【Gパンパンダ星野光樹さんインタビュー】受験生時代、監査法人時代、そして”公認会計士芸人”としてのこれから 


公認会計士論文式試験まで残り1ヵ月。過去に「5月短答式→8月論文式」を突破した先輩は、直前期にどんな勉強をしていたのでしょうか。

そこで、編集部が以前から「お話を聞いてみたい!」と思っていた“公認会計士芸人“の星野光樹さん(Gパンパンダ)にインタビューをさせていただきました。

早稲田大学在学中に、公認会計士試験に合格された星野さん。

受験勉強のことから、監査法人での実務経験や修了考査のことまで、幅広くお話を伺いました。

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論文式試験は「試験委員の先生の気持ち」になって勉強

――星野さんは大学生のとき、「5月短答式→8月論文式」で公認会計士試験に合格されたと伺いました。今、まさに今年の論文式試験まで残り1ヵ月です。星野さんは、直前期の勉強でどのようなことを意識していましたか。

星野さん 論文式に向けた勉強では、まずは「試験委員の先生の気持ち」を意識していました。会計士試験は範囲が広く、いろいろな予備校で「基本が大事」と言われることが多いと思います。なぜそう言われるのか、言葉の意味をきちんと捉えることから始めました。

試験委員の先生は「細かい知識までしっかり吸収している人間が会計士としてふさわしい」と判断するのか。むしろ、「細かい知識は会計士になってからでも勉強できるから、今は会計のベースにある考え方や基礎を理解するほうが大事なんじゃないか」「そういった伸びしろのある人を会計士にしたいんじゃないか」と。

すると、「基本が大事」という言葉が、自分の中ですごく納得できるものになったんです。言葉の意味をかみしめながら、直前期も「基本」を大事に勉強していました。

――具体的には、どのように勉強されていたのでしょう?

星野さん 会計士試験にはA論点・B論点・C論点があると思います。僕の場合は、短答式の受験が5月だったので、8月の論文式まで時間が限られていました。なので、テキストで解説されているC論点の部分に、思いっきりバツ印を書いて、そもそも読めないようにしました。「これ、意味ないじゃん!」と思って。

受験生としては、テキストに書かれていると気になっちゃうじゃないですか。ただ、試験委員の先生の気持ちになって自分の思考を整理してみたら、C論点ができたかできないかで、合否が変わるようなことはないと思ったんです。それをバツ印で可視化しようと思いました。

特に試験が近づけば近づくほど精神が不安定になるので、「もう今後一切見ないんだ」という決意ですね。

◆試験直前に見るためのノート。大事なことだけが一目でわかるように書かれている。「完全に理解した」ものにはバツ印。

――「5月短答式→8月論文式」のプレッシャーはありましたか?

星野さん 僕の場合は、やらなければならないことが明確になったので、そこまで枷にはならなかったです。むしろ勉強時間があればあるほど、プレッシャーが大きかったかもしれません。たとえば、1年あったら「C論点まで勉強しないと、なんだかサボってる」と考えちゃうんじゃないかと。「A論点もB論点もこんなに勉強したのに、C論点はやらなくていいの?」という気持ちになりそうです。

でも、「5月短答式→8月論文式」だと、そんなことを考える余裕もない。時間が限られているぶん、判断する部分を減らせるということもありますね。そのかいあってか、論文式は短答式より自信があって、試験を受けたときの手応えとしても、「大きなミスがなければ大丈夫かな」という気がしていました。

短答式試験は入門レベルに立ち返ってリベンジ

――さかのぼって、短答式試験はどうでしたか?

星野さん 今年は12月短答式がなかったそうですが、僕のときは例年通り12月短答式があって受験しました。結果は不合格。やれることは一通りやったつもりでした。問題集をかなりやり込んで、得意な企業法は「100点とるぞ!」というくらいに。正直なところ、今も昔も計算は苦手なんですが、「それなら理論で点をとろう!」といった意気込みで、できる準備はすべてして試験に臨みました。それでも、落ちてしまいました。

ただ、そこから「何をしていけばいいんだろう?」と考えたとき、なかなかやる気が出てこなかったんですね。なので、ふと入門期のテキストを読み直してみました。入門期のテキストって、メインのテキストに比べると、とても薄いんですよ。「こんな薄いテキスト、もう読まなくていいよ」と思っていたんですが、改めて読むと「全然わかっていないぞ!」と。不合格になって、ようやく気づくことができました。

そこからは、入門テキストを1行1行、ちゃんと意味がわかるか確かめながら読み進めました。僕としてはこれにすごく意味があったと思っています。さっき「やれる勉強はすべてやったつもり」と言ったんですが、基礎ができていないなかで問題をいくら解いても、それは“やったつもり”になっているにすぎないんですよね。

改めて、たとえば「なんで標準原価計算ってやるんだっけ?」ということを見てみると、だんだん全体像がつかめてきて、「じゃあ、直前期に覚えた理論はこういうことだったのか!」と、つながりもわかるようになってきました。ここで、「もしかしたら5月短答式はいけるかも!?」と、手応えを感じるようになったんです。

――短答式も「基本が大事」ということですね。

星野さん そうですね。入門期のテキストの内容がわかっているかどうかで、その後の理解も違ってくると思います。

実際のところ、僕は入門期にテキストを読でも「へ~」と思うくらいでした。勉強を始めたばかりで時間に余裕もあるし、先生に言われたらマーカーを引くみたいな。勉強が本格化すると、そのテキストを開くこともなくなって、だからマーカーもメインのテキストに比べてすごく少ないんですよね。

でも、「ひたすら見たよ!」というような分厚いメインのテキストではなく、「こんな薄いの、意味ないと思うけど見てみる?」という気持ちで入門期のテキストを開いたら、これが運命の分かれ道になりました。

もし、僕と同じように短答式に落ちて「これからどうしよう」と思っている人は、いったん入門期レベルのテキストに立ち返って、1つ1つ内容をきちんと見直してみるといいかもしれません。

――ちなみに、不合格になったとき、モチベーションは下がりませんでしたか?

星野さん 僕の場合は、資格を取って早く芸人になりたい気持ちが大きかったので、「焦り」のほうが強かったですね。「次が受からなかったらもう終わりだ…」という気持ちだったので、モチベーションはそこまで下がりませんでした。

ただ、やっぱり疲労感があって、勉強ができなかったときもあります。目がぼやけて字がきちんと読めなかったり、食道炎になったりもしました。でも、そういうときに「休もう」と判断できたのも大きかったです。

勉強していないと不安になる人もいると思うんです。いま自分が勉強していない時間に、他の受験生は勉強していて、どんどん差がつくんじゃないか、と思っちゃうんですよね。でも、そう思って勉強したとしても、それって本人が“安心したいだけ”だったりします。

やらなければいけないことが多く見えますが、会計士試験は本当に「基礎」で決まるんです。なので、体調が悪いときや、勉強を頑張れない、やる気が出ないというときは、まずは「しっかり休む」という判断をしたほうがいいのかなと思います。

公認会計士試験は”まんべんなく”が大事

――公認会計士試験に合格するために大切なことは他にありますか

星野さん 僕の場合は、「全体のバランスを崩さないように」という気持ちも強くありました。

たとえば、自分が東京の運転手だとしますね。お客さんに「タワーに行きたいんです」と言われたとすると、何をイメージしますか。「タワーに行きたい、でも名前がわからないんです」と、そのお客さんが言っているとすると、普通は“東京タワー”とか“スカイツリー”をイメージして、そこに連れていく人が多いと思います。

でも、その運転手がどこかの地域だけに異様に詳しかったら、「タワー」と聞いて、「あ! あの電波塔かな!?」とか、「そんなところに行くわけないじゃん!」というような場所が頭に浮かんで、候補になってしまうんですね。

試験の話に戻すと、一部の論点に詳しくなりすぎた結果、「そんなことを聞かれていないのに、自分が詳しいところを答えてしまう」ということになりかねません。大半の人が「よくわからないけど…、当然“東京タワー”じゃない?」と解答しているのに、ひとり「この電波塔はどこにあって、いつできて…」というような、聞かれていないことを答えることになってしまうんです。

なので、そういったことにならないように、「1ヵ所だけに詳しくなりすぎることは避けよう」と心がけていました。まずは“大通り”を押さえて、その周りを走る“環七”あたりをちょっと知っておこうかなと。下町の細い路地にまで踏み込んでしまうと逆に危ないので、まんべんなく全体的に押さえるようにしていました。

――とてもわかりやすいです! 「まんべんなく」というのは、意外と難しいですよね。

星野さん もしすごく得意な科目があったら、「その科目に強くなる」というのはいいと思いますよ。僕の場合は、それが企業法で、条文の趣旨をきちんと考えて理解したことで、だんだん法律を作った人の考え方もわかるようになったんです。得意だといえる科目があるなら、細かいところに手をつけても大丈夫だと思います。

ただ、租税法はめちゃくちゃ苦手だったので、「東京タワーくらいで勘弁してください!」という感じでしたね(笑)。

――「企業法に強かった」ということは、星野さんは理論暗記が得意だったのでしょうか?

星野さん 暗記もですが、「趣旨を読む」ということがわりと得意だったのかなと思います。

頭の中で1枚のマップにする感じですね。「この趣旨とこの趣旨がつながっている」とか、「これとこれは同じことを言っているぞ」「これがこの科目の中心で、ここに例外がある」といったように、1科目を全体的につかむようにしていました。

企業法を例にとると、この科目の主人公は「株式会社」と言ってよいでしょう。株式会社という組織について理解することが、この科目のメインテーマです。

そして、株式会社について理解するためには、株式会社に出資する「株主」についても理解する必要があるわけです。さらに、株主について理解すると「取締役」の必要性がわかり、取締役の役割がわかると「監査役」の必要性がわかり…といったように、すべての学習が「株式会社について理解する」というメインテーマにつながってくるんです。

こうしたつながりは、単に条文だけを読んでいてもイメージしづらいのですが、条文の趣旨を読んでいると、それぞれの条文の趣旨が結びついていることがわかり、科目の全体像が見えやすくなるんです。

このように「趣旨」を強く意識していたので、特に企業法のような科目は得意になったのだと思います。

◆今も見返すことがあるという財務会計論や管理会計論のテキスト。

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