<直前期集中連載>財表理論 インプット&アウトプット同時マスター講座(第24回)―研究開発費等


Ⅲ 資産会計⑬
 
10.研究開発費等に係る会計基準

50.「研究開発費等に係る会計基準」設定の必要性 ★

(1) 企業の研究開発に関する適切な情報提供の必要性
 近年,①研究開発のための支出も相当の規模となっており,企業活動における②研究開発の重要性が一層増大している。そのため,研究開発費の総額や研究開発の内容等の情報は,③企業の経営方針や将来の収益予測に関する重要な投資情報として位置づけられている。

(2) 企業間の比較可能性
 研究開発費に類似する概念として,我が国には試験研究費及び開発費がある。しかし,試験研究費及び開発費は,その④範囲が必ずしも明確でなく,また,⑤資産への計上が任意となっていること等から,⑥内外企業間の比較可能性が阻害されていた。

51.研究開発費について発生時費用処理を強制する根拠 ★
(1) ①重要な投資情報である研究開発費について,②企業間の比較可能性を担保することが必要であり,費用処理又は資産計上を任意とする現行の会計処理は適当でない。

(2) 研究開発費は,発生時には③将来の収益を獲得できるか否か不明であり,また,研究開発計画が進行し,④将来の収益の獲得期待が高まったとしても,依然としてその獲得が確実であるとはいえない。そのため,研究開発費を資産として貸借対照表に計上することは適当でないと判断した。

(3) 仮に,一定の要件を満たすものについて⑤資産計上を強制する処理を採用する場合には,資産計上の要件を定める必要がある。しかし,⑥実務上客観的に判断可能な要件を規定することは困難であり,⑦抽象的な要件のもとで資産計上を求めることとした場合,⑧企業間の比較可能性が損なわれるおそれがあると考えられる。

*自宅学習などで音読可能であれば、ぜひ音読しましょう!


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