次に公認会計士試験に合格し、監査法人を経て、現職。「楽しくわかる、わかるは楽しい。」をコンセプトにしたウェブマガジン『会計ノーツ』を運営しており、そのページビューは月間20万を超える。著書に『世界一やさしい 会計の教科書1年生』(ソーテック社)、『この1冊ですべてわかる 財務会計の基本』(日本実業出版社)がある。