【税理士合格体験記】来日10年、弱点は日本語。試験までの1カ月で理論を丸暗記し、消費税法にリベンジ合格!


李 華
(30代・企業総合職)

<受験情報>
合格科目:簿記論・財務諸表論(平成30年度)、消費税法(令和4年度)
学習スタイル:簿記論・財務諸表論は独学、消費税法は資格の大原(通信講座)
▶︎トップ画像は本試験に持って行ったものセット(左の電卓は簿記の勉強を始めた時に買ったもので、あまりにも長く使って変色。右は予備の電卓)

税理士を目指したきっかけ

10年前に日本に来た時に、日本語能力試験1級を持っていましたが、就職状況はとても厳しく、100社以上応募しても、ほぼ返信がありませんでした。日本のネット上の求人は全部偽物かと疑ったくらいです。
「何か就職に有利な資格を取ろう」と思って、チャレンジしたのが簿記でした。

簿記の勉強を始めた時、子供はまだ2歳、昼寝の時間が長い頃でしたので、その間に必死に勉強して、ゼロから半年間で日商簿記1級に合格しました。

子供が3歳の頃に、もう一回就職活動をしましたが、簿記1級があっても、外国人で、なおかつ未経験でしたので、とても厳しい状況でした。ほとんどの会社は履歴書も受け取ってくれなかったです。

その時、税理士がどんな資格なのか全く知らなかったのですが、やっと就職できたのがある税理士法人で、そこで初めてこの資格の存在を知りました。1年働いた頃、周りの会計士先生から、「あなたは税理士を目指したほうが道は拓ける、大学院ルート(税法科目免除)がお勧めだよ」とアドバイスをいただき、迷わず大学院の入試に申し込みました。

「自分の運命を変えたかったから」というのが、税理士を目指した理由です。

どのように仕事・子育て・家事・勉強が両立できたのか

税理士を目指すと決めてからは、週4勤務に変更し、とにかく業務効率化を図り、定時退社を目指しました。とはいえ、勤務日数は減ったものの、仕事の量は一般のフルタイムの社員以上だったと思います。

一部の記帳作業を含めて、1年間で30社くらいの決算を行いました。それに加えて、清算、合併などのイレギュラーな案件も多く、他にはデューデリジェンス案件の補助業務にも携わっていました。

業務終了時は未読メールが1通もなかったはずなのに、翌朝出社すると未読が何十通あることも日常茶飯事でした。そういう時は、「よし!今日中に全部片づけるよ! これで私は成長する!」と、とてもワクワクしましたね。

たくさん仕事を与えられているということは、鍛錬の場を頂いていることですので、嬉しいことだと思います。もちろん疲れると不満に思う事もありますが…。
でも、不満を言う暇はありません。すべての時間を業務効率化に使い、残りの時間を勉強に回すように徹底してきました。

その頃、子供がまだ保育園で、複数の食品アレルギーがあり給食を食べられなかったため、平日は、毎朝5時半に起きて、お弁当作りからのスタートでした。

そして、週末は夫に子供の世話を頼んで、大学院に通いました。大学院での勉強はとても時間がかかります。それが何か月間でもなく、2年もかかります。

本来家族と一緒に過ごす時間、家事をする時間を削って、勉強しなければいけないので、ここは、何よりも家族の理解を得ることが大事です。
私はとても素敵な家族のおかげで、最後まで頑張ることができました。

仕事・大学院・子育てと家事だけでも十分忙しい中、受験勉強ができたのは、すべてのスキマ時間を有効に活用したからです。

・通勤時間:往復1時間20分
・お昼休み:食事以外の50分
・夜、子供を寝かせた後:2時間

これだけで、1日4時間10分の勉強時間は確保できます。これを1年間継続すれば、平日だけで1,000時間以上は勉強できるわけです。

また、同じ1時間でも集中度によって、勉強量が驚くほど違います。そこで愛用したのが、ストップウォッチです。毎回問題を解く時、必ずストップウォッチで測って、次回解く時は前回の時間より早く解けるようにしていました。

時間を測ることで、集中力がとても高まりますし、ゲーム気分にもなります。標準時間より短時間で解けた時、前回の自分より短時間で解けた時は、ゲームでボスを倒した気分になって、小さい達成感の連続でとても楽しくなりました。

何年も取り組む勉強ですから、楽しくないと続けるのが大変です。それをいかに楽しくするかも大事だと思います。

たとえば、ある日授業で学んだ内容によって、翌日早速、仕事上の難問を解決できた!
自分はなんと仕事ができる格好良い人なのでしょう(嬉しい気持ち)!
やはり、また勉強したくなる(もう一回嬉しい気持ちを味わいたい)!
このように、楽しみを増やしていきました。 

複数回受験して合格につながった決め手

大学院1年生の時に、簿・財を同時に独学で受けて、2つともAランクで不合格でした。大学院の同じゼミの人たちからは、「やはり予備校に通うべき」とか、「財表だけ目指すべき」など、いろいろとアドバイスをいただき、自分でも分析しました。

その後も独学を続け、2回目も簿・財同時に受けて合格し、消費税法も2回目に合格しました。複数回受験して、合格できた決め手は両方とも「自己分析と弱点の克服」です。

自分の弱点を分析して、その弱点に真正面に向き合って、それを克服できれば、合格レベルまで達成できることがわかりました。どんなに頑張っても成績がそれ以上伸びない時は、ぜひ自己分析をおすすめします。

1年目の簿・財の直前期模試ではとても良い成績が取れていたので、なぜ落ちたのかがわかりませんでした。そこで、大学受験時の勉強の様子まで思い出して、自分の弱点を探しました。

「反復練習できること」と「スピードがあること」が自分の強みであり、一方で、ハイスピードでどんどん解けて行く過程が楽しくて、自分はすごくできる人だと勘違いしがちになり、「わからなかったものを後回しにする」のが自分の弱点でした。

どうすればこの弱点を克服できるのか。
いろいろと考えて、自分に「実はそんなにできる人ではない、わからないものがまだたくさん残っている」と言い聞かせるようにしました。

簿・財の2年目は、計算部分に関しては簿記論だけに絞って、初心に戻り、もう一回テキストから勉強し直しました。わからないものはわかるまで何回もテキストに戻って、その本質を理解するようにしました。

そして、財務諸表論の計算問題は、簿記論の計算問題と違う部分だけを演習して、本試験に挑んだ結果、2科目とも無事合格しました。

消費税法は、月平均40時間以上の残業をしながらの受験勉強

消費税法の勉強の際も、全部のスキマ時間を利用して勉強するスタイルは、簿・財の時と変わりませんでした。問題は「弱点をどう克服するか」でした。

私の弱点は「日本語」です。それは最初からわかっていました。そのため大学院を修了した後、税法を受ける勇気がなく、税理士法人から企業の総合職に転職して、税理士を目指さなくて良い道、つまり、逃げ道を選びました。

でも、やはり諦めきれない、もう一回チャレンジしたい!

そこで、初年度は「弱い理論を、ほぼ満点の計算でカバー」するという作戦をとりました(弱点をそのまま放置するダメな作戦)。しかし、本試験の最中、周りの受験生たちがあまり電卓を叩いていなかったのです。これには「まさか…」と思いました。

結果、1年目は58点で不合格。やはり、税法は丸暗記しないと、私の弱点「日本語」を克服しないと…。でも、それは相当難しい!

2年目の本試験1ヵ月前、資格の大原で受けた最後の模試の評価が「あと一歩で合格圏」でした。これではまた落ちます。理論の成績は相変わらず伸びていませんでした。

自己分析のために全部の成績を書いたもの

ラスト1ヵ月しかないので、ここから新しい暗記方法を試す時間もありません。
そもそも丸暗記で大事なのは暗記方法なのか?
楽に暗記する方法にこだわりすぎたのではないのか?

ここでやっと、「がむしゃらに頑張るしかない」ことに気がついて、毎日仕事がどんなに忙しくても、自分が決めた範囲を全部暗唱することにしました。

最後の試験前は、1日これくらいの理論を暗記した。

毎日夜中に、数匹の犬の散歩をしながら、ずっとブツブツ言っている人、犬が疲れて座り込んでいるのに、それでも帰らずにブツブツ言い続けている人、それ、私です。多分、近所の方からみたら、ただの変態だったと思います。

最後には、理論集1冊を本当に全部丸暗記できるようになりました(犬たちにも感謝です)。 

そして、本番。
理論で1ヵ所間違った判断をした部分はあるものの、条文のところは見事に全部書けました。今回は私もあまり電卓を叩くことがなかったです。
自分の弱点に真正面で向き合って、それを克服したことで、合格することになりました。

最後の応援メッセージ

母国にいた頃、簿記を学んだこともなかったですし、税法は尚更触れたこともありませんでした。最初は、読めない漢字とわからない単語が多くて、簿記のテキストに平仮名と単語の意味を書き込むところからの勉強でした。

ゼロからスタートで、合格まで正味5年半かかりました。その間、会計と税務の知識のみではなく、日本語もだいぶ上達したと思います。

合格できたコツは、「強い意志」、「家族の理解」、「スキマ時間の活用」、「ゲーム感覚で勉強」、「自己分析と弱点の克服」、そして、人の倍以上の「努力」です。

日本語もあまり話せなかった私がやり遂げましたから、受験生の皆さん、きっとできると思います。
心より応援します!

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