【1日1問!〇×会計クイズ】固定資産②


加藤大吾
(公認会計士・税理士)


公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題! 

もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。


【〇×問題】

第1年度期首に取得価額600,000円、耐用年数10年、残存価額ゼロ、定額法により減価償却を行っていたが、第4年度末に耐用年数の見直しを行い、耐用年数を3年延長した。このとき、第4年度の減価償却費は42,000円となる。

【正解】 ×

第4年度に耐用年数の見直しを行っているので、第5年度期首より見直し後の耐用年数に基づく残存耐用年数にわたり、定額法により減価償却を行う。

第4年度の減価償却費:
600,000円(取得価額)÷10年=60,000円

(参考)第5年度の減価償却費:
{600,000円-240,000円(減価償却累計額)}÷9年(残存耐用年数)=40,000円

【根拠となる会計基準・実務指針】

① 企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」

会計上の見積りの変更に関する原則的な取扱い
17. 会計上の見積りの変更は、当該変更が変更期間のみに影響する場合には、当該変更期間に会計処理を行い、当該変更が将来の期間にも影響する場合には、将来にわたり会計処理を行う。
56. 会計上の見積りの変更のうち当期に影響を与えるものには、当期だけに影響を与えるものもあれば、当期と将来の期間の両方に影響を与えるものもある。例えば、回収不能債権に対する貸倒見積額の見積りの変更は当期の損益や資産の額に影響を与え、当該影響は当期においてのみ認識される。一方、有形固定資産の耐用年数の見積りの変更は、当期及びその資産の残存耐用年数にわたる将来の各期間の減価償却費に影響を与える。このように、当期に対する変更の影響は当期の損益で認識し、将来に対する影響があれば、その影響は将来の期間の損益で認識することとなる。

② 監査・保証実務委員会実務指針第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」

15.耐用年数の変更について、過去に定めた耐用年数が、これを定めた時点での合理的な見積りに基づくものであり、それ以降の変更も合理的な見積りによるものであれば、当該変更は過去の誤謬の訂正には該当せず、会計上の見積りの変更に該当することに留意する。

〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。


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