日商簿記検定の統一試験(第158回)が、6月13日(日)に実施されました。
“新しい試験制度”となって初の統一試験ということからか、試験直後にTwitterで「簿記3級」がトレンド入りするほどの話題になりました。
そこで、合格実績トップクラスの「資格の大原」簿記講座講師の方々に、「本当のところどうだったか?」を、直撃インタビュー! これから簿記を学習する方へのヒントも満載です!!
はじめての「統一試験(ペーパー試験)」はどうだった?
――試験の後、Twitterで「簿記3級」がトレンド入りしていて、ビックリしました! 実際、SNSなどでは「難しくなった!」という受験生の声をよく目にしましたが、本当のところはどうだったのでしょうか?
資格の大原講師 トレンド入りしていましたね。といっても、簿記検定自体は、実は「難易度」が高くなったわけではないんです。実は出題傾向などの研究のため講師も受験しておりまして、出題問題について詳細を申し上げることはできないのですが、問題の難易度自体は変わっていませんでした。
では、なぜこれほどの話題になったのかというと、形式が変わったことと、試験時間が短くなったことで、体感的に難しいという印象を受けた方が多かったのではないでしょうか。
ですので、問題の難易度自体はこれまでと変わらず、きちんと網羅的に勉強していれば合格できる内容だったと分析しています。
日本商工会議所より、新たな日商簿記検定のコンセプトが公表されているように、ビジネスの現場でスピードは不可欠なため、「スピード」と「正確性」が求められる試験になっています。学習をする際も、そのコンセプトに沿った対策を心がけるとよいのではないでしょうか。
実際、受験した当校の受講生に話を聞いても、問題が難しかったという声は多くありませんでした。試験のコンセプトを正しく理解して学習をしていれば、努力が実を結ぶはずです。
なお、「スピード」と「正確性」を鍛えるために問題演習は必須です。
――最近は、検定試験に関する情報をSNSなどでも気軽に入手できて、受験生の情報交換も活発ですね。
資格の大原講師 そうですね。ただ、ご存知のとおり、2021年度から日商簿記検定は試験制度が大きく変わりました。
「ネット試験」と「統一試験(ペーパー試験)」の両建てでの実施となっています。それに伴い、「試験時間」と「出題数」が変更になりました。
また、今回の統一試験では、問題と解答用紙、計算用紙が一体化されています。これは、検定試験の実施団体である日本商工会議所からも事前にアナウンスがありましたね。
しかし、前回までは、問題、解答用紙、計算用紙はバラバラだったので、一体化されたことを知らなかった方は、試験会場で戸惑われたのではないでしょうか。特に3級の場合は、簿記検定自体をはじめて受ける方が多いので、この情報を知らずに受験した方が多かったのかもしれません。
実際に受験した当校の受講生に話を聞くと、問題・解答用紙・計算用紙の一体化について、事前に知っていたので、混乱することなく問題を解けたようです。
具体的な解き方としては、「計算用紙を使わなかった」という人もいました。計算用紙が最終ページに綴じ込まれているので、問題の余白などを使って解いたそうです。
今後もこの問題冊子の形式が変わらない前提であれば、それに対応した演習をしておくとよいですね。
――試験制度が変わったことを踏まえて、「最新の正しい情報」のもとで受験勉強する必要があるということですね。
資格の大原講師 受験の際には、常に「最新の情報」をチェックして対策をとるということが欠かせません。
特に独学されている場合は、日本商工会議所のホームページをチェックしたり、「資格の大原」や「会計人コースWeb」などが発信するような情報にアンテナを広げておいたりすることも、大切な受験対策の1つといえそうですね。
ヤマ当てはダメ! 「全体」を網羅的に学習しよう!!
――「ネット試験」と「統一試験」では、それぞれ対策は違うのでしょうか。
資格の大原講師 いえいえ、対策に違いはありません。試験範囲も、問題の数も、試験時間も、両方とも同じです。
違いは、紙で解くか、パソコンで解くかだけですから。パソコンで解くということについては、「操作性」にさえ慣れれば問題ないかと思いますよ。
ですので、まずは、1冊のテキストを「網羅的に」学習することを心がけてください。
過去に受験された方のなかには、「ヤマ当て」で勉強するという考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それはかなり古いアドバイスです。
日商簿記検定はコンセプトも試験制度も新しくなりました。日本商工会議所は「実際の企業活動や会計実務に即した実践的な検定に」というコンセプトを明確に打ち出しています。そして、試験もそのコンセプトに沿った出題がなされています。
実務に役立つ簿記の知識を身につけられるように、網羅的に学習することが大切です。
次に出そうな論点がどれだとか、基準が改正されるからこの論点は出ないとか、ヤマ当てに頼った学習では、本当に必要な実務で使える簿記の知識は身につきません。
――網羅的、というと学習量に圧倒されてしまいそうで……何から始めればよいでしょうか。
資格の大原講師 受験を考える方はきっと皆さん、はじめに「教材を選ぶ」と思います。簿記検定の対策本は、書店でもたくさん並んでいますから、実際に手に取って見てみるといいですよ。
どの本であれば、自分が確実に消化できるか。
簿記の基本である「仕訳」をしっかり理解できるか。
といった視点で、自分に合った1冊を選んでみてください。
『大原で合格る』シリーズは、簿記検定の試験範囲を、網羅的に、しかも消化不良にならないコンパクトさで、わかりやすく丁寧に解説しています。
特に、「仕訳」にはこだわっていて、仕訳が完成するまでの手順がわかるように、順を追って説明しているので、初学者の方にもぴったりです!
この「仕訳」というのは簿記の土台でもあり、ものすごく重要です。だからこそ、その理解につまずくことがないように、一つひとつ丁寧にかみ砕いて説明しています。
また、文章でテクニックを伝えるのはどうしても難しい点があるのですが、そういった部分は「動画」で解説をしています。「流れ」がわかれば、すんなりと理解できるので、ぜひ動画も見ていただきたいですね。
――「模試」のような本格的な問題演習はいつ頃から始めるとよいでしょうか。
資格の大原講師 できるだけ早いほうがよいですが、遅くとも1ヵ月前くらいから、試験形式での本格的な演習が必要です。
ですので、たとえば次回11月21日(日)の統一試験を受験するのであれば、10月中旬くらいまでに全範囲の学習を終えることが第一目標になります。
そして、残りの1ヵ月で模試を解き、知識が足りていない部分を教材で補っていく、という繰り返しの学習が必要になります。
3級の場合でしたら、模試を3~4回分程度。2級の場合でしたら、模試8~9回分程度繰り返せば、かなり仕上がってくると思います。
『大原で合格(うか)る』シリーズの最新版では、巻末に1回分の模擬問題を掲載しています。
また、読者特典として「ネット試験体験プログラム」があり、この巻末と同じ問題を解くことができるので、ぜひ繰り返し活用してください!
――さらに、「もっと問題を解きたい!」という方のための教材はありますか?
資格の大原講師 「もっと問題を解きたい!」という方は、ご自宅で模試を受験されるような感覚で、資格の大原の「模擬試験プログラム(有料)」を活用していただくといいかもしれませんね。
3回分の問題を解くことができ、間違った問題の表示や解説までセットされているので、演習にぴったりです。
もちろん、書籍も、模擬プログラムも、最新の試験傾向に対応していますので、安心して学習していただくことができます。
「ネット試験」と「統一試験」、受けるならどっち?
――ところで、今回6月の統一試験を受けて、次のステップを考えている方もいらっしゃると思います。「ネット試験」と「統一試験」のどちらがオススメですか?
資格の大原講師 簿記検定としては、この2つに変わりはありませんので、どちらを受けていただいてもかまいません。
とはいっても、特にはじめての方は迷ってしまいますよね。
そこで、これから勉強をスタートされる方には、「統一試験」をおすすめしています。
統一試験であれば、実施される日程が決まっているので、それを目標に学習スケジュールを組み立てることができるからです。
たとえば、次回の統一試験は11月21日(日)に実施されます。
今から約5ヵ月あるので、仕事や学業と両立しながら、どれくらいの学習時間を確保できるかを逆算することができるのではないでしょうか。
そうすれば、目標の試験日に向かって効果的に学習を進めることができるはずです。
――では、すでに受験経験のある方はどうでしょうか。
資格の大原講師 受験経験のある方には、「ネット試験」をおすすめしています。
たとえば、今回6月の統一試験を受験した方であれば、実際に試験問題を解いた感触から、何が不足していたかがつかめたのではないでしょうか。
仕訳ができなかったのか、知らない論点が解けなかったのか、スピードが足りなかったのか、などです。
ネット試験はいつでも受けられるというのが最大の特徴ですので、次回の11月まで待つ必要はありません。自分の不足分を補って準備さえできれば、すぐに受験することができます。
今回、もし手ごたえを感じなかったとしても、これまでの努力を無駄にせず、勉強を続けてほしいです。
簿記の知識は、仕事にも役立ちます。日商簿記検定の合格は、履歴書にも書くことができます。なにより、勉強すればするほど面白みがわかり、努力は裏切りません。
ぜひ勉強をしていただき、合格を手にしてください! 応援しています!!
――本日はありがとうございました!!
〈お話を伺った専門学校〉
資格の大原
簿記、公認会計士、税理士、社労士など会計・法律分野の資格試験から医療・介護福祉、情報処理、公務員試験まで様々な分野で受験指導を行う。難関資格試験でも多数の合格者を輩出し、特に公認会計士と税理士の合格実績には定評がある。また、近年では地方公会計や農業簿記の分野にも力を入れている。「就職の大原」としても著名であり、資格取得後の就職を見据えた受験指導を行っている。
お問い合わせ:https://www.o-hara.ac.jp
Twitter:https://twitter.com/o_hara_boki
簿記講座 模擬試験プログラム(有料):https://www.o-hara.jp/course/boki_03/bo3_feature_08
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定価:1,485円(税込)
発行日:2021/06/28
A5判 / 256頁
ISBN:978-4-502-39521-5
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